102.森の奥地への進撃
クォーツたちの大軍はさらに森の奥へ進み、森の奥地の領域にやってきた。
森の奥地は、別の方角の森ではあるが、クォーツたちが普段暮らしているのと同じ領域になる。
なので、なんてことはないのだが、中腹同様に進めるかというと、さすがにクォーツたちと同等程度のモンスターが出現するので、一発二発で倒れてくれるわけではない。
そういうこともあり、進軍速度は一気に落ちたわけだが、とはいってもいつも身近にいて、いつも戦っているモンスターが相手なので、勝てないわけではないようだ。
しかし普段と違い、モンスターの数が数なので、このような状況になってしまっている。
そして、そうなっている原因のもう一つが、森の奥地に生息するモンスターだけあって、装甲が厚く矢を弾いてしまったり、魔法が効きにくいモンスターがいたりして、先ほどまでのように上手くいかなくなっているのだ。
「うわっ、しまった・・・。 ちょっと交代してくれ、腕を怪我した・・・。」
「ちっ、装甲が固すぎる! 誰か応援を頼む!」
「弓矢の子、そいつに射っても無駄だ、矢がもったいない!」
このような感じでモンスターの強さが一気に上がったことで、苦戦したり、負傷者が出たりという状況で、なかなか前に前に進めなくなってきたのだった。
そこで、弓矢・魔法部隊の効果が薄れてきたため、ある程度木々の上からの狙撃部隊を残して、地上の近接部隊と合流し、近接メインの戦闘スタイルに変更させる旨の指令が下された。
このままやってもよかったのだが、そうした場合、日が明けて人間たちに追いつかれたときに見付かってしまって、面倒ごとに巻き込まれてしまう危険があったから、こう判断したようだ。
それに、負傷者ばかり増えてしまってもいけないからね。
そんなこんなで、戦闘スタイルを変更し始めてしばらく、確かにこのスタイルに変更してから進撃のペースは早まっている。
というのも、森の奥地に入ってから、ろくな攻撃力を与えられなかった弓矢・魔法部隊が減り、その分実際に攻撃効果のある近接部隊がかなり増加したので、効果絶大で進撃スピードも上がるというわけだ。
「よし! 弓矢・魔法部隊は、攻撃が効くモンスター、効きにくいモンスターが分かってきた頃だろう。 各々攻撃の効きやすいモンスターを集中的に狙うようにしてくれ!」
ソンチョーから的確な指示が飛ぶ。
なるべく無駄なく効果的に攻撃できるように、選定して攻撃するようにということだ。
この指示の甲斐もあって、近接部隊が当たるモンスターが減り、さらなる負担軽減につながっていた。
「よし! お前たちいい調子だ! このまま最奥まで突き進むぞ!!」
「おう!!」
ドドドドドドドド
モンスターたちをなぎ倒しながら、どんどんと奥へ奥へと進んでいくクォーツたち。
そうしていると、そのモンスターたちが急に一体もいない空間が現れた。
そう、ついに彼らは、森に大量に発生してしまったモンスターたちを、すべて排除することに成功し、森の最奥までやってきたのだ!
最奥だからといって特にボスがいたり、何かがあったりするわけではないので、その点は心配いらない。
なので、今まで緊張感のあったクォーツたちにも安堵の表情とともに、笑顔があふれていた。
ようやくこれにて、作戦が完了した。
ここで祝杯を上げたい気持ちだったが、人間たちが来てはいけないので、休む間もなくクォーツたちは自分たちの村へ帰っていったのだった。
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