月曜日の図書室
週明け月曜日。
朝の校舎は少し肌寒く、生徒たちの声でにぎやかだった。
「おはよう、梨緒」
声をかけてきたのは拓海。
「おはよう、拓海」
軽く笑い返しながら、私は教室へ向かう。
◇
午前中の授業を終え、昼休み。
沙耶や美琴と教室でお弁当を食べながら話す。
「梨緒、週末どうしてた?」
「えっと……ゴロゴロしてたり、動画見たりしてたかな」
「まさに休日って感じだね」
「うん、久しぶりにゆっくりできた」
他愛ない話。心の片隅で、先輩のことをちらりと考えてしまう自分に気づく。
◇
昼休みが終わるころ、明里と一緒に図書室へ向かった。
文化祭の展示や記事の参考資料を探すためだ。
書架の間を歩いていると、ふと同じ棚の向こうから見覚えのある姿があった。
「先輩……?」
水城遥先輩が、私と同じ雑誌を手にして立っている。
「立花さん、この本?」
明里がにこっと笑う。
「先輩と梨緒、同じ本だね」
先輩は少し驚いた顔をして、私に微笑んだ。
「ああ、そうだね。立花さんも読むんだ」
「はい、ちょっと気になってて……」
会話はほんの数分。名前を呼ばれたことはすでに自己紹介で済んでいるので、今日はただの雑談。
でも、先輩の声や表情が近くにあるだけで、胸が少しざわつく。
「じゃあ、私はそろそろ返すね」
先輩はそう言うと、雑誌を戻して立ち去った。
図書室に残った私と明里は、しばらく静かに棚を見つめる。
「なんか、ドキドキするね」
小さくつぶやくと、明里が笑った。
「わかるよ、先輩だもんね」
それだけの、何でもない時間だった。
でも、月曜日のちょっとした日常が、少しだけ特別に感じられた。