第6話 予行演習・追放側視点
第1章 男のサキュバス編
まだ、前半部分ですが楽しんでいただければ幸いです。
第6話 予行演習・追放側視点
ガリアス達はザマの提案により予行演習の為適当なダンジョンへと赴き、前衛、中衛、後衛を決める。
「じゃあ俺様が先頭を切るぜ!」
「ちょっと待つでござる! 何時もなら拙者が斥候を務める手はずでござるよ!?」
「あ? 良いんだよ、高難度ダンジョンじゃねーんだ! さっさと終わらせて高難度ダンジョン“常闇の魔窟”に挑戦すんだよ!」
(それにエナに俺様の格好良いとこ見せて惚れさせてーしな!)
「別に今までと違っても何の問題も無いでしょ? ガリアスの配役に間違いがある訳ないじゃない!」
「しかしでごさるな。」
困惑するオチバの肩にアルタは手を置き首をふるふると横に振り、言っても無駄という事をアピールする。
「何事も無ければ良いでござるが……。」
(ディール殿が抜けて、どうも感覚がすぐれないでごさるが拙者だけなのでござろうか?)
聞く耳を持たないガリアスを心配するオチバだが、ディールが抜けてから調子が悪い事を気にしていた。
「まずは俺様が先頭だ、次はマルタ、三番目はエナ、四番目はアルタ、五番目はオチバ、最後はザマだ! 良いな!?」
「ワタクシは別に構いませんよ?」
(ふむ、見た限り火力重視の編成の様ですね。)
「何だか不安……。」
「安心するでござる、拙者はディール殿からエナ殿を守る様にと仰せつかっておるゆえ、この身を犠牲にしてでも守りぬいてしんぜよう!」
「あはは、有難うオチバ。」
編成を終えたガリアス達は洞窟状のダンジョンへと入ると蜥蜴の様なモンスター、リザードマン三体が現れるがガリアスの横薙ぎの一撃で胴体が真っ二つになり絶命する。
「はは、どうよこんな雑魚に俺様は殺られはしないぜ?」
(ちっ、見てねーか折角邪魔な奴を追い出したってのにこれじゃ意味ねーじゃねーか。)
リザードマンを倒したガリアスは態々エナの方へと振り向きアピールするがザマと話している様で見ていなかった。
「それでザマさんは、この編成はどう思います?」
「そうですねぇ、ワタクシからしたら回復役を守りながら火力で敵を倒していく様な配役ですかね。」
(まあ、不安要素はありますが。)
「お前ら無駄話してねーで、先へ進むぞ!!」
「ガリアス、何か怒ってない?」
「別に怒ってねーよ! マルタ、物理攻撃の効かないモンスターは頼むぜ?」
「分かってるわよ。」
「ま、待つでござる二人共! その先は!」
「んだよ! なっ!?」
「きゃっ!?」
ガリアスは機嫌を悪くし、づかづかと先へと進みマルタはその脚の速さに気付き追い付く速さで歩く、その際オチバは先の方に罠が在ることを察知し二人を止めようとするも間に合わず、二人の足元で魔法陣が浮かび上がり何処かへと転移させられる。
「マルタ!!」
「何時も通りにしておけば、この様な事にはならなかったかも知れぬでござるのに。」
「兎に角、私達で再編成して二人を捜しましょ!」
「そうでござるな、では拙者が先頭を務めさせてもらうでござる。」
「うむ、自分は二番手を。」
「エナ殿はアルタ殿の後ろでザマ殿は最後で構わぬか?」
「ええ構いませんよ、早くお二人を捜しましょうか。」
オチバ達が再編成をしていた頃、何処かへと転移させられたガリアスとマルタは、薄暗い洞窟の様な場所へと飛ばされていた。
「くっそ、何だ此処は?」
「どうやら、私達だけ飛ばされたみたいね。」
「ちっ、ついてないぜ。」
(どうせ二人きりならエナとが良かったんだがな。)
「ガリアス、何か言った?」
「何でもねーよ、まさか二人で行動する事になるとはな。」
「!?」
その言葉を聴きマルタはガリアスと二人きりという事実に気付き顔を真っ赤にする。
「あ? どうした、そんな怒んなよ余所見してたのは謝るからよ!」
「え、あ、うん……。」
(そうだ、私今ガリアスと二人きりなんだ。)
「さっさと行くぞ、今頃アイツら俺達を捜してる頃だろ。」
「そ、そうね……。」
ガリアスとマルタの二人は歩き始めるが、しばらくしてもモンスターの出る気配が無い事からマルタはガリアスに聴きたかった事を質問する。
「ねえガリアス……。」
「何だ?」
「エナの事、好きよね?」
「ああ、エナは良い女だ顔立ちも良いし優しいし何よりスタイル抜群でディールの野郎には勿体ねえ!」
「そう……、もしさ……その……私も……。」
「どうした? 言いたい事が有るなら言えよ。」
マルタはモジモジしながら、先へ進むガリアスの背中を見ながら自分の気持ちを伝えようとしたところ、光が射し込み洞窟の外へと出る。
「あ? 外じゃねーか!?」
「あの魔法陣、外へ繋がってたみたいね。」
「で、何だよ?」
「その……、ねえアレってディールじゃない?」
「何だアイツ、楽しそうにスキップなんかしちまって?」
一方その頃、エナ達はダンジョンのボスモンスターであるベヒーモスを倒しお宝を手に入れていた。
「このダンジョン、思ったよりも広くはなかったでござるな。」
「こんなに隅々まで捜しても見つからないなんて。」
「マルタは何処へ行ったのだ?」
「ふむ最悪二人は亡くなっているか、若しくはダンジョンの外へ放り出されたかの何方かでしょうね。 ワタクシは後者の方を望みますが。」
エナ達は来た道を戻りダンジョンの外へ出ると洞窟から感じていた異様な気配は消えており、クリアした事で浄化された様だ。
「さて、帰りましょうか……あのお二方に会ったら言わなくてはならない事がありますので。」
「そうね、生きていれば良いけど。」
この頃、最難関ダンジョンとされる常闇の魔窟から帰って来ていたディールは持ち帰ったお宝をギルドで鑑定してもらい換金してもらっていた。
「こ、これは全部入手難度の高いお宝ではないですか!?」
「全部で幾らになるんだ?」
「そうね、全部で一億ゴールドになるわ!!」
「じゃあ、全部換金で。」