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2/12

#1

しかし、嵐のような人だった。朝っぱらからどっと疲れを感じる。

はあ、と溜め息を吐いて自席に座ると、隣の席の男子が声をかけてきた。無論、友達などではない。ただのクラスメイトだ。

「よっ、朝から幸せそうだな!」

何をもって「幸せそう」と言っているのだろうか。こちとら不愉快極まりない状況下にいるというのに。僕が無視していると、彼は僕の背中をバシッとたたいた。痛い。

「なんだよ!告られたんだろ、あの子に」

彼が指さした先にいるのは、独りで読書をしている彼女だった。

「そうだけど」

「変なの、面白いなあ」

彼はケラケラと笑うけど、何が面白いのか、僕にはわからない。

「あの子、ちょっと変わってるよな」

それは共感できる。他の女子とは明らかに違うのは確かだ。

「それが、どうかしたのか」

僕がそう問うと、彼はううん、と少し考える素振りをして答えた。

「なんか…死にたがり、らしいぜ」

死にたがり?どういう意味だ。今日はなんだか、不思議な事ばかり耳に入るな。不吉だ。

僕が眉をひそめると、彼はわははっと豪快に笑った。

「噂だけどな!お幸せに!」

そして再び僕の背中を、今度は二度も叩いて席に着いた。

なんだか、嫌な予感しかしない。

このクラスで、僕はやっていけるのだろうか。

僕はこの日、溜め息を四度吐くことになった。

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