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ある優しい少女の日常  作者: 一ノ瀬みゆき
7/8

配属先




バブル崩壊前のお話しです。


いまはマシになってると思いますがどうなんでしょうね。



 国家公務員の世界での中心は霞が関である。


 少女は成績だけなら霞が関に配属になるはずだった。

 しかし、郊外の大学に通うことを熱望したので支局に配属された。


 これは少女にとって幸せだった。

 同期は配属初日に先輩から、『今日は初日だから終電で帰っても良いよ』と言われたらしい。

 当然、その同期は翌日からは電車のない時間にタクシーで帰ることになった。


 進学校で就職担当の教師などいなかったので社会人としてのマナーを一切知らずに社会に放り出された……。


 それでも少女は必死に仕事を覚えた。

 毎日が目新しいことばかりで新鮮だった。


 4月も半ばになり、給料日が来た。

 初めての給料! 手取りは10万円もなかったが、それまでの月1万円の小遣いよりは遥かに多かった。


 大学が始まり、教科書を買っても十分な額が手元に残った。

 実家暮らしだったので家賃も食費も不要だった。

 お洒落に無縁だった少女は衣服を買うこともなかった。


 弟が好きだった少女は弟とカラオケに行ったり、食事に行ったりと貯金はほとんどできていなかった。


 まだ、未成年ではあったが、もう少女とは呼べない年齢になった。

 

 晴香と仮称することにする。

 

 就職して1年が経ち、寮生活の同期よりは貯金ができているはずだが、自宅暮らしのメリットが生かされていないと思った。


 本格的に貯金することにした晴香は弟と遊びまわるのをやめた。


 職場での昼食は食堂があったので数百円でお腹いっぱい食べられた。

 

 大学と職場と家の往復しかしないので財布の中には3千円あれば多い方だった。

 使う予定がなかったから。


 給料は手取り12万くらいになった。

 そこから学費を払い、通勤通学費を払い、昼食代を払い、残りはほぼ貯金した。


 ボーナスも数ヶ月分支給されたので年間100万円貯金できた。


 晴香の目標は、まず数か月分の収入を貯めること。

 その次は年収分を貯めること。

 最終目標は3年分の収入を貯めることだった。


 最初の目標は2年目の途中で達成した。



 宝くじが当たって突然お金持ちになった人間が金銭感覚が狂い、破産する話を聞いた。


 自分はそんなことになっていはいけない、今から訓練を始めよう。


 貯金が200万円を超えた頃、『お金を持つ』ということがどういうことなのか体験したくなった。


 とりあえず100万円の札束を敷布団の下に敷いて寝てみることにした。

 徐々に大金との距離を近づけて慣れるのだ。


 数年後、布団の下の札束は2つになった。


 何となく通勤に使うバッグの中に札束の1つを入れて仕事に行ってみた。

 

 職場に着くとロッカーにバッグは仕舞うから盗難の心配はほぼない。

 まさか、大学生でもある晴香のバッグに100万円が入っているとは誰も思うまい。


 晴香は霞が関に異動になった。
















読んでくださりありがとうございます。

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