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平均律"A"  作者: 黒鍵
6/7

Episode. 5 愛 と 寒さ そして 出会い

※Attention※

今話からすこし音楽について触れています

そんなの、ぜんぜん知らないよって人はあとがきをよんでいただけるとうれしいです

―――ピp ガッ


........朝か

僕は、目覚まし時計がおそらくすべての人を不愉快にさせる音を、ワンコール鳴らされる前に起きた


僕は、重たい体を引き、ベットから転がるようにして起き上がる


今朝は4月だというのにまだ寒い


今日は、僕が愛する妹のために、朝ご飯をご馳走してやろうという粋な計らいという名の、朝ごはんの当番という理由で早起きをした


当たり前だが、リビングには誰もいない

僕は、とりあえず、電気ポットに水を入れてお湯を沸かす


それから、食パンを2つと卵を冷蔵庫から出してフライパンに油をひく


そして、食パンは鮮やかな手さばきでトースターへダイレクイン

割られた卵は熱されたフライパンに向かって、地球の重力に身を任せた卵が落ちてゆく


審査員も納得の満点な着水ならぬ着フライパンである

そんなことをしている間に我が愛妹がおきてきた


「おはよう、ございますお嬢様」

僕は、英国紳士さながら、妹に挨拶する

「....うむ、くるしゅうないぞ」


なにか、時代と国が少しずれた気がするが一日の始まりのコミュニケーションは良好といったところだろうか



そのまま、僕は、いつものとおり朝ごはんを食べいつものように学校へ向かおうとした時、妹が僕に言った


「お兄ちゃん、今日雨振るらしいから、傘もって行ったほうがいいよ」

「おっけー、じゃあいってきまーす」


僕は妹の忠告をしっかりと受け止めたつもりであったが、あせったせいか傘をつい持ってきそびれてしまった

.....まぁ、今日はそんなに遅くならない予定だしいいか



そんな感じで、いつものとおりに僕の学校への通学は滞りなく進んでいった



学校に着くともう、校門近くで、部活のビラを配っている生徒たちがいる

そのなかに、見慣れた顔もあった


「やあ、潤おはよう、どうしてそんなに疲れているんだい?」

「おう.....奏か.....実は、いろいろあってな」

サッカー部の朝練でもしたのか?の割には、やけに疲れているような


「そいつは、さっきまで女の子に取り囲まれてうらやまけしからんだったんだよ!!」

さらに聞き覚えのある声が隣から聞こえてくる


「やあ、時田おはよう、うらやまけしからんの意味がわからないけど」

時田は何しているのかとも少し思ったが、どうやら漫画研究会のビラを持っている

「時田も朝からパシられて大変だね」

「ちげぇよ!自分の部活だよ!!」

どうやら、僕は見当違いをしていたようだ

「大体お前は、自分の部活の宣伝しなくていいのかよ!」

「そうだぞ、お前だって一応部長なんだからな」

時田の発言に潤が輪をかけて言う


「僕は朝の妹と過ごす時間を至福と感じているのでね、それに、興味があるなら自分から来るだろう」


時田が今にも―このシスコンめ―とでもいいたそうな顔をしていると思った次の瞬間

「このシスコンめ」


「やっぱり」


そんなこんなで、僕は友人たちとのコミュニケーションをとり、いつもどおりに、教室に行きHRが始まる

教室では、ものめずらしい転校生に女子たちが群がっている


「奏もあの転校生きになるのかよ?」

真後ろの席の村上がそういった

「気になるならないというより、あれでは気にせざるを得ないだろう」

僕は冷静に答えた

「島田いいよなぁ、顔もいいし、性格も穏やかっぽいし、2組に編入されるってことは頭もそれなりにいいんだろう?」

「僕は、ほかの女子とか興味ないけどな」

「はいはい、シスコンですもんねー」


なぜか、村上にも言われてしまった

「でも、俺的に3組の神無木かんなぎ天音あまねも気になるんだよなぁ」

はて、村上がそう口にした名前に聞き覚えはない

「そんなやついたか?」


「なんでも、去年まで留学していて、今年かえって来たらしいぞ、超がつくほど美人なんだとかどうとか」

「すると、村上も見たことないのか」

「今日見に行こうと思って、奏もいくか?」


「遠慮しておくよ」

僕はそう簡潔に答えた


「今日は、午前中は新入生レクリエーションとして、部紹介を行いますので、第一体育館に集合してくださーい」

あさちゃん先生は今日も元気である


体育館に移動してまもなく部紹介という名のパフォーマンス大会が始まった

進行としては、最初に運動部あとに文化部といった流れで進行するとのことであったので、僕の出番はお昼すぎであった


体育館は若々しい新入生で埋め尽くされ、ステージ上では野球部がパフォーマンスという名のねたを披露していた


そんな風にぼーっと見ていたら、サッカー部のパフォーマンスが始まった

ステージ上には今朝ぐったりしていた潤の姿が見えるやいなや、新入生から黄色い悲鳴が飛び交った

どうやら、時田が言っていた"うらやまけしからん"とはこれのことらしい



そんなことを考えているうちにサッカー部のパフォーマンスが 始まった

「先輩、なんで、リフティングしながら作文しているんですか??」

潤が恥ずかしそうにしながら、器用な足使いでサッカーボールを操る先輩らしき人に対して言っている

「だって、サッカー部だって言うから」


「それ、作家部とサッカー部混じってるから!!」


潤の渾身というか会心の一撃は宙を舞いあさっての方向に飛んでいった

僕は、急に寒気を感じた、まだ4月でセーターを脱ぐには寒かっただろうか

ともかく、それ以降この会場が暖まることはなかった


そんな、サッカー部を見た僕はトイレにいた

なんだか、さっきの寒さのせいか、急にトイレに行きたくなってしまった

トイレに行く途中に、女子たちが潤がスベったなどという妄言を言っていた気がしたが気のせいであろう

・・・・いや、あれは、確実にスベったというやつである



そんな感じでトイレから出たところで僕は体育館に向かって歩き出した


そして、数歩歩いた瞬間目の前の"それ"に気がついた

僕は息をのんだ



そう、彼女である



春休みに、現れてまったくそれ以降姿を見ることがなかった彼女である

僕は彼女を見つけると自分では気がつかないうちに彼女に向かって歩き出していた

そして、自分が何かに駆り立てられているようなあせるような気持ちにもなっていることに気がついた

ここを逃したら彼女にもう会えなくなってしまうのではないかというようなそんな気持ちである


彼女まであと半歩といったところでどうやら彼女も僕に気がついたようだ


そして、僕は彼女についに話しかけた

「....君は」

僕がそういうと彼女は優しく笑った

外から風が吹いてきて湿ったような暖かいような香りがした


「久しぶり!カナちゃん!会いたかった!」

彼女は急に僕の手を握った

彼女の手は、とても柔らかいがしっかりとしていて、そしてどこか懐かしい気さえした


僕の思考はまた停止への一途をたどった

そんな時


「音楽部さんはステージ袖で待機をお願いします」

なんて、タイミングの悪いアナウンスであろうか

このときほど、生徒会をのろったことはなかった


そして、彼女はそれが聞こえるとすぐに僕から手を離し

「音楽部ってカナちゃんの部だよね?いかないといけないみたいだね」

そういって、彼女は僕から一歩間を取った


「待って、君はいったい何なんだ?」

僕はそういった

自分の声が震えていることに気がついた


「あれ?久しぶりに会ったから忘れちゃったかな?まぁ、積もる話もあるだろうし、後で部室にでもお邪魔するよ!

 潤ちゃんも一緒にきてって言ってね!」


ついに僕は理解できなかった

そういって、彼女は手を振って僕の前から姿を消した




ついぞ、僕の謎は深まってしまった



いずれにせよ、僕は呼ばれたとおりステージ袖に行った

ステージでは時田が、カミカミの文章を読んでいる


「では、次は音楽部さんです」


僕はさっき起きたことに処理が追いつかず、ぼっとしており袖にいた生徒会の人に言われてやっと気がついた


そうだ、今はとりあえず待とう、夕方に会えるまた会えるのだから

そうしたら、聞き出してやろう



僕はステージに上がった

「こんにちは、音楽部です、今日ははやっているらしい愛をテーマにした曲を演奏をします」

僕はそう短くいい、ピアノに座った


そして、僕は奏でる



愛の夢第3番/F.LIST


リストの代名詞といっていいほど有名な曲であるから、絶対みんな知っているはずであると思う

この曲は、右手左手関係なく伴奏とメロディを奏でる

まるで、愛のように音と音が絡まりあってゆく、そんな音楽である


学校のピアノは少し甲高い音色の音を奏でている

だから、僕はわざと1オクターブ低くひく

そうすることでつやのついた音楽となる


それでも、僕は彼女のことがやはり心のどこかで気になるようで、演奏中も終始考えてしまっていたことに気がついた


そんな、もやもやした気持ちであったが演奏が終わった

新入生の反応もさぞかしいいことであろう


そんなことはなかった、みんなぽつんと口をあけてまるで親鳥が雛にえさを与えるようなそんな風景画が広がっていた


そんなわけで、僕の部活紹介が終わったのだがステージを降りたところに、潤がいた

僕は潤に問う

「みんな、何であんなになんともいえない顔してたの?」


潤は言う

「だれも、知らないからだよ、選曲が悪すぎるんだ」


おかしい、僕はきのうかのんに今のトレンドを確認したはずだ...なのになぜ?

「お前は知ってはいたが、少し世間を勉強したほうがいいようだな...」


潤がそんな風に呆れ顔で行った


件の放課後まであと5時間を切っていた

F.LIST(フランツリスト)は19世紀に活躍したハンガリー出身の作曲家です

リストは超絶技巧をもったピアニストでどんな曲でも初見で演奏したって言う逸話すら残っています

また、その演奏を聴いた女性たちは失神したというくらい熱狂的なファンもいたらしいです

代表曲として作中でも触れられている「愛の夢 第3番」や「ハンガリー幻想曲」、「超絶技巧練習曲」などがあります

ちなみに、ラ・カンパネラは一度は誰でも聞いたことがあるかも?

(作者しらべ)


皆さんはリストの曲の中で何が好きですかね?

私は、超絶技巧練習曲よりマゼッパが大好きです

皆さんも、好きな曲とかあったら教えてください



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