7:孤独と怖いと安心
月曜日。学校が終わって今はアルバイトの休憩中。
私は誰もいない休憩室で、大事な通帳を眺めていた。
パパ活をしたおかげで、ここ最近貯金が増えるのが早くなっている。特に石井とは必ず週2日は会っているから、軽く10万くらいは貰っている。
最近は新規で男と会うより、石井と会うことの方が増えた。ケチ臭くてスケベなことしか考えてない男達と違って、石井は格別。高級な店だけじゃなくて色んな所にも連れてってくれる。この間は丸1日使って隣町のボーリング場で遊んだり、ショッピングモールで服や靴を買ってくれた。それに帰り際には毎回5万円渡してくれる。まさに太客中の太客だ。
でも、最近はなんか違う。
最初はただお金が貰えるから会ってたのに、最近は石井に会いたくてパパ活している感じだ。
私はこの感情が湧く度に、『石井はただのパパ活相手、特別な感情なんてないんだ』と無理やりいい聞かせている。
たかがパパ活相手に情が湧くとかどうかしてるよ私!
そう奮い立たせていると、休憩時間が終わっていることに気づいて慌ててレジ打ちに戻った。
そしてまた金曜日の夜。この人はとんでもないパパ活男に会った。なんと10万出すと言ってきた。
これは久しぶりの当たり客だと思っていると、男は次の要求をしてきた。
『ホテルで寝たら10万出す』と。
私は一瞬怯んだ。体を売るのは避けてきたが、10万はでかい。それも1回だけじゃなくて、寝る度に毎回出すと言ってきたのだ。
私は迷ったが、10万に目が眩んで了承した。
男は私の肩を掴んでホテル街へと向かう。
了承したとはいえ、私は焦った。
パパ活のこういうこと抜きで、そういった経験は全くない。一体どんなことをされるのかわからない。
怖い…どうしよ…
でも……
もう、どうでもいいか…
どうせ1億円貯まったら死ぬんだし。
今さら怖いことなんて…
そういい聞かせて、男とホテルに入りそうになったその時だ。
誰かが私の腕を掴んで、来た道とは反対方向に走り出した。急ですぐには気づかなかったが、後ろ姿でわかった。
石井だった。
ホテル街を抜けてしばらくして立ち止まった石井は、私の両肩を掴んで大声で怒鳴った。
怒るとは違って『なんでホイホイついて行くんだ』『もっと自分を大事にしないと駄目じゃないか』とお説教に近い感じだった。
私は目を丸くした。今まで母や教師からこんな風に怒られたことなかったのに。でも、それと同時に…
目の前に石井がいる。それだけで何故か安心した。安心したと思ったら、さっきまでのことが急に怖くなって、私は人目をはばからず泣いた。
さっきまで怒っていた石井も、急に泣き出した私にあたふたしている。
もう自分でも何だかわからなかった。今までこんな感情感じたことなんてなかった。
ただこれだけはわかる。
石井に会えて嬉しかった…。




