表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ホシオとヒカリ

【冬童話2022】向けに作りました。

流れ星をテーマにしたお話です。


最後には救いのある話がいいなと思ってます。


流れ星のホシオは、いつも夜空を飛び回っていました。

ですが、ホシオの身体はちっとも光りません。


「ホシオがもし、本当に願い事を叶えてあげたい相手に出会えたら、その時には、自然と体が光るんだよ」


そう言っていたホシオのお姉さん星は、ずっと前に体を光らせて消えてしまいました。

どこかの誰かの「子供が欲しい」と言う願いを叶えるために、、、


「そんな奴いるもんかい」


そう言ってホシオは、今日も真っ暗な夜空を一人でビュンビュン飛び回っていました。



ある寒い冬の日。

ホシオは、窓を開けて夜空に願い事をしている女の子を見つけました。


「ちょっとからかってやろうかな」


そう思ったホシオは女の子に話しかけます。


「ねぇねぇ、君はどんな願い事をしているの?」


女の子は辺りをキョロキョロした後で言いました


「弟が欲しいの」


「ふーん」


ホシオは興味なさそうにつぶやきます。


「じゃあ、ボクがその願い事を叶えてあげようか?」


ホシオがそう言うと、女の子は大喜びです。


「本当! お願いお願い」と言いました。


「嘘だよー、叶えてやるわけないじゃん。じゃーねー」


そう言ってホシオは、ビュンビュンと、また夜空を飛んでいってしまいました。

あとに残された女の子はしくしくと泣いていました。



また別の日、ホシオが空をビュンビュンと飛び回っていると、いつかの女の子がいました。

前と同じく窓を開けて、必死に夜空に向かって願い事をしています。


ホシオは女の子に近づいていってまた話しかけます。


「ねぇねぇ、君はどんな願い事をしているの?」


女の子はまた辺りをキョロキョロした後で言いました。


「弟が欲しいの」


「へぇ、なんで弟が欲しいの?」


ホシオが尋ねると女の子が答えます。


「パパが戦争で死んじゃって、ママはずっと元気がないの。だから、弟ができればママが元気になると思って、、、」


「じゃあ、ボクがその願い事を叶えてあげようか?」


ホシオがそう言うと、女の子は怒りました。


「どうせまた嘘なんでしょ。騙されないよーだ」


ちょっとだけ、、

本当にちょっとだけ、、、

本当に願いを叶えてやろうかと思っていたホシオは、女の子にそんな態度をされて面白くありませんでした。


「だったらいいよ。誰がお前の願いなんか叶えてやるもんか」


ホシオはそう言ってビュンビュンと、またどこかに飛んでいってしまいました。




ホシオは今日も夜空を飛び回ります。

まっくらやみの中を、一人ぼっちで飛び回ります。


ホシオはまた、窓を開けて願い事をしてる女の子の所へやってきました。


ホシオはまた、女の子に話しかけました。


「そんなに弟が欲しいのかい?」


「うん欲しいよ」


女の子は言いました


「ふーん」


それからホシオは女の子とおはなしをしました。


女の子はヒカリ言う名前でした。


「ホシオは、ずっとひとりで空を飛んでいるの?」


「うん。昔はお姉さんがいたんだけど、お姉さんはもう消えてしまったんだ」


「そうなんだ、それは寂しいね」


ヒカリがそう言いました。


「寂しい、のかな?」


ホシオは考えたこともありませんでした。


「ひとりぼっちって、寂しいことなの?」


ホシオがそう尋ねると、ヒカリが答えます。


「寂しいよ。私にはママがいるから大丈夫。でもママはパパがいなくなってとっても寂しそうなの。だから、私はママのために弟が欲しいの」


ホシオは少し考えた後で言いました。


「じゃぁ、僕がヒカリの願い事を叶えてあげようか?」


「どうせまた嘘でしょ。騙されないよーだ」


ヒカリはそう言って、そっぽを向きました。


その時、ホシオの体がピカピカとひかり始めました。

それは今まで見たこともないようなきれいな色で、どんどんどんどんと、その光が強くなっていきます。


「最初は嘘ついてごめん。でも今度は嘘じゃないよ。ボクは本当に、ヒカリの願い事を叶えたいんだ」


「本当に?」


ヒカリが尋ねると、ホシオがうなずきました。



「でも私の願い事を叶えたら、ホシオは消えてしまうんでしょう?」


「うん。でもボクは、それでもヒカリの願いを叶えたいんだよ。さぁ早く。ボクの光が消えてしまう前に、、、」


そう言ってホシオは夜空に戻り、一直線に夜空をかけました。


星空に、一筋の流れ星が駆けていきます。


ヒカリは手を合わせ、キュッと目を瞑りました。





お星様お星様、私の願いを叶えてください。私の願い事は、、、





数年後、ヒカリの家に元気な鳴き声が響き渡りました。

ヒカリのママが新しいお父さんを連れてきて、そしヒカリには弟ができました。

ママは、もう寂しそうではありませんでした。


珠のような男の子を見てヒカリのママが言いました。


「お父さんと2人で、この子のお名前を考えたんだ。ホシオって言う名前はどうかしら」


ヒカリはにっこりと笑ってうなずきました。





お星様お星様、私の願いを叶えてください。私の願い事は、、、




ホシオと、もっといっぱいおはなしがしたい。






新しいパパはヒカリにも、弟のホシオにも同じように愛情を注ぎました。

愛情いっぱいに育ったヒカリとホシオは、近所で評判の仲良し姉弟になりました。

そして、一家4人は末永く楽しく暮らしました。




「ねぇねぇお姉ちゃん。ボク、昔はお空の上にいたんだよ」


「そうなんだ。実はね、、お姉ちゃんもそうなんだ」




最後まで読んでいただき、

本当にありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] とてもかわいいお話でした。 地上でもきょうだいになれて良かったです。 [一言] 少しですが、評価入れさせていただきました。 微力ながら、応援します。
[一言] 最後の2行にハッとさせられました。 姉弟仲良くね!
2021/12/26 15:36 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ