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気づき始める気持ち

週の半ば、水曜日の昼休み。

 私は教室で沙耶、美琴と机を寄せてお弁当を広げていた。


「梨緒、週末はどうするの?」

 沙耶が唐揚げをつまみながら、いつものように聞いてくる。


「んー……特に予定はないかな。たぶん、また家でゴロゴロしちゃうと思う」

「ほらまた。動画とか見て終わりでしょ」

 美琴が苦笑いして突っ込んでくる。


「……まぁ、そうかも」

 私が照れ笑いをすると、隣の美琴が口を挟んだ。


「でも最近の梨緒、よく図書室行ってるよね?」


 その一言に、心臓が跳ねた。

 そう、確かに私はここ数日、無意識に足を運んでいる。


「え、そうなの? 本なんて読むんだ」

 沙耶が目を丸くする。


「ちょ、ちょっとくらいは読むよ……」

 言い訳のように笑うけど、なんだか視線をそらしたくなった。


 けれど美琴は気づいたようににやりと笑う。

「もしかして、誰かと一緒に?」


「えっ、ち、違うよ!」

 慌てて否定したものの、頭に浮かんだのは――水城先輩の横顔だった。



 放課後。

 鞄を肩にかけながら廊下を歩いていると、窓の外に見覚えのある姿があった。

 グラウンド横で後輩に声をかけている、水城先輩だ。


 ただそれだけの光景なのに、胸の奥がまた高鳴ってしまう。


「……私、なんでこんなに気になるんだろう」


 心の中で呟きながら、窓から視線を外した。

 けれど、先輩の姿はずっとまぶたに残っていた。


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