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自作小説倶楽部 第4冊/2012年上半期(第19-24集)  作者: 自作小説倶楽部
第19集(2012年1月)/「干支」&「男」
8/62

8 まゆ 著 干支 『百八支』

 世界中の動物たちなどが集まって、お釈迦様の前で会議が開かれていた。


 釈迦は集まった動物たちの前で言った。

「今日、集まってもらったのは、十二支についてのことだ。

 最近になって、十二支は多すぎるから少なくしてほしいとツイッターでささやかれている。

 それで、八支くらいに減らしてはどうか話しあってもらいたい」

 動物たちはどよめいた。

 蛇が言った。

「まずは、竜どん。実在の動物じゃないので抜けてくれんかの?」

 竜はあわてて、

「一つくらいは架空の動物が入っていないと干支としてカッコがつかんだろ」

 と、反論した。

 犬がキャンキャンと吠えだした。

「猿どんは、いらんワン。人間の畑を荒らして嫌われているワン。その点、犬は……」

 猿がキーキー言い出した。

「人間に媚びてしっぽを振るだけの家畜に一年を任せらないキーッ!」

 いつもの通り、鶏が仲裁する。

「もう、ケッコーッ!ケンカするなら二人とも除名されるぞー」

 もう、こうなってくると止まらなくなってくる。

「羊どんは、国によっては山羊らしいから、面倒がないようこの際抜けたら?」

「虎どんの方こそ、国によってはネコらしいぢゃないか。最初にぬけるのは虎どんぞ」

「ねずみどんは小さすぎるからモウ抜けた方がいいの」

「牛どんこそ、狂牛病で評判を落としたし抜ければいいでチュー」

「イノシシって本当は豚だったんでしょ」

「車社会に馬はないでしょう」

「ネコが入っていないなんて信じられないニャン!」

「竜と猿と抜けてカッパを入れてくれ~」

 カブトムシが飛んできてお釈迦様に囁いた。

「昆虫代表として、オレを入れておくれ」

 蝶がヒラヒラと舞を見せながら言う。

「カブトムシ!抜け駆けはよくないわよ!昆虫代表は蝶に決まっているわ」

 ゾウが大声で主張する。

「最大の動物であるゾウが入っていないなんておかしいゾウ!」

 その後からマンモスが言った。

「ゾウを入れるなら、古代動物を代表してオレを入れてくれ~」

 恐竜も負けてはいない。

「それなら、太古の王者のティラノザウルスを入れるべきだっ」

 イタチが言う。

「十二支を決めるとき次点だったので、今度はオレの番だ!」

 松の木が言う。

「動物だけなんて、つまらんぞ。門松つながりで松をいれるのが吉」

 桜の木も負けてはいない。

「一番愛されているのはわたしよ」

 タンポポも大声を張り上げる。

「木ばかりずるい!草花も入れてよ!」

 ライオンがたてがみを乱し吠える。

「草木は黙っていろ!百獣の王が入っていないのはどういう了見だ!」

 パンダが言った。

「ライオンよりボクの方が人気があるよ!」

「ガンダムを入れないなんて遅れている!」

 とガンダムが大地に立った。

「キャラもありなら、子供の味方アンパンマン」

 とジャムおじさん。


 こんな感じで延々と会議というか雑談が三日三晩つづいたのだが終わりそうになかった。

 お釈迦様はこまってしまった。

 昔なら、自分の一存で決められるのだが、そんなことをすれば「独裁だ」などとツイッターが炎上するのは目に見えていた。


 結局のところ、十二支は百八支にまで増え、「年男・年女」という言葉が辞書から消えた。


 《おわり》




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