次の朝、俺は小六が作業で
次の朝、俺は小六が作業で残した木くずを集め、それを蒸した。
完全に殺菌できたわけではないと思うが、今のところこの方法しか思い浮かばない。
木くずをゲルの深皿に広げ、浸る程度に水槽の青い水を注ぐ。
そこへ一晩、椎茸を置いていた和紙をそっと乗せ、蓋代わりにゲルのシートで覆った。
バスタブに熱い湯を張り、浴室に深皿を置いて明かりを消した。
あとは、和紙に付着した胞子が菌を増殖させるのを待つだけだ。
翌日、様子を確認すると、菌が驚くほどの速さで増殖し、深皿の半分を白く覆っていた。
俺は成功を確信し、慌てて次の準備を始めた。
小六には指物師の源太さんの工房に行き、木くずをもらってくるよう頼んだ。
真之介には水車小屋に行き、米ぬかを買ってくるよう頼んだ。
俺は野積みにしてあった木材を舟のアームで適当な長さに切り、椎茸の原木を準備した。
二日後、俺は椎茸の菌床を作った。
素焼きの壺に殺菌した木くずと米ぬかを混ぜ、青い水を加えて泥状にする。
そこへ、深皿いっぱいに広がった種菌を軽く混ぜ込み、シートで覆った。
最初と同じように浴室のバスタブに熱い湯を張り、その浴室内に壺を置いた。
一週間後、ちょうど善が訪れたので、浴室へ案内した。
中へ入ると、ほのかに椎茸の匂いが漂っていた。
「史郎、上手くいったのか?」善が尋ねる。
俺はにやりと笑い、「まあ、見てくれ」と言いながら浴室の明かりをつける。
すると、壺の中は椎茸の菌糸で真っ白に覆われ、種菌がぎっしりと広がっていた。
俺はこれからの作業を善に説明した。
原木に穴を開けて植菌し、種菌が空気を取り込めるように、蜜蝋を薄く塗って蓋をする。
しばらくは仮伏せとして原木を寄せ集め、莚や枝葉で覆う。
原木に菌糸が十分に伸びたら、本伏せに移る。
話を聞いた善は、「なんだか簡単にできそうな話だな。本当にうまくいくのか?」と問いかけた。
俺は自信をもって答えた。
「善は見ていないからわからないだろうが、水槽の青い水を使って菌を培養した。あの凄まじい増殖の様子を見れば、間違いなく成功すると思うんだ。」
そんな俺の様子を見て、善は笑った。
俺も笑いながら、「善も当然、手伝ってくれるだろう?」
すると善は、「寺で鑿と金槌を借りて、道具を揃えて手伝いに行くぞ」と答えてくれた。