表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/11

8:孤独と約束

 私は今シャワーを浴びている。でも自分の家ではない。ここは石井の家だ。


 あの後、私が泣き止むまで石井は側にいてくれて、家まで送ると言った。


 でも私は今1人になりたくなかった。


 私は帰りたくないと子供みたいに駄々をこねて言う。すると石井は何も言わずに自分の家へと連れてってくれた。




 シャワーを浴び終えて、濡れた髪をタオルで乾かしながらリビングに向かう。服は石井が用意してくれた大きめのYシャツ。


 ソファに座っていると、石井はマグカップを2つ持ってきた。そして、左手に持っているマグカップを私の前に置く。温かいココアだ。石井はコーヒーだ。


 石井はコーヒーを一口飲むと、親御さんは心配していないのかと聞いてきた。私は迷わず、母は出張中で父はいないと答えた。石井は申し訳なさそうな顔をする。


 そして次に、どうしてホテルに付いていったりしたんだと聞く。お金が欲しかったからと答える。


 なんでお金が欲しかったんだと聞く石井。私は迷ったが、石井には嘘がつけないと思い正直に答えた。



『1億円貯まったら自殺するから』

 と。



 これにはさすがに石井も驚いていた。

 そりゃそうだろう。目の前にいる人間が、自殺するために金を貯めていると言ったら誰だって驚く。


 しばらく沈黙が続いていたが、石井は立ち上がってサイドボードの引き出しを開けると、何かを取り出してすぐ戻ってきた。


 そして、それを私の前に差し出した。


 見慣れ茶封筒。これは石井に会った時、帰り際毎回渡す封筒だった。


 しかし封筒はいつもと違ってかなり分厚い。


 私はそれを受け取ると、中身を確認する。


 中には1万円札がぎっしり入っていた。ざっと数えて100万は入っている。


 すると、石井は正座し、頭を下げて言った。


『これから会う度100万渡す。その代わりもう自分以外の人とは会わないで欲しい』

 と。


 あまりの石井の熱意に、私は仕方なく了承した。


 1回会う度100万は大きい。これはいい話が舞い込んできたと自分に言い聞かせることにした。


 しかし、私は気づいていなかった。この時石井がどんな思いでこんな約束をしたのかを…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ