1:孤独な新生活
4月某日。
スマホのアラーム音が、私の意識をほんの少し夢から現実に引き戻す。
まだ眠い体を起こして、カーテンを開ける。強い日差しで、私の頭は完全に起きた。
軽く伸びをしたら、毎朝のルーティンを始める。
私は机の引き出しを開けると、緑色の通帳を取り出してページを開く。数字の羅列の最後の『687,500』の数字に私はニヤニヤする。
私のルーティンはこれ、貯金の残高を確認すること。通帳は中学卒業してすぐ母にお願いして作ってもらった。
そう、今日から私は高校生。
高校生になったら、アルバイトが出来る。初めて自分でお金を稼ぐ高校生が出来るのだ。
卒業式のあと、母に高校生になったらアルバイトがしたいと言った。最初は反対されたが、学業に支障が出ない範囲ならと、なんとか許可をもらうことができた。
自分で稼ぐことが出来れば、目標に近づく。
前回も言ったが、私には目標がある。
『1億円貯まったら自殺する』
これが私の目標だ。
私は昔から孤独の中で生きてきた。だんだん生きていくのが虚しくなって自殺願望が湧いてきたのだ。
でも私が死んだ後に掛かるお金のことが心配になってた。だから1億円貯まったら自殺しようと決めた。
中学までは母から貰うお小遣いを少しずつ貯めることしか出来なかったが、春からアルバイトが出来るようになってどんどんお金を貯めることが出来る。
私はワクワクした。死ぬことが最終目標なのに、何故かそんな感情が湧いてきた。
とにかく明日から大忙しだ。まずは入学式。
そして私は新しい制服に腕を通した。




