試験終了。合格してしまったシスター
「う、嘘だ…」
「へー」
「マ、マジか…」
「シスターさん…」
「うひょぉ~。やっばぁ~い!」
それぞれがそれぞれの反応を見せた。
一同が目にしたのは部屋の中央で大量の鮮血を撒き散らし倒れる死刑囚の男、そしてその傍に跪き両手を地に着け震えるシスターの姿。
その横には凶器となったであろう銃が転がっていたが、その銃もまたべっとりと血塗られていた。
シスター自身もまた体操服を大量の鮮血で染めている。
言葉を失う一同をよそにキラーは部屋の中に入って行く。
シスターの様子を伺いながら倒れている男の脈を確認するキラー。
ジュンはたまらず部屋の中に入ろうとするが、すぐさまキラーにより制止された。
「シスターさん!!」
「入るな!」
「うっ…」
キラーの制止にジュンは歯がゆくもその場で立ち止まった。
そしてキラーは再び現場検証を再開する。
「シスターさん?大丈夫ですか?」
「…っっっ…」
シスターは目の焦点が合っておらず、ひたすら小刻みに震えていた。
(全て死刑囚の血だ。さしずめもみ合いになって弾みで発砲しちゃったって感じだね。まぁ不幸中の幸いか)
キラーは立ち上がり例の如く温度の無い声色で言葉を発す。
「うん、死んでるね。おめでとう、合格ですよ」
「………」
キラーの問いにも反応を示さないシスター。
キラーはゆっくりとシスターの腕を取り立ち上がらせ部屋の出入り口へと歩いて行った。
「シ、シスターさん!?どうしたんですか?大丈夫ですか?」
すかさずジュンが声を掛ける。
言葉を発することはなかったが、ジュンからの問いかけに段々と目の焦点が中心を取り戻し正気を取り戻した様子を見せるシスター。
「シ、シスターさん!あの、お怪我は?」
「大丈夫。彼女は無傷だよ」
シスターは未だ呼吸が落ち着かない様子で小刻みな震えを止められずにいた。
「わ、わ、私…何てことを…」
「シスターさん!しっかりして!気を確かに!シスターさんが悪かったんじゃない!」
ジュンの必死の呼び掛けにもやはりシスターはまともな反応を見せれず、ただ震えていた。
元医者である委員長がシスターの快方を申し出る。
「取り合えず上の更衣室に連れて行きましょう。着替えさせないと。ジュンさん、毛布と何か甘くて温かい飲み物を持って来て」
「わ、分かりました!」
「うん。じゃ取り合えず皆で一旦出ましょうか」
こうして一同はキラー先導の元、極秘施設である地下2階から死刑囚達の遺体を残したまま姿を消して行った。
殺人免許最終試験は合格者3名、辞退1名という結果で幕を下ろしたのだった。




