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自作小説倶楽部 第4冊/2012年上半期(第19-24集)  作者: 自作小説倶楽部
第22集(2012年4月/「嘘」&「愛」
39/62

5 パールくん 著  嘘 『時計屋』


あるところに、嘘を絶対についてはいけない国がありました。


人は、正直に生きるべきだと、愛に満ちた王様が決めたのです。


でも、人びとはささいな嘘もつかないでいることに、疲れてしまいました。


そこで王様は、1年で1日だけ嘘をついてもいい日を作りました。


その日だけは、どんな嘘をついてもいいのです。


人びとは喜び、お祭りになりました。


恋人に内緒でプレゼントをして驚かせる人。


親に、暮らしは成功していると言って、いつもより多く仕送りする人。


病気で死にそうな人に、きっと治りますよと励ます人。


国じゅうが、優しい嘘でいっぱいになりました。


ところが、ひとりの男がほかの人とは違う嘘をついていました。


町の時計屋です。


時計屋は、町中の時計の時間を狂わせていきました。


なんと、驚くことに、お城の時計までもです!


そして、人びとが怖がるような嘘を大きな声で言って歩きました。


今度の週末に、爆弾が降ってくるんだって。


いや、もう国の一番はじっこの島に落ちたんだってよ?


怖い病気が流行っているんだって。


うつったら、かならず死んでしまうらしいよ?


時計屋はおもしろがって、どんどん悪い嘘をつきました。


この国の王子様は、本当は王様の子じゃないんだよ。


お妃様と家来の間に生まれた子供なんだよ。


もうすぐ、世界恐慌がおきるんだ。


お金が紙くず同然になっちゃうよ。


王様は、これを聞くとかんかんに怒りましたが、自分で作った決まりごとなので、我慢しました。


そして、1日が終わりに近づきました。


時計屋は、最後にもうひとつ、大きな嘘がつきたいと思いました。


時間ギリギリまで、知恵をしぼって考えました。


そのとき、時計屋のおかみさんが言いました。


「アンタ、教会の時計の修理は終わったのかい?」


「ああ、そんなの、とっくに終わってるさ」


すると、突然兵隊がやってきて、時計屋は捕らえられてしまいました。


「今日は、嘘をついてもいい日じゃないか!何故捕まえるんだ。放せ!」


「もう、日が変わったんだ」


「嘘だ!俺の時計はまだだ!時計屋の時計が!」


「アンタ、どうしよう…いたずらで、アンタの時計を5分遅らせてしまったよ…」


時計屋は、嘘をついても良い日を過ぎてから嘘をついたので、お城で処刑されてしまいました。


それから、馬鹿な嘘をついた時計屋にちなんで、年に一度のこの日を四月馬鹿と呼ぶようになりました。



おしまい♪

(嘘話を書いてしまった…僕も処刑か…)



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