シスターの真相
シオリを自宅に送りセンターに戻って来たジュンは自席に座り書類整理を始めた。
するとそこに上司のジムラが現れた。
「ジュン君?今日は非番じゃなかったかい?」
「あぁ、ジムラさん。お疲れ様です。えぇ、そうなんですけど、なんか家に居てもやること無くて」
「そうか。でもちゃんと体は休めないと駄目だよ?」
「ありがとうございます。でも大丈夫です。それに、ちょっと気合い入る出来事もあったんで」
「気合いが入る出来事?」
「あぁいえ。何でもないです。すみません」
ジュンは先程ササキを殴り飛ばした際、自分の理想と共に怒りを吐き出した事でより仕事への情熱を高めていた。
ジムラは特に詮索する事も無くジュンを眺めていた。
「それじゃ今のうちにこれを渡しておくよ」
「はい?」
ジュンはジムラから1枚の用紙を受け取った。
そこには今回の殺人免許研修に関するレポートの提出要請と機密ファイルにアクセスするためのワンタイムパスワードの記載があった。
「今日中じゃなくてもいいけど、今回の講習に対するレポートと受講生の皆さんの受験結果を入力しておいてくれるかな?これで今回の研修内容は全て終わりだからね。あぁそうそう!くれぐれも余計なファイルや場所は閲覧しないようにね」
「分かりました。ありがとうございます」
そう言うとジムラはジュンの元から立ち去った。
ジュンは用紙を改めて眺め思い耽った様な表情を見せる。
(シスターさん…)
ジュンはどうしてもシスターの事が頭から離れなかった。
パソコンを操作しながらジムラから受け取ったパスワードを利用して殺人免許に関するフォルダにアクセスする。
必要事項を入力し終えると、ページを閉じないまま指が止まったジュン。
(…)
ジュンはいけないと分かりつつもシスターの申請書ファイルを開いてしまった。
恐る恐る申請内容を読み込むジュン。
するとジュンの表情は見る見る冷や汗と驚愕に侵食されていく。
「えぇ!!?う、嘘、そんな!!!」
ジュンはシスターの殺人免許申請の動機、相手、どの他の情報を閲覧してしまった。
真相を知ったジュンはたまらず立ち上がり、大急ぎで自分の車に乗り込みどこかへと走り去って行ってしまったのだった。




