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プロローグ ホームで知った新たな凶行

 梅田界隈はまじで迷路です。

「おいっ、そら本当か。――鴨川くん、佐原くん、えらいことになった。これで七件目、しかも今度は一度に二人襲われとる」

「なんやと――」

 石坂刑事の引きつった表情に、浮音と有作は互いの顔を見やった。京都を新快速で出て、大阪駅へ着いた直後の出来事だけに、三人のショックはことに大きかった。

「――で、どうなった……うん、うん、よし、わかった。鴨川くんと佐原くんも来とる、すぐ行く……」

「石坂さん、もう現場に誰か出張っとるんですか」

 刑事が電話を切ったのを見計らい、浮音が袂へ手をひっこめながら尋ねる。

「ああ。この前からずっと、梅田の改札周りはうちの人間でいっぱいや。――ちくしょうっ、なんちゅう大胆な……」

「――カモさん、まさか僕らのすぐそばに、そいつがいたりしないよねえ」

「……大いにあり得る話や。用心せんと、今度はこっちが『梅田の切り裂きジャック』にやられかねん」

 憤る刑事と、恐れおののく有作を前に、浮音は神妙な顔で、遠くをゆく雑踏を眺めている。五月の陽気に反して、その一角だけがひどく涼しく感じられる、ある午後のことだった。


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