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第9話 森の透明ドラゴン

 俺は翌朝噂話の一つ謎のドラゴンの呻き声を調査する為に街で聞き込みをしている時に孤児院を壁越しに身を隠しながら覗く怪しい女性を見かける。


「ん、んん?」

(何だ、あの怪しい奴?)


 その女性は赤髪ではぁはぁと息を荒くし身体をくねらせながら、何かブツブツと呟いている。


「はぁ……はぁ……、良いわ! 最高よ、これだから小さい男の子をウォッチングするのはやめられないわ! ふふ、ふひひひ。」


(憲兵呼んだ方が良いかもな、ん?)


「貴様! そこで何をしている!!」


「何ってカワイイ男の子を観察して……憲兵さん!? ち、違うんです! 私は決して怪しい者では!!」


「怪しい奴め、貴様が最近孤児院に出没する不審者だな? ご同行願おうか!」


「待って、お願い! あっ、そこのお兄さん私全然怪しくないですよね?」


「怪しかったぞ。」


「そんな!?」


「さあ来るんだ、大人しくするんだな!」


 怪しい女性は俺が連絡する前に憲兵に捕まり連れて行かれ、孤児院の平和は守られた。


(何だったんだ今の?)

「あの森に向かうか。」


 俺は先日、ドラゴンを透明化させた森へと向かうとドラゴンの様な呻き声の聴こえる方向へと進み透明化の解除をするとぐったりとしたドラゴンの姿が現れる。


「クアァ…………。」


「悪い事しちまったな、ん? この辺足跡だらけだな、ウロウロしてたのか?」


 周りを見渡しすと樹の上には“ポドンの実”が実っており、どうやらドラゴンは実を食べようとしても擦り抜けてしまい空腹で倒れてしまっていた様だ。


「このままだと餓死するかもな、待ってろ今ポドンの実を採って来てやるからな!」


「クゥ……。」


 俺はカサカサと素早く木登りをすると枝を折りポドンの実を地面に落とし樹から降りる。


「よし、もう食えるぞ! ん、どうした?」


「クゥ…………ゥン……。」


「参ったな口開ける力も無いくらい衰弱してんのか、じゃあ俺が食わせてやるからな!」


 ポドンの実をドラゴンの口の近くまで運び上顎を持ち上げながら、俺は巨大なポドンの実を脚で口の中に押入れると上顎を押すとポドンの実からは果汁が流れドラゴンはゆっくりと飲み始める。


「どうだ? 美味いか?」


「クアァ! クアァ!! ハッハッハッハッ!!」


「うおっ、何だお前犬みたいな奴だな!」


 ドラゴンは元気になりペロペロと俺の顔を舐め回し、尻尾をブンブンと振っている。


「ん、今度は何だ? ん?」


 しばらくするとドラゴンは俺の服に爪を引っ掛け、ビリビリと破る。


「クアァ!」


「おい、それやめろ!!」


「キューン、キューン…………。」


(ん、待てよ……確かポッコロにもやってたよな。 つまり、元は誰かが飼ってたって事か?)

「ここで待ってな、食料は俺がなんとかしてやっから飼い主を捜してきてやるからな!」


「クアァ!!」


 俺は街へ戻りドラゴンを飼っていた人物が居ないか聞き込みを始める。


「ドラゴンかい? そうだねぇ、金持ちの人ならステータスだかなんだかで飼う人ならいそうだね。」


「それなら、コルスニー男爵のご子息様が新しいペットととしてブラックドラゴンを飼い始めた様だよ?」


「ブラックドラゴン?」


「ああ、前は確か犬みたいに人懐っこいドラゴンだったけど最近見ないね。」


「有難う御座いました! コルスニー男爵のとこへ行ってきます!」


 俺は街外れにあるコルスニー男爵の屋敷へと脚を運び、チャイムを鳴らす。


「すみませーん、誰か居ませんかー?」


「どちら様でしょうか?」


「ディールだ、この屋敷で飼われてるドラゴンを見に来たんだけど。」


「申し訳ありませんがアポも無しに見ず知らずの方を招き入れる事は……。」


「おい待てよ、そいつ家のドラゴン見に来たんだって?」


「ロバーナ様!?」


「別に構わんぞ、俺のドラゴンを見たいんだろ? 入んな!」


 メイドに屋敷へ入る事を断わられていたが丁度屋敷から小太りの少年が出て来るとニヤニヤとした表情で屋敷へと招き入れてもらった。


「こっちだ着いて来なよ!」


「随分長い廊下だな、この部屋か?」


「そうさ、見て驚け! なんとあのブラックドラゴンだ!!」


「うわっ、でか!!」


 ロバーナに案内された部屋が開かれると檻の中にブラックドラゴンが入っており、首輪に繋がれていた。


「どうだ格好良いだろ!」


「凄いな、ブラックドラゴンって獰猛って話しじゃなかったか?」


「確かにブラックドラゴンは獰猛さ、でもあの首輪のおかげで大人しくなっているのさ!」


「へー、そういや前飼ってたドラゴンの話しを聴いたんだけど……。」


 俺は本題に入るとロバーナは眉をピクリと動かし、明らかに嫌な顔をする。


「あの弱っちい犬みたいな奴か?」


「そのドラゴンどうしたんだ?」


「捨てたよ、今は強くて格好良いブラックドラゴンが居るんだし要らないだろ!」


「そう……なんだ……。」

(こいつ、ペットを何だと思ってやがる!!)


「何だよ、その顔……気分が悪い! 要は済んだろ、さっさと出て行きな!」


 追い出される様に俺はコルスニー男爵の屋敷を後にするとモランタイル侯爵家へと向かいポッコロにドラゴンの事情を話す。


「そうだったの、何だかドラゴンがかわいそうね。」


「ここで飼えないか?」


「そうしたいのはやまやまだけど、あんな大っきいの入んないよ?」


「屋敷の中は無理でも玄関近くの庭ならどうだ?」


「うーん、父上に話してはみるね。」


「ああ頼む、俺はドラゴン待たせてるから一旦戻るな。」


 俺は再びドラゴンを待たせている森へと向かった。

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