109.騒がしい人
さあ、今週もはじまりました月曜日。
皆さん一緒に頑張って乗り越えましょうね!!
では、本編へどうぞ!!
サササササササ
「うむ、来たようだな。 急ぎ報告せねば。」
サッサッサッ
彼はそうつぶやくと、木々の上を華麗に飛び移りながら姿を消したのだった。
「おいお主ら、祝宴の準備を始めるぞ!!」
ソンチョーさんのその掛け声の元、せっせとクォーツたちが準備に取り掛かる。
ある者は広場にシートを広げ、またある者は調理場に駆け込み、またある者は慌てて転んでしまっていた。
実に平和で賑やかな日常といった感じである。
そんな平和な空間がしばらく続いた後、そこにある者が大急ぎで転がってきた。
うん、確かに勢い余ってその場に転がり込んできていたのだ。
「何をそんなに慌てているんだ??」
周りの人たちはみな、不思議がっている。
「いってててー。 あー、膝擦り剥いちゃったよ・・・。 ってああ、村に帰ってきたんだ。 て、何みんな? 恥ずかしいから見ないで・・・。」
そう言って周りの様子に気が付いた彼は、顔を赤らめてしまった。
こんなドジなところを見られたので、相当恥ずかしいみたいだ。
「よっこいしょっと。」
いつまでもそうしているわけにもいかないので、彼はその場に立ち上がる。
「そ、ソンチョーは見ませんでしたか?」
まだ顔を赤らめて少し恥ずかしそうな素振りを見せながら、彼は周囲の人にソンチョーの居場所の聞き込みを始めた。
そして直ぐにソンチョーの居場所が判明した。
「ん? ソンチョーさんなら、俺たちに指示を出した後、村の入り口の門の前でワクワクしながら突っ立ってたぞ。 お前さん、出会わなかったのか?」
「そ、そうだったのか。 ありがとう。」
彼は礼を言いその場を立ち去り、村の入り口にある門へと歩き出した。
ああ、焦って柵を飛び越えてくるんじゃなかったなぁ・・・。
彼は焦りすぎたあまり、村の入り口とは反対方向に出てしまったのだが、何を思ったか木の上に登り、そこから柵を飛び越えて村に入ってきたのだ。
その後歩いていると、ようやく村の入り口の門が見えてきた。
するとその門の前では、ルンルンと楽しげにしているソンチョーの姿が確認できた。
彼はソンチョーの姿を視認すると、全速力で走り出す。
ドドドドドド
その様子に周囲の村人が何事かとざわめき出す。
「ソンチョー!!」
彼が声を上げソンチョーを呼びながら近付いていく。
その異様な光景に気が付いたソンチョーが身構える。
「な、何なんだ!? 暗殺者・・・?」
しかし、さらに近づいてきたところで彼の顔を見たソンチョーは、その心配は皆無だったことに気が付くのだった。
「おう、お主だったか。 斥候ご苦労じゃ・・・ぬぉーおおおおー!!」
しかし、向かってきた彼も予想できなかったことだが、何ということか、勢いそのままソンチョーと激突して、2人してコロコロと転がってしまった。
「こ、このバカタレ! いつもいつも、ちょっとは落ち着けんのか!!」
これは日常茶飯事の光景のようで、その様子を見届けた村人は、微笑みながら作業に戻っていったのだった。
「す、すいませんソンチョー・・・。」
「うぅ、そんな目で見つめるでない。 分かった、分かったから。 で、どうじゃったんだ?」
「あわわ、あ、たった今この間ここに来た彼らが、ここに向かって森を進んでおります。 恐らく今頃は中腹に差し掛かる頃かと思われます。」
「そうか、ご苦労だった。 にしても、少しは落ち着くことを学んでくれよな。 まあいい、お主は祝宴が始まるまで休みでよいから落ち着いてくれよ。」
「わ、分かりました。」
そうしている間にも、祝宴の準備は着々と進んでいくのだった。
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