JKブランド
それから数日後、ジュンはセンター内の資料室で自身が担当する書類を整理していた。
するとそこに先輩職員のチーナが現れる。
「お!いたいた。ジュン、ちょっと」
「あ!チーナさん。どうしたんですか?」
「お前を探してる子がいるんだよ。ちょっとそこの廊下まで出てきてくれ」
「探してる人?」
ジュンはチーナ誘導の元、人気の無い廊下までやって来るとそこにはJKの姿があった。
「お!いたいた。やほー、お兄さん」
「じぇ、JK君?」
「お前に用事だって。そんじゃ俺はこれで」
「あぁ、すみません!お手間かけました」
先輩職員のチーナが立ち去り2人きりになったジュンとJK。
「で?用事って何?」
「へへー。じゃじゃーん!」
JKがジュンに見せたのは自身の顔写真がプリントされたカード型の免許書だった。
それは先日最終試験に合格した事により発行された殺人免許の免許証だった。
「お、おぉ!ついに発行されたんだ。免許」
「いぇーす!でもなんかデザインは他の免許と変わらない感じでちょっとがっかりぃ」
「みたいだね。で?今日はその免許を見せびらかすためにわざわざ来た訳?」
「そんなわけないじゃーん。ほれほれ、例の取り引きのはなしー」
「あ!」
ジュンは先日JKと交わした取り引きのことを思い出した。
「どうどう?キラー先生の好みとか何か分かった?」
「いやぁ、ごめん。あちこち聞いて回ったんだけど、やっぱりキラーさんの正体とかを知ってる人はいなかったんだよ」
「えー!マージー?」
「一応キラーさんと同期入所のジムラさんっていう人にもそれとなく聞いてみたんだけど、やっぱりよくは知らないんだって。なんかやっぱり謎の多い人みたいだよ、あの人」
「ふーん。でもそれも何かミステリアスでかっこいいぃ~!」
JKは両手を顔に添え改めてキラーに想いを馳せる。
「まぁでも仕方無い。こうなったらじぇーけーブランドで真っ向勝負だなー」
「成功するといいね」
「お兄さんはー?」
「え?」
「シスターさんに告るのー?」
「え!?い、いや、べ、別に俺は…」
「なんだよー。男らしくなーい」
「う、うるさいな。いいだろ別に。ほっといてくれよ」
「まー、別にいいけどさー」
つまらなさから唇を尖らせ不満げな表情を見せるJK。
「あー、じゃあさー。男心おしえてよー」
「え?」
「だからぁ~、男の人ってどーゆー女子が好きなのかってことー」
「いや、それは人それぞれだと思うけど」
「やっぱりおっぱいは大きいほうがいい?」
「そ、そんなこと知らないよ。俺は興味ないね!」
「うそだー!試験告知あった日にこっそりシスターさんのおっぱい見てたくせにー」
「なっ、なななっ、なっ、何で!?き、気付いてたのか???」
「みんな知ってるよー。バレバレだったしー」
「そ、そそそ、そんな…。ってことはシスターさんにもばれて…」
ジュンの顔面から全ての血の気が抜け落ち、今にも開いた口から霊魂が飛び出てきそうな状態になるとJKが続ける。
「早いとこ童貞卒業しろよー!」
「うぅ、うるさい!もう止めろ、それ!」
「いいじゃーん。ちゃーんと卒業したら呼び方変えてあげるってー」
(こ、このガキ…)
「ちゃんと幸せな卒業のしかたするんだぞー!私みたいになるなよー!」
「あっ…」
ジュンは彼女が背負っている過去を思い出し、同時に怒りの感情も姿を消した。
「んじゃ行くねー。キラー先生探さないとー」
「あ、あぁ。頑張ってな」
「せんきゅーでーす!」
そしてJKは元気よくその場から立ち去って行った。
ジュンはJKの姿が見えなくなるまで見送ると再び職員専用の資料室へと戻って行くのだった。




