2:孤独なアルバイター
5月半ば。
学校生活にも慣れてきた頃から、私はアルバイトを始めた。
本当はもっと早く始めたかったけど、色々と面倒なことがあった。
入学して次の日。私は担任の先生にアルバイトをしたいと報告した。
私が母子家庭なのを知ってるから反対はしなかったものの、すぐには承諾してくれなかった。
『次の中間テストで上位10人に入ること』
これがアルバイトを許可する条件だった。
私はテストまでの間、死に物狂いで勉強した。正直しんどかったけど、『1億円貯まったら自殺する』という目標があったから頑張れた。
そして中間テストの結果の日。私はなんとか上位10人に入ることができ、担任からアルバイトの許可が下りた。
しかしアルバイトをするにも他に条件があり、『夜10時以降は禁止』『アルバイト先は学校区内の場所に限る』等色々あった。本当はもっと働きたかったが、何か言うとアルバイトを許可してくれなくなると思ったから止めた。
私が始めたバイトは、近所のスーパーのレジ打ち。平日の夕方5時から夜9時まで。
仕事内容はそんなに難しくなく、時給も悪くなかったから即決した。
アルバイト初日。仕事内容を覚えるのに精一杯。職場の人達は良い人ばかりで、同年代の人も何人かいた。
アルバイト始めて1週間。仕事も少しずつ慣れてきた。職場の人とは挨拶をして少し世間話をするくらいだ。
アルバイト始めて2週間。仕事は相変わらず単純作業。休憩時間に同年代の人達と一緒になったが、特に会話などせず終了。
アルバイト始めて3週間。レジ打ちでミスをしてお客さんに凄い怒られた。同年代のバイトさんは怒られたらちょっと泣きそうな感じだったけど、私は何とも思わなかった。だってお金貯まったら死ぬんだもん。死ぬことに比べたら、こんなの大したことじゃない。
アルバイト始めて1ヶ月。今日は待ちに待った給料日。初めて自分で稼いだお金だ。
アルバイトが終わってすぐ家に帰って給料袋を開けた。
中には7万円程入っていた。
1ヶ月働いて7万。初めてアルバイトした人にとっては大金だろう。でも私は違う。
私は1億円貯めるんだ。
7万ぽっちじゃ1億円貯めるのには程遠い。
初めて稼いだ7万円が、なんだかちっぽけなものになっていた。




