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平均律"A"  作者: 黒鍵
3/7

Episode. 2 疑問 と 日常 そして 予感

いま、この人はなんって言った?


僕は彼女の言った言葉の意味がさっぱりわからなかった


何と言ってもこれはただの"部室の鍵"なのであるから


この鍵を必要として探し回ってたというのか?



それなら、鍵の貸し出し表を見ればいいだけの話である

なおさら、学校の廊下でケータイを振り回す必要はない



とりあえず、何か返さなくては


あなたは…


口からこぼれようとした言葉が半分いわないうちに聞き覚えのある声に遮られた


「おーい、下校時刻過ぎてるぞー」


その声の持ち主は日本史の先生だった


すると急に目の前の彼女が

急に僕の手に疑問の種を押し込め僕の耳元で小さく言った


「じゃあまたね、橘 奏くん」


そう言って彼女は廊下の先に消えて行った


僕は唖然としてる他なかった


そうだ、先生なら何か知っているのではないか


そう思い先生に聞こうと思い振り向くと僕の質問を遮るがごとくに職員室の扉をしめられてしまった


結局僕はこの5分もしないうちの謎の現象の答えを出せなかった


とりあえず家に帰った僕はベッドに突っ伏し自問自答を繰り返した


Q. 彼女はうちの生徒なのか?

A. 同じ制服来てただろ


Q. 自己紹介したっけ?

A. してません


Q. じゃあ、なんで僕の名前知ってるの?

A. 知りません


Q. またねってなんなんだ?

A. 聞き違えじゃないですか?


そんなこんなで、くだらない自問自答を繰り返した結果ふとしたことを思い出した

彼女の腕にはめていたブレスレットだ

僕はあのブレスレットをどこかで見たことがある

特徴的なト音記号のようなかたちがあしらわれている、ちょっと珍しいものだが

はて、どこで見たか思い出せない


とにかく悩んでも仕方ないのでその日は寝ることにした


次の日は終業式だったので、休むということもできず仕方なく学校に行った


すると、廊下を歩く僕の名前を呼ぶ声が聞こえる

「おーい、かなでー」


この声は同じクラスの、長瀬 潤―ながせじゅん―だ

僕とはぞくにいう幼馴染というやつだ

だが、幼馴染といえ、

男子なのでさほど大きな事はない


そういえば、僕のことをなにも言ってなかった

僕の名前は、橘 奏 ―たちばなかなで―名前が2文字で済むのでとても楽な名前だ

ここ、国立奈巻高校の1年生で

音楽部という部の部長をしている



「お前、なに一人でブツブツ言ってるの?」

潤が言う

「読者サービス」

僕は短く答えた


そういえば昨日の出来事、潤なら何か知っているかもしれない


「お前、僕以上に変わった女子をしらないか?」


「しらないな」


彼は間髪入れず答える


「お前なにおかしなこと言ってるんだよ」


それもそうだ、質問の内容があまりにも抽象的すぎた

僕は潤に昨日あった出来事を話してみた


「なんだそりゃ、謎の美少女登場ってか?」

彼はいつものようにからかうように笑う


続けて彼が

「で、おまえはその子が気になると?」


こいつは、なにを言っているのだろうそんなの当たり前だろう


そんな、話をしていると担任の先生が入ってきた

「ホームルームはじめるぞー」

僕の担任は女性で、いつもはかなり口調が丁寧なのだが、今朝はかなり口調が荒い、これは、彼氏と何かあったか…などと考えてる間にホームルームは終わろうとしていた


「えー、最後にみんなにお知らせがある

来年度はこの学年に1人増えることになった」


僕は潤と顔を見合わせた


潤は

<テンプレ的展開きたんじゃね?>

とでも言いたそうな目をしている


しかし、そんな都合のいい話があるだろうか


うちの高校は5クラス編成で1年に2回クラス替えがあるが、クラスは成績順になるためほぼ同じメンツである

もちろん、クラスが変わると成績帯が変わるため指導方法も変わる、下に行けば行くほど辛くなるといった仕組みだ


だから、1人増えるということは成績帯のギリギリにいる奴らにとっては死活問題である


ゆえに、クラスは阿鼻叫喚するものもいれば、新しくくる新人の事を楽しげに予想するものの2分にわかれた

もちろん、ギリギリにいる奴らは、全員違わず前者の反応を示した


そんな、みんなのざわつきを背にホームルームは足早に終わらせられた


潤が僕のところに来ていう


「テンプレ的展開きたんじゃね?」


僕の予想と一字一句違わず言った彼に僕は

「やっぱり」

と言わざるをえなかった


「だって、昨日のそれといい、タイミングってもんがあるだろ!」


「そうだね」


僕はそっけなく答えた


「なんだよ、お前気になんないのかよ」


気にならないわけでもないが、わざわざ調べる手間が減ったという方が僕の中に大きく居座っていた


「気になる、気にならないに問わず昨日の疑問の種が自分から出てきてくれるなら好都合でしよ?」


「うっ…確かに…」


「とにかく、家宝は寝て待て状態に入った、僕は帰るよ、潤は練習?」


「おう!もうちょっとで大会だからな!」


潤は、サッカー部に属している

なんでも、1年の中でも指折りの名選手なんだらしい



「じゃあ、また、春休み明けに」

「また、1週間後にな!」


そう言って別れた僕だが、僕にとってあの事が気になってたまらない1週間になるかと思ったが1週間は思った以上に忙しくあっさりと過ぎていった僕にとってその事は些細な事へとシフトチェンジしていた


そして、暖かい風とともにまた春がその姿を見せようとしていた

季節は春となる

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