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第8話 男のサキュバス

 ディールの風魔法ウィンドで吹っ飛んだネズミ耳のモンスターは木々を薙ぎ倒し、岩肌へとぶつかりフラフラと歩いた後に倒れていた。


「や、やっと……止まった…………。」

(何なんだ、あの化け物じみた魔法の威力は?)


「アンタこんなところで何してんの?」


「この声はモンステラか?」


「そうね、なーんか見覚えのある奴が回転しながら飛んでたから気になって来てみればアポストルじゃないの。 あ、もしかして調子に乗って人間に負けちゃった?」


「うるせーよ、あんな奴に勝てるかっての! それよりテメェは何してんだよ?」


「ボク? ふふふ、とっても楽しい事だよ♡ そうだ、アポストルも人間の顔が恐怖に歪むの見たくない? 先輩として魔族の在り方をレクチャーしてあげる。」


「まあ、良いけどよ。」


「じゃあ決まりね、今回のターゲットは屈強そうな男の人だよ!」


 一方でガリアスはパーティーに迷惑をかけた事で全員を外食に誘い奢る事にしていた。


「今回は俺様の判断ミスだ、おめーら好きなもん何でも頼みな! 俺様の奢りだから遠慮すんなよ!」


「何時もこうなのですか?」


「うーん、そうね大体ガリアスがミスした時には何時も奢ってもらってる。」


「そう……ですか。」

(懐かしいですね、ワタクシも昔の仲間とこの様なやりとりをしていたものです。)


「どうかしたでござるか?」


「いえ、少し昔の事を思い出していただけです。」


 ザマは過去を惜しんでいるとメンバーはそれぞれ料理を注文オーダーする。


「早く注文したらどうだ? 俺様はガーリックステーキ大蒜増し増しでな!」


「またそれ? 私も同じ物で、大蒜は普通で良いわよ。」


「拙者は焼き魚定食にするでござる。」


「うむ、自分はラザニアにしよう。」


「私はカルボナーラにするわね。 ザマさんは?」


「ワタクシは……、お子様ランチで。」


「はぁ? お子様ランチぃ、お前なんでディールの野郎が何時も頼んでたやつ頼むんだよ! 他にもっと良いもん頼みなよ!」


 ザマが注文したお子様ランチは何時もディールが、頼んでいた事もあり、明らかにガリアスは不機嫌になる。


「ガリアス、別にザマさんが何頼んでも良いでしょ?」


「うぐっ、それは……そうなんだが。」


「けど、なんでお子様ランチなんだよ?」


「好きな方が居ましてね、過去に。」


「ん、何やら訳ありでござるか?」


「何故そう思ったのです?」


「後悔している様な表情ゆえ、辛い事があれば吐き出すのを聴くのも仲間としての努めでござるからな!」


「本当に大丈夫ですから……。」


「オーダーは以上で宜しいですか?」


「おう、以上だ!」


 しばらくするとテーブルの上に料理が並ぶ、ザマは悲しげな表情でお子様ランチを食べ進め、食べ終える頃には皆完食していた。


「ふー、食った食った! そういや、最近物騒な事件が増えてるみてーだな?」


「事件?」


「何だザマ知らねーのか?」


「事件ってアレよね、ミイラ化の。」


「ああそうだ、なんでも昨日冒険者の一人がミイラ化したって話だ。 なんつったか。」


「その事件なら拙者も耳にしてるでござるよ、確か噂では“男のサキュバス”に吸い付くされたとか。」


「うむ、自分も耳を疑った……インキュバスの間違いではないかと。」


「にしたってさ、ミイラ化でする? もしかしたら、卑猥な恰好した吸血鬼だったりしてね! インキュバスって女の人しか襲わないイメージあるし。」


「うーん、じゃあ今日は早めにギルドハウスに帰りましょうか。」


「それが良さそうですね。」


「あぁ? なーにビビってんだよ、俺様が居るから百人力だぜ!? そうだ、今夜皆で呑まねーかエナもどうだ?」


「遠慮しとく、私まだ未成年だからお酒呑めないし。」


「あー悪いそうだったな、おめーらはどうだ?」


「私もパス、ちょっとやる事があるし。」


「拙者も不用意に出歩くのは得策とは思えぬゆえ。」


「うむ、自分も今日は疲れた。」


「ワタクシも用事がありすので。」


「そ、そうか。」


 ガリアスはメンバー全員から呑みの誘いを断わられ、一人寂しく、その夜酒場で呑んでいた。


「グビグビ、ぷはー! くっそぅ……ひっく……なんらんだよぅ……あいつらぁ……人の誘いを断りやがってよぅ……。」


「あの、お客様! 随分呑まれている様ですので、このくらいにしては?」


「ああ? らんだぁ、おめーも俺様を……邪魔者扱いするんかぁ……ひっく……わーたよ、出てくよぅ……!」


 ガリアスはお金を払い酒場から出て行くと何処からともなく色っぽい声が聴こえてくる。


「は〜い、そこのお兄さ〜ん♡」


「らんだぁ?」


「こっち、こっち♡」


「んあぁ、こっちかぁ?」


 声のした方へと脚を運ぶとガリアスは薄暗い路地裏へと辿り着き、眼の前には黒髪ツインテールで頭には二本の紅い角が生え、幼女体型で背中からは蝙蝠の様な翼が有り服装はスクール水着の中央を菱形に切り抜いたかの様なヘソ出しルックで悪魔の様な尻尾が生えた人形の何者かが誘うかの様に待っていた。


「ねぇ、お兄さんアタシと良い事しない♡」


「良い事……?」

(こいつ、サキュバスって奴か? 見るのは初めてだが、すっげーカワイイな。)


「そ、良い事よ♡ そこに寝そべるだけで気持ち良い事してあ・げ・る♡」


「うへへへ、これで良いのか?」


「うふふ、良い子ね♡ じゃあ、早速始めるわね♡」


 ガリアスは酔っている事もあり流されるがままに言う通りにし、仰向けに地面へと寝転がりサキュバスの恰好をした者が馬乗りになった瞬間、ガリアスは顔面蒼白になりその顔は恐怖に歪む。


「!? おい待て、お前……まさか……!」


「あら気付いた? ボクってこんな見た目だから、貴方みたいな変態さんを襲いやすいんだよね♡」


 馬乗りになっている幼女体型の恰好した者はガリアスが良く見ると股関の部分がモッコリしており、男の象徴とも言えるブツが存在していた。


「さよなら、変態さん♡」


「うわああああああああ!!」


 その姿はまさしく男のサキュバスであり、口を大きく開けガリアスに襲いかかる。

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