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第4話 大精霊

         第4話 大精霊


 モランタイル侯爵家にて娘であるポッコロを助けた事によるお礼として屋敷でおもてなしを受けた現在、机の上に高級感溢れる料理が眼の前に並んでいる。


「ディール君、娘を助けて頂き感謝するよ。 さ、存分に料理を味わってくれ給え。」


「凄く美味しそうだ!」


「ディール様、はいあーん♡」


「あーん、もぐもぐ。」


「美味しい?」


「ああ、美味しいよ。」


 ポッコロが白身魚のムニエルを俺の口に運び食べさせてくれる、バターの風味が口いっぱいに広がり骨すら柔らかく在ることを感じさせない程に身ともに解れ食べ易い。


 食事を済ませるとモランタイル侯爵の表情に影が射した様に感じて理由を聴いてみた。


「あの、何か悩みでも?」


「実はね、中庭に祀っている大精霊様の様子が近頃おかしいのだ。」


「大精霊?」


「どうも最近、疲弊している様に見えて困っておるのだ。 大精霊様は精霊使いの振興が在ってその存在意義を果たしているのだが、どうも最近の若い者達は大精霊への感謝を蔑ろにしている節がある。」


「そうだ、父上! ディール様を大精霊様に会わせましょう、きっと解決してくれるわ!」


「良かろう、少しでも振興が集まれば大精霊様も苦しい思いをしなくて済むだろう。 ポッコロ案内してあげなさい。」


「はい父上、ディール様こちらです!」


 俺はポッコロに手を引かれ中庭へと案内されると中央には石碑の様な物が有り、それに寄りかかる髪は翠色で蒼い瞳をし、背中には半透明の羽根を持った美しい大人の女性が苦しそうにしていた。


「大丈夫ですか?」


「!?」


 俺が近付くと大精霊の顔色が良くなっていき、頬に赤味が宿っていく。


「んうぅ……、楽に……なった……?」


「話はモランタイル侯爵に聴いたよ、振興がないと力を発揮できないんだってな。」


「ええ、それに契約している方々の大半の方々が私への振興を忘れ自分の力と勘違いしております。」


「そうか、ん? そういや、マルタは精霊使いのはずだけど自分の力としてアピールしていた様な。」


「そういった方々のせいで私は今にも消えそうなのです、この状況を打開すふには少精霊を介した関節契約ではなく、私自身と直接契約をしてくれる方でも居れば……。」関節契約→間接契約


 大精霊は困った表情をしながら俺の方をチラチラと見てくる、仕方がないので俺は大精霊との契約を承諾する事にした。


「なら、俺で良ければ契約しようか?」


「宜しいのですか! 貴方は私の命の恩人です、自主的に人助けの行える貴方様になら私の力の全てを与えましょう!」


「で、契約ってのはどうすれば良いんだ? 俺はやり方全く知らないんだが。」


「何も問題ありません、私に身を委ねていてください。 直ぐに終わりますから。」


「ん!?」


 大精霊に顔を両手で捕まれるとそのままキスをされ、舌先が口の中に入って来る。


 身体の中に魔力なのか不思議な力が全身を巡り大精霊との契約を済ませる。


「ぷはっ、はぁ……はぁ……貴方最高♡ こんなにイッたのは初めてよ♡」


「それで気分はどうだ?」


「今は絶頂の中にいるわ! そうそう、私と直接契約したのだから魔法を使える様になったはずよ♡ 後で試してみてね♡」


「魔法使える様になったのか、実感沸かないけど明日冒険者ギルドの訓練所で試してみるかな。」


「凄いわ! あの大精霊様に認められるなんて流石はディール様ね!!」


「今日はもう遅いですし、寝室へと案内しますねディール様。」


 俺はルリに先導され屋敷の寝室で寝る事になるが、またも左右をポッコロとルリが挟み添い寝をしてくる。


「な、何もそこまでもてなさなくても。」


「何言ってるの、私達出会ってもう半日は経ってるのよ。 これくらい普通でしょ♡」


「ポッコロ様の言う通りです、未来の旦那様♡」


 二人は俺に胸を押し付け、顔を耳元まで近付けると色っぽい吐息が耳を刺激する。


(はぁ、今頃エナはどうしてるかな? ガリアスに変な事されてないと良いけど。)


 俺はエナを心配しながら眠りにつき、翌朝俺は大精霊に挨拶しに行く。


「おはよう御座います大精霊様。」


「おはよう、来てくれて嬉しいわ。」


「ところで魔法が使える様になるって言ってたけど、どんな魔法が使えるんだ?」


「ふふ、聴いて驚きなさい……。」


 大精霊は顎に指をあて、流し眼で俺をキメ顔で見ると盛大に使える魔法を宣言する。


「なななーんと、全ての最下級魔法が使えちゃいまーす!!」


「全ての最下級魔法?」


「どう、凄いでしょ! あれ? あんまり嬉しく無さそうね。」


 使える魔法は何故か全て最下級魔法らしく、昔から魔力さえ有れば小さい子供でも難なく使える威力の弱い魔法だという事を知っていた為落胆してしまう。


「あーいや、魔法が使えるってワクワクしてたんだけど最下級魔法かぁ……。」


「そんなに落ち込む事はないわよ? 最下級魔法には無詠唱で使えるメリットがあるんだから! 最上級魔法なんて詠唱に時間がかかるし一度集中力を切らしたらまた最初から始めないといけないしでデメリットの方が大きいわ。」


「言われてみれば確かにそうかも。」


「そうそう、たまにで良いからまた私に会いに来てねマスター♡」


 俺は大精霊に魔法の事を聴いた後、モランタイル侯爵家を後にし冒険者ギルドに向かう。


(んー、やっぱ居ないかな。)


 冒険者ギルドへと足を踏み入れバスターロールのメンバーが居ないか周囲を見渡すが誰も居ない。


(そういや、最難関ダンジョンを攻略しに行くって言ってたっけ?)


「あの、すみません冒険者登録をソロに変えたいんだけど。」


「ディール君ね、分かってると思うけどポーターはソロでは登録できないわよ?」


「勿論知ってるよ、だから魔法使いで再登録出来るか?」


「魔法使えたっけ? まあ良いわ、流石に魔法が使えるかどうか確かめずに登録する訳にはいかないから準備するわね。」


 受付嬢に魔法使いで再登録を促したが、案の定冒険者登録の規定に乗っ取り魔法での的当てをする事となった。

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