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6 ミチル 著 猫 『予感』」
軽やかな予感がする。
猫は冷たい空気の中、無愛想な路地裏に入っていく。
そこにある日常から零れ落ちているものたちに挨拶をするのが日課だ。
調子はどうだい?
まあまあかな
時々、そこから消えているものがある。
きっと予感がしたものたちだ。
素敵な予感がする。
猫は夢をみた。
公園のベンチに寝そべっている。
星を散りばめた甘い夜。
静かな音が響いている。
猫は目をさました。
夢で見た光景を思い出して、空を見上げる。
空はいつも綺麗なもので溢れている。
夢もきっと綺麗なもので溢れている。
そう信じたかった。
不思議な予感がする。
猫はいつも不思議な予感がする。
その予感はいつも猫を導いて、美しいものを見せてくれる。
そう、全ては予感だ。




