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第13話 ……BLですか?

……いや、前の話の前書きでは確かに胸騒ぎがしたんです。

 

本当ですよ?

 

……え?

 

……タイトルですか?


…………いや、ねぇ。

 

うん、えーと、つまるところを言うと――

 

 

「兄さんはBLって事で――」

 

「だから、違うってぇええええええええええ!!!」

 

「……本当ですか?」

 

「本当だぞ! 俺、蛍一筋。信じてくれ」

 

「……むぅ(疑う瞳)」

 

「ちょ、その瞳、…………ひでぇっすorz」


えーと、うん。まず整理しよう。

……一体、何でこんな事になったのだろうか?

左隣にはムスッとした兄さんと、右隣にはさっき知り合った少年がにこーっと笑って、私を見ている。


「姉さんとこうして遊ぶなんて、ホント何年ぶり以来だろう。それに、壮士兄さんとも遊ぶのもすごく久しぶりだしね。


「あ、あはは」


私の事を“姉さん”と呼ぶ少年の名前は、恋。綾瀬 恋<あやせ れん>という。

何故、私の事を姉さんと呼ぶのかは、少し前の話に遡る事になるのだが――。


「ねえ、壮士兄さん。なんでシカトなの? ねぇ?」


「…………」


兄さんが恋君の言葉をシカトする。珍しい、実に兄さんらしくない。……いつもの兄さんなら、普通にノリツッコミをすぐするはずなのだがどうやらしないらしい。……あぅ、困ったなぁ、ホント。


「に、兄さん……」


兄さんの腕の裾を軽くひっぱり、兄さんに恋君には聞こえないように耳打ちする。


「そんな不機嫌にならないでよ。私だって、正直どういった状況なのか困っているのに……」


「……蛍。わかっている、……わかっているんだよ。でもな、こればっかりはさすがにタイミングが悪すぎたんだ」


「う……うぅ」


どうやら、兄さんの怒りパラメーターは結構な位にまで来ているらしい。珍しい分、怖いんだけどね……はぁ。


「あのさぁ、壮士兄さん。もしかして……“うちの姉さん”とデート中だったりしてた?」


恋君がからかう様な言い方で、兄さんに詰め寄る。てか、なんか恋君の目も若干狙っている感じがしているので、明らかにからかっているな、これ。兄さんもピリピリしている分、悪かった雰囲気が更に悪化していきそうだよ……うぅ。


「…………」


恋君の明らかにからかう言葉をそれでも無視し続ける兄さん。




「無視するなよぉー。奇跡的にもこうして、僕と姉さん……“姉弟”が再会できて、なおかつ“従兄”の壮士兄さんとも出会えたのにさ」




恋君が“従兄”という部分を強調して言う。


「れ、恋君……!」


さ、流石にちょっとまずい雰囲気になりかけたので、恋君の言葉を制しようとする。

だが、その時、沈黙を決めていた兄さんの口が開く。




「ふっ……恋よ、“相変わらず”のシスコンなんだな、お前は。やっぱり、小さい頃から『お姉ちゃん、お姉ちゃん!』とばかり言って、蛍の後ろに常についてきていたもんな、お前」




「ちょ……っ、兄さん!?」


うちの兄さんがまた、いきなり何を言い出すかと思えば、挑発返しだった。しかも若干ひきつって笑っている。

無理があるよ、兄さん、それ!


はぁ……、我ながら情けない兄を持ってしまったな、と思ってしまう。


年下の恋君相手に、そんなに向きにならなくても――。






「うん、シスコンだよ。だって、僕姉さんの事を愛しているし」






お、おいいいいぃッ!! ちょ、まて、恋君、何を言っている!?




「れ、恋君……ッ! い、今の、姉弟って意味で言ったんだよね? そうだよね?」


……そうでないと困るぞ、私は。



隣ではただでさえ、恋君に対して殺気を放ちまくりの兄さんがいるのに……。



「え? いや、もちろん女性としての意味だけど?」


「よし、恋よ。ちょっとこっちに来ようか」


そう言って、兄さんが恋君の腕を引っ張って、どこかへ連れて行こうとする。


「い、痛いよ……。も、もしかして……壮士兄さん、僕に……」


「ああ、そうだ。……俺はお前を……」


「ああ! やっぱり!」


「自分でもわかっているんだな。なら話は早いな。今、お前を――!」


「――やっぱり、壮士兄さんは姉さんに嫉妬しているんだね? 僕の事が好きすぎるから!!」


「……は?」


兄さんが拍子抜けた声で息を漏らす。……私も兄さんと同じ気持ちだ。


「これがモテる宿命なんだね。……従兄の壮士兄さんまで、僕はたぶらかしてしまったなんて。しかも……男同士なのに……」


「お、おい……。勘違いしているぞ、恋。俺はだな、お前の事が――」


「うぅぅ、やっぱり……これって――禁断の恋、になるんだよね?」



恋君が兄さんを上目使いで見つめる。



「ちょっと、待て。恋、そんな目で見るな。ってか、寄るな!! 近いぞ、顔が!!」



「壮士兄さん、そんな激しく照れなくてもいいのに……」



「お、俺は照れてなんかまったく――!!」



「もぉ~、……照れ屋さんなんだから、壮士兄さんは」



恋君が兄さんにウィンクを放つ。……またこれが綺麗に決まったせいか、女の子がされたら、絶対にときめくだろう。それほど、良い容姿でなおかつ完璧なウィンクをしたのに、その相手が男とは……。








「ちっがぁあああああああああああう!!」








大声で否定をする兄さん。だがしかし、なんだか兄さんも嫌々言いつつも、顔赤くしているし……。


……むぅ。私と容姿が似ているからって、なにさ! 





「……兄さんの見境なし」



「……ん? 姉さん? 今、何か兄さんに言った?」


「ふぇ!? あっ……な、何も! 何も言ってないよ、恋君」



ぷいっと視線を反らす私に、恋君が気になったのだろうか? 今度は私に迫ってくる。


「姉さんって……さ。本当に――可愛いね」


「ひゃ……っ」


恋君が私の耳元で兄さんに聞こえないように囁く。いきなりだったので私は一歩下がって距離をすぐさま置いた。


「あははっ! 姉さん、そんなに警戒しなくてもいいのに」


「恋よ……。蛍に何を言ったんだ?」


兄さんが目を怒らせながら、恋君を睨む。いや……私がムッときたのは、もとはと言えば兄さんのせいなのだが……。


「やだなぁ、壮士兄さん! ……やっぱり妬いているんだ! 僕って、本当に壮士兄さんから愛されているなぁ~!」


「だから、違うって言っているだろうが! むがぁあああああああっ!!」


再び、兄さんと恋君がじゃれあう。

……はぁ。恋君がどこまで本気なのかはわからないが、私としてはたまったもんじゃない。

兄さんと両想いになった今、変な誤解は押さえておきたいものだ。


それにしても……兄さんと恋君って、なんだかんだいいつつも二人は仲が悪いようではないらしい。恋君がどう思っているのかはまだイマイチよくわからないけど、兄さんもそれほど恋君の事を嫌っているようには見えないし……。


むしろ、以前の私と兄さんの関係に似ていて、ちょっと羨ましい部分がある……かも。





……って! ああ! 何を言っているんだ、私は!






「壮士兄さん、好きだよ! 僕も……アイ・ラブ・ユー!」


「勘違いだ!! 俺はお前の事など愛していない!!! だから、やめてくれ!!」


「つれないなぁ~! 心の内では僕の事、本当に愛してくれているのに……」


「だから、なんでそうお前は俺の心を見過ごしたような言い方をするんだよ! 誤解を招くような言い方はやめろ!」


「ぶぅー!」


「むくれても駄目だぞ、恋!」





……いや、ほんと、以前の私の立場がそっくりそのまま兄さんに入れ替わっていて、ちょっと見ていて面白いかもしれない。




いや、客観視している私自身も正直どうなんだろうと思う部分があるんだけどね、……あはは。



ただ、なんかさっきまでの悪い雰囲気が崩れて、若干和やか(?)な雰囲気に戻りつつあるしさ。多分……恋君なりに気転を聞かせてくれたの、かな? そうだとしたら、やっぱり根はいい子なんだろう。



「ねえ、壮士兄さん。僕と姉さん、やっぱり選ぶなら絶対に僕だよね?」


「いいや、俺は断固蛍を取るぞ? 絶対にお前だけは取らん!!」


「ひどいなぁ~。……流石ツンデレの壮士兄さん! 内心では実は僕の事を――」


「だからなぁあああああ、俺はさぁああああ、ノーマルなんだよぉおおおおおお!!」





……でいい加減、これはいつまで続くんだろうか? 



いや、ホント、長い。うん……何、これ? えーと、これって、やっぱり俗に言う――。







「――BL<ボーイズラブ>?」






「それそれ! 流石姉さん! わかってるね~♪」





「おいおいおいおいおい、ちょっと待てぇええいッ!!!」





兄さんが大きな声を出して、ぼそっと呟いた私の肩を掴んで激しく揺らす。


「蛍よ!! 俺はそんな趣味はまったくないぞ!! 目を覚ませ!! わかった? わかったよな!? だから、今言った言葉を取り消すんだ!!」


「あ、ぅ……ちょ、兄さん、落ち着いて!」


先に言おう。非常に私たち三人は周りの人に迷惑だ。ええ、本当にごめんなさい。皆さん。

だからそんな痛々しい目で見ないでください。


……はぁ。


グラグラと揺らす我が兄の顔と言ったら……それはもう、必死そうで、……ええ。……まぁ、前科らしいものはあるが、兄さんが僕に抱いていた感情は真っ当なノーマル……だと信じたい。


「……はぁ」


「おい、蛍。今のため息はなんだ?」


「あ、いえ。……兄さんって、実際のところどっちなんだろうなぁ、と思いまして」


「ど、どっちって……何の――」


「NL<ノーマルラブ>派なのか、BL派なのかって言う……」





「俺はノーマルだ!!」





兄さんが物凄い形相で荒い息を立ててはっきり言う。

……そんな必死にならなくても。私だって、あくまで冗談で言っているつもりだったんだけどなぁ。


「ちぇ~っ、つまんなーい!」


恋君が本当につまらなさそうな顔をして、ふてくされる。

本当によく表情に出る子だな。


言い忘れていたが、今、私を含めたこの三人で観覧車に乗ろうと列にならんでいる所だ。



……列に並びながら、さっきまでの会話をしていたという事は、……うん、なかったことにしよう。



で、だけど……何故、恋君が私の事を“姉さん”と呼ぶのかは、少し戻って今から三十分前の話になる。



えーと、ご無沙汰です。

いえ、本当にすみませんでしたorz

この一年間、絵ばかりを描いていました。すんごく申し訳ないっす! 

そのために、遅れていた更新です

 

一年以上空けてしまいましたが、再開します!

 

長らく待った方、お待たせです。

 

僕なり、再開します!

 


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