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第3話 ザマの説教・追放側視点

     第3話 ザマの説教・追放側視点


 ガリアスはディールをパーティーから追い出した事に得意気になり、ザマをパーティーに加えた事で最難度ダンジョンへと挑戦しようとしていたがザマが待ったをかける。


「使えない荷物持ちが居なくなってせいせいするぜ、明日は最難関ダンジョンに挑戦するせ? オメーら、今夜はゆっくり休みな!」


「お待ちなさい、今まで最難関ダンジョンへの挑戦と言いましたか? まさかリーダーの貴方までバカだとは知りませんでしたよ!」


「何だと!? 荷物持ちが生意気言ってんじゃねーぞ!」


 ザマはガリアスの考えが危険なものだと主張するかの様に皆にパーティーが変わった時の予行演習を低難度ダンジョンで行う事を提案する。


「良いですか、ワタクシはバスターロールに入ったばかりで貴方達の戦術や立ち回り等が解っていません!」


「あ? 荷物持ちは荷物だけ持ってりゃ良いんだよ、リーダーの俺に指図……!?」


「死にますよ? 全員……。」


「「「「「「!?」」」」」」


 口答えするガリアスに冒険者ギルド内の全員がザマの一瞬だけ放った殺気に皆が振り向き場がシンと静まり返る。


「ガリアス殿、ザマ殿の意見も最もでござるよ彼は加入したばかりの新参者ゆえいきなり高難度ダンジョンは厳しいかと。」


 静まり返る場の雰囲気に飲まれていないオチバが口を開くと周囲の冒険者達も何時もの様に仲間同士で語り合い始める。


「某もザマの意見に賛成だな。」


「えー、折角前人未到の高難度ダンジョンに挑戦できると思ってたのに〜んでエナはどうなの? 賛成なの? 反対なの?」


「んなもん賛成に決まって……。」


「反対よ、だって上手く連携がとれる保証がないもの。」


「なっ!?」


 アルタもザマの意見に賛成でマルタは反対派らしく、多数決でエナが賛成派か反対派のどちらかで決める流れとなりガリアスは賛成すると思い込んでいたがエナも反対派である事に驚いていた。


「決まりですね、予行演習というのはパーティーが全滅しない様に設けるものです。」


「ちっ、わーったよ! 今日の所は解散だ!」


 渋々ガリアスはザマの提案を受け入れ、皆もそれぞれバスターロールのギルドハウスへと向かい自分の部屋に入って行く。


「くそが!! 役立たずが居なくなったと思えば、あの野郎とんだ指示厨じゃねーか!!」

(エナもエナだ! ディールにばかり優しくしやがって、絶対俺の方が相応しいのに!!)


 その頃エナはザマをディールの部屋に案内し、部屋の中を片付け話をしていた。


「今は空いてる部屋がここしかないから……。」


「成程、先程の方の部屋ですか。」


「ええ、元々バスターロールは私とディールで考えたパーティー名なの。」


「そう……ですか、ワタクシも彼に強く当たってしまった事を誤解なさらないでくださいね。 このパーティーのリーダーガリアスさんは昔のワタクシを思い出させますので。」


 ザマは悲しげな表情でエナに自身の過去を語りだし、エナも話しに耳を傾ける。


「昔の自分を……?」


「ワタクシがSSSランクの冒険者だった頃の話しです、その頃は“俊足の槍使い”と呼ばれていました。」


「あっ! 聴いた事有ります、何年か前に謎の失踪をした冒険者の話し! その頃って確かSSSランク冒険者全滅かって記事に大きく載ってたわ!」


「おそらくワタクシの事でしょう、初めて仲間の死に直面した時は自分の不甲斐無さを実感しました。 ですからワタクシは一度冒険者を辞めたのですが、何かがワタクシを責め立てている様な夜が続き眠れませんでした。」


 エナは何年か前の記事の内容を思い出し、失踪した凄腕の冒険者がザマの事で驚く。


「彼はディールと言いましたか、荷物の中身を見た時は驚きましたよ……中が乱雑なだけでなく道具を使った形跡すらなかったのがね。」


「それが何か問題なんですか?」


「大問題ですよ、つまり彼が居た頃は道具に頼る必要が無かった事の裏付けになりますし今のバスターロールのパーティーでは、まず間違いなく道具に頼る事になるでしょう。 そんな中で高難度ダンジョンへの挑戦なんて以ての外、自殺行為に他なりません!」


「ならディールは抜けるべきじゃ無かったって事?」


「いいえ、彼が抜けた事でバスターロールが如何に問題を抱えているか知る事を知るチャンスです。 このパーティーが変わらないと解ればワタクシは離脱する事も検討していますので、……もうこんな時間ですかお喋りが過ぎましたね明日の為にもう寝なさい身体を休めるのも冒険者として必要な事ですからね。」


 ザマが話し終えるとエナは自室の風呂場でシャワーを浴びて湯船に浸かり考え事をする。


「ディール、今頃どうしてるかな?」


 エナは天井を見上げながらディールの心配をし、別の部屋のアルタは自室で筋トレ、オチバは調理場で翌朝の食事の為の仕込みをしている。


「うむ、味付けはこんな物でごさるな。」


「何それ、野菜スープを濁した見たいな奴?」


「失礼でござるな、これは豚汁と言って拙者の国では普通に出てくる和食でごさるよ。」


「ふーん、所で何でガリアスの意見に反対したわけ? 今の私達なら高難度ダンジョンだって荷物持ちが居なくたって楽勝なはずよ?」


 ガリアスの意見に賛成だったマルタは反対派のオチバに対して疑念を抱いているのか理由を訪ねる。


「感でござるよ、ディール殿が抜けた後妙に身体が重く感じたのでござる。 おそらくではあるが、アルタ殿とエナ殿は拙者と同じく身体に違和感を覚えたから反対したのではござらぬかな?」


「そう? 私は別に違和感なんて感じてないけど?」


「それはマルタ殿自身の力ではなく、精霊の力を使っているからではござらんか?」


「成程、一理あるわね。」


 オチバ達は身体の異変に気付き高難度ダンジョンへの挑戦を反対しており、マルタだけ違和感が無かった事を説明され納得すると部屋へと帰って行った。

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