告白
また、1年が過ぎ枯れ葉も散りかけたこの季節、私はとある男子に校舎の屋上に呼び出された。
あぁ、また男子に呼び出されたのか。
そう思い憂鬱な気分になっていた。
今年になって何回目だろうか。
思えば中学に入ってから10数回、男子に告白されている。
私だって暇な女じゃない。
それに男子に告白される度に同性である女子からは疎まれている。
別にぶりっ娘ぶっている訳じゃないのに。
このままじゃぁ、中学でも女子の友達がゼロかな。
別に男子の友達がいる訳でもないけど。
そう思うと悲しくなってくる。
それもこれも男子が話しかけてくるからだ。
そう思うとなんだか腹立たしくなってきた。
屋上に着くとそこには男子がモジモジして立っていた。
偏見かも知れないけどせっかく告白するんだからもっと堂々としていれば良いものを。
そう思うと余計に腹が立ってきた。
私に告白しようとしている男子は中1ぐらいだろうか。
いや、それよりも幼く見える。
いわゆるショタ系男子だ。
そのショタ系男子はいきなり
「入学式の時から一目見て好きになりました。
どうか僕と付き合ってください!!
ちなみに僕はこう見えてあなたと同じ中3です。」
私はビックリした。
まずこのショタ系男子が中3であること。
そして、今は二学期も終盤。
私たちはもう卒業間近での告白だと言うこと。
大体、入学式の時に一目惚れして今って、遅すぎるだろう。
そう思うと段々腹が立ってきた。
「え〜と、まずはごめんなさい。
それにしても今の時期、告白って遅すぎるわ。
私たち、高校受験でしょう。
それに私、女の子が好きなの。
君が女の子だったら脈があったのにね」
と私も嫌みの1つぐらい彼に言ってみた。
でも、彼はくじけなかった。
「確かに告白は遅すぎたのかも知れない。
でも僕たちはまだ中学生。
高校になってからも付き合うことが出来るじゃないか。
君と同じ高校に行きたいし」
私は
「あら、残念。
私は高校は女子校って決まっているの。
それに私は本当に女の子しか愛することが出来ないの。
あなたが性転換でもしない限り私と付き合うことは出来ないわ。
高校も一緒の高校を通えないしね」
ここまで言うと泣きながらそのショタ系男子は帰ってしまった。
ちょっと言い過ぎたのかも知れないと後悔したけれど。
ちなみに私が女の子が好きなのは本当のこと。
追い返す口実で言ったのではありません。
告白してくる男子のフラグを折るためには正直に私の方も告白しなければなりません。
でないと何回もチャレンジしてくる男子がいるから。
それにしても今回も完膚なきまでに男子のフラグを折ることが出来ました。
我ながら感服です。
季節が過ぎ中学を卒業し高校に進学しました。
もちろん女子校です。
そこの学校はお嬢様学校で私好みの美少女がよりどりみどりなのです。
早くお友達になりたいと思いました。
1ヶ月が過ぎました。
中学でぼっちだった私には未だに友達が出来ません。
まぁ、世の中そう簡単にはいかないものです。
ある日、別のクラスの女子に学校の屋上に呼び出されました。
私は何の用だろうとそそくさと屋上に向かいました。
屋上に着くとそこにはロリ系の美少女が立っていました。
「一目見た時からあなたのことが好きになりました。
どうか僕と付き合ってください」
私のタイプの女子だったので素直に快諾しました。
それにしても僕っ娘か。
初めてつきあう女の子が僕っ娘なのかと感慨に浸っていると
「それにしても良かった。
前、告った時には、とりつく島もなく断られたから」
「!?」
私は女の子に告白された経験はないのだが。
かといって女の子に告白する勇気もなかったけれど。
「覚えていませんか。
去年の秋ぐらいに告白したのだけど」
と言われてもこんな美少女に告白されたの何ら否応にも覚えているはずなのだが一向に思い出せない。
「そういえば君は何人もの男子に告白されてたからね。
僕のこと思い出せなくて当然か。
雰囲気も変わっちゃったからね。
あのとき、性転換しなければ付き合うことが出来ないと言われてめちゃくちゃショックだった。
でもあなたを諦めることが出来なくて性転換しちゃいました。
あのとき告白した○○○○です。
思い出せないのなら特徴を言いますと一応ショタからロリになりました」
あのときの男子かっと思い出した。
確かに私は女の子が好きだと言ったけどそれを真に受けて性転換し女子校に入る奴がいるとは夢にも思わなかった。
それにしても重すぎるよ。
しかも私のタイプの女の子に変身しているなんて。
ショックはでかいが興味もあったのでいろいろと聞いてみた。
「君が疑問に思うのはしょうがないと思うよ。
まず、体は完全に女の子。
男子だった面影は皆無。
おかげで女の子の体のことは隅から隅まで勉強をした。
男子だった頃は知るよしもないから。
ショタって言う言葉もこの体になってから知ったこと。
女子の世界って男子の世界よりも奥が深いことを勉強できたと思っている。
BLや百合など男子だった時は知らないことばかりだしこれからも勉強していきたいと思う」
それは女子の世界ではなく腐女子の世界だと思うのだが。
それにしてもどっぷり浸かっている模様。
「あ、言い忘れていたけど君のために性転換したって言うのは物の例え。
本当は朝起きたらこの体になっていたんだ。
性転換症って言ったっけ。
女の子の世界に馴染むため女子校に進むのが決まりなんだって。
世の中には僕みたいな女の子が一定数いるみたい。
この学校には僕以外いないけど。
とりあえずこれからもよろしく。
恋人としてそして女子の先輩として」
彼女の笑顔はとても眩しかった。
元男の子だからって関係ありません。
私たちはこれから付き合います。