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第10話 恋心


今、考えると……。


あの時間はすごく楽しかった。


私があそこまで真剣なるの……多分、初めてかもしれない。


だから、どうか……。


この気持ちが報われる事を……。



「さて、まだまだ続きますよ。少し乙女チックなシリアス恋愛パート。はたして、どうなるのか、否や? では、第10話をご覧あれ〜!」




唇を重ねた後、私は日記と写真を兄さんの机の引出しに戻して鍵を閉めた。

そして、鍵を元通りの場所に戻す。

勝手に知ってしまった以上、兄さんからは自分から言うつもりだ。



記憶を取り戻した事も、兄さんの事をどう想っているのかも。




「ん……んん、……あんぱん……」


兄さんはまだ寝言を言いながら、寝てらっしゃる。

本当に朝が弱いというか、低血圧というか……。

見ているこっちが耐えられないくらい、情けなく思えてしまう。


……まぁそれは、寝言を言う兄さんの姿が可愛いらしいので許すとしよう。


私は今度こそ、兄さんを眠りから起こそうと兄さんの体に乗りかかった。


「ほら、兄さん! 起きてください、朝ですよ。もう、学校遅刻しちゃいますよ!」


まぁ本当は休日で、学校はお休みなのだが、これくらいの嘘は言っておくべきだろう。

兄さんは私の大声に耳を塞いで、「後少し……、五分でいいから……もう少しだけ……」と子供のようにせがんでいる。


本当にもう、困ったお兄ちゃんだ。


あの日記に書いていた、たくましい兄さんは何処に行ったのだか……。


クスクスと笑いながら、兄さんの頬を少し強くつねってやる。

そうすると、兄さんが眉をしかめて痛そうな顔をした。


「む……むむ……」


「ほ〜ら、兄さん。もういい加減に起きてよ。朝だよ」


「……蛍?」


兄さんは一度目を開けて私の顔を見ると、またすぐに目を瞑った。


「今日学校ないだろ……。もう少し寝かせてくれよ……」


だるそうにそう言うと、兄さんは布団へと潜り込もうとする。

どうやら、昨日のあのお風呂での件については、もうあまり気にしていないように見える。

これなら、私も話しやすい。



「兄さん、ほら。もう起きているなら、布団から出てよ! ……じゃないと―――」



そこまで言って、兄さんの顔へと一気に急接近する。

そして、兄さんの耳元に息を吹きかけるよう、囁いて言った。








「―――朝のキス……しちゃうよ?」







「な―――ッ!!」


私の言葉に兄さんは顔を真っ赤に染め上げて、いきなり上半身を起こす。

そのせいで、私はバランスを崩してしまい、兄さんの体から落ちて、ベッドからも落ちてしまう。


「痛っ!」


ドンッ、と勢いのいい転んだ音をたてて、私は尻もちをつく。


「……もう! いきなり痛いよ、兄さん」


「だ、だって、お前……どうして……!」


さっき、私の名前を言ったのにどうやら寝ぼけていたのか、兄さんが私の顔を見て驚いた表情を浮かべていた。

私はお尻を払うと立ち上がり、兄さんがいる隣へと座り込む。


「わた……僕、ちゃんとノックはしたよ?」


危うく、『私』と言いかけてしまい、少し焦った。


今はまだ、兄さんには気づいて欲しくない。


……気づかれたくないのだ。


なんというか、雰囲気というのはやはり重要だろう。


「そ、そうか……。それなら……まぁ、……仕方ないか」


兄さんは渋々と納得して、私の体をずっと眺めるようにして見つめていた。


「えっと……蛍。お前、俺の買ってあげた服を……どうして着ているんだ?」


兄さんはまた少し照れたようにして言う。


「どうしてって……、着ちゃ駄目なの?」


「いや、そんな事は―――」


「なら、……いいでしょ?」


「う……」


言葉をつまらせながら、兄さんは私から目を逸らす。

その仕草に私は、また胸がキュンとなった。


あう……、ヤバい。

兄さんがすごく可愛く見える。

なんというか、子犬のように思わされる。

私もこんな仕草をされるとは思ってもみなかった。

兄さんは、ほら、あれだ。

通常の時と照れる時では、差が激しすぎるんだ。

だから、こうやって私が兄さんに積極的にいくと、兄さんは照れてしまう。

今までどうして、気付かなかっただろう。

やっぱり、記憶を取り戻してからの私は前までの私とは少し見方が変わっている。

兄さんがこうも可愛く見えるのだ。


私は兄さんの手を引っ張って、ベッドから引き起こした。


「お、おい、蛍」


「ほら、下に行こうよ。兄さん」


「あ、こら……! 手を引っ張るなって……。どうしたんだよ、お前。今日、なんかやけに機嫌が良くないか? なんか、おかしく見えるぞ」


「えへへ、気のせいだよ。さぁ、ほら早く」


兄さんの質問の私は笑顔で答えた。

どうしてだろう。

本当になんだか、気分がいい。


これは記憶が戻ったせいなのかな?


それとも、兄さんの事を男の人として意識しているせい?


まぁ、この際どっちでもいい。

とにかく、今がすごく楽しく感じられる。


「ねぇ、兄さん」


一階への階段を下りていく中で、私は兄さんに声をかけた。


「今日さ、僕と二人でどこかに遊びに行こうよ」


「二人って……。蛍、本当にどうした? 頭でも打って、おかしくなったのか?」


兄さんは私の言葉に呆れたようにして返してくる。


「もう、頭なんか打ってないよ。わた……僕は、僕だよ」


「ん? 今、お前……何か間違えて言いかけなかったか? 思えば、さっき部屋にいた時も間違えていたような……。えーと、わた……?」


「あ、ああ! えっと、それは……『綿菓子の夢も見てないよ」って言おうとしたんだよ」


「ああ〜、そっか。成る程」


「うんうん」


首を縦に振りながら、なんとか誤魔化す事に成功。


ふぅ……危なかった。

兄さん、本当に変なところには気にかけるんだから。

階段を下り終えて、リビングへの扉を開ける。

そして、兄さんには椅子に座ってテーブルで待っていてもらい、私は朝ご飯を作っていく。


「ねぇ、兄さん。何か朝ごはんに食べたいものとか、ある?」


「特にないぞ」


「なら、食べやすそうなものにしておくね」


それだけ言うと、僕は料理へと専念した。


トースターにパンを二枚、セットし終えると次に目玉焼きを作る準備をする。

卵を2個、油に火の通ったフライパンに入れる。

ジュワジュワと、焼ける音をたてて、白身の部分が徐々に焼かれて固まっていく。

そして、黄身がだいたい半熟ぐらいになったと思ったら、フライパンから出来上がった目玉焼きをお皿に乗せていく。

私が作る目玉焼きは出来上がった直後に味付けをするようになっている。


……というか、ただの癖です、はい。


塩と胡椒を全体的にまんべんなく少しだけ降り注いでやる。

これで私特製の目玉焼きが完成なわけだ。

出来上がった匂いに釣られてか、テーブルで待っていた兄さんが台所へと入ってきた。

後ろも見ずに足音で気付いた僕は、兄さんに言う。


「どうしたの? まだ、全部は出来上がっていないよ?」


「ふっふっふ。いやいや、俺はこれさえあれば十分で……」


僕の言葉に、兄さんは不気味な返事で返してくる。

と、突然お尻に変な感触がした。

すりすりと触られているような……というか、触っているのはここに一人しかいないのだが。


「ひゃぅ……。に、兄さんも発情期なんですね」


「ふっふっふ、さっきは後れを取ったが眠気が覚めた俺はまさに暴れん坊将軍なのさ! はっはっは!」


兄さんは豪快に笑う。


はぁ〜……。


やれやれ、その笑い声が近所の人に迷惑だって前にも言ったのに……

どうやら、いつもの調子の兄さんに戻ってしまったようだ。

なら……。


「ねぇ、兄さん」


「ん……? なんだ、マイシスター?」


お尻をまだ触りながら、平然と聞いてくる兄さん。

だが、これから私が言う言葉は、兄さんをKOに追い込むほどの威力を持ち合わせたものだった。





「もっと……触ってもいいよ、ここも、あそこも……」




「……え……?」


いきなり、兄さんから豪快な笑いが消える。

そして、呆然とした表情で私を見てくる。

私はそれに構わず、兄さんがお尻に当てていた手の指を……口にくわえた。





「ん……、ん……んちゅ……」




「ちょっ、……け……い……っ!?」


兄さんの驚く声に私は指を口から離す。


「んぁ、……どうしたの? 兄さん」


「……あ……」


兄さんが呆気のない瞳で僕を見つめた後、その顔をさっきみたく、また真っ赤にさせた。

頭からは湯気が、しゅわしゅわと出ているように見える。

やっぱり……、兄さんは責められると弱い。

どんどんと顔が紅潮していく兄さんに、私は小悪魔にも似たような笑顔で瞳を上目にして、兄さんを見上げた。


「降参……する?」


私の笑顔に見とれてか、兄さんが口を開けて顔を真っ赤にしたまま、黙って頭を頷かせた。

私は笑みを浮かべた後、兄さんを放っておいて、出来上がった目玉焼きが乗ってあるお皿を向こうのテーブルに持って行った。

兄さんはボーっと突っ立ったままで、口をあんぐり開けて、上の空の状態となっている。


……あらら、そこまで刺激が強かったかな?


「ほら、兄さん! いつまでも、そこに突っ立ってないで早く来てよ。せっかく、作ったのにこれじゃあ、冷めちゃうよ?」


「…………」


兄さんは私の言葉にまったく反応せず、まだ突っ立ったままでいる。


やっぱり、少しやりすぎちゃったかな……。

あ、あはは、……兄さんってやっぱりエロ本とか持っていないから、こういう事は苦手なのかもしれない。

私は心の中で少し反省しながらも、それでも、ちょっぴり嬉しい気持ちに浸っていた。



何故だって……?



だって、それは……。



「ほら、兄さん」


兄さんの背後に立って、後ろから抱きしめた。

自分で言うのもなんだが、私の少し大きな胸が兄さんの背中に完全に密着して、その弾力を兄さんに感じさせる。

兄さんにとっては多分、まさに最強最悪の攻撃。


攻撃名は……そうだな、『小悪魔化した妹からの誘惑』と言ったところだろう。



「あ……ああ………っ」


兄さんの思考回路が完全にショートとしたのか、頭からボンッと大きな湯気が輪になって上がった。


「ダメだ……もう……俺……。ああ……すごい……感触……もう死んでもいいや……。はは……おっぱい万歳……。妹……万歳……」



そのまま、何か聞き取れない声でボソボソと呟いて、口から……って魂が出てる! 魂!


に、兄さん! いくらなんでも、それは……免疫なさすぎだよ!

というか、兄さん男の子でしょ?

なら、多少はこういう事を期待したりするもんでしょう……。

あぅ、これってなんか結構前途多難なのかもしれない。


はぁ〜……。


やっぱり、意識も女の子になっても、溜息は相変わらず出るみたいです、神様。


でも、それでも……。


兄さんの背中をギュッと力を入れて、抱きしめる。

温かい……。

兄さんが前に言っていたの『温かさ』、今はちゃんと分かるよ。


この温かさだけはずっと感じていたい。



私だけのものにしたい。




「ん……兄さん」


兄さんがへなへなと地面に足をついて、座り込む。

同時に私も座り込んで、そのまま抱きしめるのを続ける。

抱きしめながら、目をゆっくりと瞑った。

そして、兄さんの背中に顔をぴったりとくっつかせた。

……このまま、時が止まればいいのに。

そう思ったが、それはやっぱり無理な相談で。

だから、それならもう少しだけ……。


兄さんの理性の限界が来るまで、ずっとこのままでいさせて欲しい。


まぁ、兄さんの理性の限界が超えてしまったら、私が兄さんに襲われてしまうだろうけど。

でも……それでも、まぁいいかな? えへへ。


ねぇ、もう少しだけこの時間を許してくれるよね? 神様。


私は心の中で架空の神に祈りを終えると、兄さんの背中を抱きしめながら安らかな笑顔を浮かべて、この時間をかみしめる様に堪能する。


今日は、清々しいくらいに良い天気。


まるで、私と兄さんを包むかのような晴天だった。















「さて、食べ終わったしどこに行く? 兄さん」


食べ終わった食器を台所に持っていき後片付けをしながら、私は兄さんに訪ねた。


「あ……そ、そうだな。えっと……」


言葉を詰まらせながら、兄さんは椅子に座って考えているのだろう。

私の抱擁から解放された兄さんは、以降ずっとこの調子だ。

そう、この場面にきてとうとう兄さんの素の性格が露わになってしまった。

免疫がありすぎるというのも苦労なものですが……、でも免疫無いのも中々の苦労をさせられます。


……まぁ、そこが兄さんの良い所でもある。


安心して兄さんに大胆な事が色々とできるので、私にとっては本当に助かる部分でもあるから。



それに……こっちの兄さんの方が可愛いし。



あんなに無理にお馬鹿に演じなくてもいいのに……。

兄さんって、そこまで本性を隠すくらいに恥ずかしがり屋なのかな?

ああ、もう……シャイな兄さんが可愛すぎて……あぅ……。

駄目だ。これじゃあ、私と兄さんの位置関係が逆転している事になってしまう。

記憶を取り戻す前の私はあれほど兄さんの事をぼろ糞に思っておいといて……。


結局、人の事が言えませんでしたようで。



「兄さん、僕……二人で遊園地行きたいな」


「遊園地って……蛍、それは兄妹で行くところじゃないだろ?」


「別にいいでしょ? それに僕と兄さん、別に恋人同士に見えてもおかしくはないと思うよ? むしろ、遊園地に行ったらほとんどの人には恋人同士に見られるかもね」


「こ、恋人って……。いや……だけど……っ!」


「……兄さんは、嫌……なの?」


食器洗いの手を止めて、兄さんに近づいて話しかける。

少し涙を目に溜めて、瞳を綺麗に潤しながら、私は兄さんを見つめて寂しそうに言った。


「嫌だったら……、別にいいよ?」


「あ……いや、別に嫌とは……」


私の言葉に戸惑う兄さんに、ここでもうひと押し詰めていく


「私は……兄さんとだから、行きたかったんだけどね」


口から舌をチロッと出して、悲しそうに笑ってみせる。

それを見て、兄さんは私の頭に手を置いて、そして……優しく撫でてくれた。


「わ、わかったから。だから……そんな顔をするな……」



あぁ、……ちょろいな。


と、心中でふざけて言ってみたりして、兄さんの顔を見つめる。

すごく恥ずかしそうにして、頭を掻きながら照れている。

あまりこの顔を直視しすぎると私の理性が間違いなく溶かされるな、うん。


「それじゃあ、兄さんは先に支度を済ませてきて」


私はそっけなく言うと台所に戻り、食器洗いを再開させながら兄さんに言う。


「あ……うん」


返事をして兄さんは早々とリビングから退散して、二階へ上がって行った。


……さて、どうしようか。


遊園地で兄さんに記憶が戻った事と私の気持ちを伝えるか、それとも……伝えないか。

もし、その事を伝えたならどうなるだろう。

兄さんは私の事を今以上に意識してはくれる……はず。

自惚れているわけではないが、兄さんの態度から見て、兄さんは今も変わらず私の事が好きな……はずだ。



……でも、もしそれが違っていたら?



兄さんだって、変わっているかもしれない。


動揺だって、女の子に責められる免疫がないだけで説明が済むから。

だから、どうしても迷ってしまう。

どちらにしても伝えたのなら、多分今のこそばゆい関係は終わってしまうだろう。

伝えなかったら、何も変わらない今までの日々……それに私の意識があるだけ。

いや、記憶の事だけを伝えるという手もある。

だが、どのみち……気まずい関係になってしまうのは明らかだろう。


兄さんに余計な気を使わせるのは、嫌だ。


私は……兄さんを苦しませたくない。




なら、やっぱり―――




「兄さん……」


愛しい人の名前をボソッと呟く。


「私ね、勇気ないんだよ……」


独り言のように呟いた言葉は台所に流れる水の音に吸い込まれるようにして、消える。

誰も聞いてくれるわけも出なく、だから呟ける言葉がある。


「だから……待っている事しか……できないよ……」


それは私の願望だった。

自分勝手で、我がままで……でも、それが女の子。

女の子という生き物なのだろう。

皿洗いを済ませた後、二階へ上がり、自分の部屋へと戻って行った。

改めて、自分の容姿を鏡で見てみる。


「私は可愛い……のかな?」


容姿としては……“男の子だった私”から見たら、可愛いとは……思う。

だが正直、自分に自信を持てるほど、まだ私は“女の子として”ちゃんと出来ていない。

つまりは、男として過ごした時間の方が長いから……、女の子が言う可愛らしさというのが理解できてい。


女の子らしさがわからないのだ。


兄さんのために精一杯のお洒落はするつもりだが、それでも不安だ。

いざという時のために、お化粧の仕方を佐倉さんに教えてもらっておいてよかったが上手く出来るだろうか?

兄さんに一人の女の子として見てもらえるように……。

私は慎重に考えて、遊園地にデートしに行く服を考えた。

すごく悩んだけど、不思議とそれは楽しい時間だったのかもしれない。

好きな人の笑顔を考えながら、どうやったら振り向いてもらえるか、どうしたら好きになってくれるかとか……。


多分、こういう事を考えてしまうのが女の子……なのかな?



ただ、今は……。


兄さんがあっと驚くような、そんな綺麗な自分になりたい。




迷いに迷って、決めた服は兄さんが私に買ってきてくれたもう一着の服。

けっこう短い黒のスカートに赤と黒のチェックのTシャツ。

それに頭には黒のリボン、足にニーソックスと……まぁ、兄さん好みの服装で完成だった。


着替えてみて、鏡で自分の姿を見てみる。



「絶対に……これ、見えちゃうよね?」



少しでも風が吹くと、たちまちスカートの中の下着が見えそうなくらい、短いスカートに恥ずかしくなり、つい顔を赤く染め上げてしまう。


駄目、駄目!


兄さんのためなんだ、兄さんの。

これくらい……我慢しなくちゃ!


そう自分に言い聞かせて、勇気づける。

他人にスカートの中を見られるのは、嫌だけど……。

そう、これは兄さんのため。

兄さんの喜ぶ顔がみたいから。


「うん……よし!」


私は財布とケータイを鞄に入れた後、その鞄を肩に掛けて、部屋を後にした。


机の上には、片づけるのを忘れて置き去りにしたままの化粧品と幾つものリボンが散らばっている。



そこには明らかに、デートに行く際、女の子の夢のようなきらきらとした時間を体験したかのように物語っていた跡があった。




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