Ⅶ 専属契約
誤字報告してくれた方、ありがとうございます!
こうしてみるとやっぱり多いんですね……
それとすいません、来月からの投稿は月曜の17時(1週間に1度)にさせてもらいます。リアルでの時間があまり取れなくて……
「あ!シンペーさん!大丈夫ですか?」
眠りから覚め、重い足にむち打ち何とか1階へたどり着いた。
そこではいつも俺がよく受付を頼んでいるリナさんがいた。
彼女は信用出来る。
怖いことなど何も無い……筈なのに。
「?」
どうしても近づくことが出来ないのだ。
だがそんな事では誰とも話すことが出来ない。
何度も自分に彼女は信用出来ると言い聞かせ、何とか口を開く。
「えと……あと……あの……………人は……?」
だが出てきたのはそんな掠れた声。なんてざまだと自分でも思う。
だがそれだけで彼女は察してくれたのか、きちんと答えてくれる。
「はい!貴方を救出してくれた方ですね!えっとですね……あ、これです、彼女は信用出来る薬剤師、特に怪我を治療する方の専門なので、ポーション作りをしているのですが、あまり人とはかかわり合いにならず……」
そう言って1枚の紙を渡してくる。
「こちらが彼女、ヒナミさんの研究室……調合室?までのルートが書いてある地図です」
何となくわかった。つまり行けということだろう。
「彼女自身、あなたの事は気にかけていましたので、悪いようにはならないと思いますよ?」
俺を……?
あぁ、薬草の件か……となると……
「分かりました……行ってきます」
とりあえず行ってみないことには何も始まらない。
早速向かうことにした。
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「ついた……」
はっきりいってここまでくるのも大変だった。
いつも通りの日常。街を行き交う人々。
それら全てが怖いのだ。
それが被害妄想というのはわかっている。
だか、それでも周りが自分を殺そうとしているのではないかと考えてしまい、どうしても気になってしまうのだ。
そのため、急ぎ足でここへ来たため、実際はそんなにかかってはいないと思うのだが、体感ではかなり長く感じた。
まぁそんな事はどうでも……良くはないが、ここが彼女のいる場所というのなら、お礼をしなくてはならないだろう。
「えっと……すいません!ここにヒナミさんという方はいませんか?」
確かリナさんから聞いた名前はヒナミさんだったな……彼女がいてくれたら行幸なのだが、もし他の人がいたらどうしよう……ぶっ倒れるかもしんない……
だがそんな考えも意味無く。
「……私の事呼んだ?一体だ……あぁ、君ね……」
今、ローブを深く被っているため、顔は見えないが、それでもあの時自分を救ってくれた人だということはすぐにわかった。
「良かった……生きてたんだ……」
そしてその声から本当に安堵していることがわかった。
自分には決して、相手の考えがわかる訳でもない。
だがなぜだか、この人だけは信用出来る。したいという思いが自分の中で生まれていた。
とりあえず今は礼の話だ。
「あっ……と、あの時、助けてくれた礼……というのも何ですが……俺と……専属契約を結んでくれませんか?」
これはリナさんから聞いた話なのだが、多種にわたって専属契約なるものがあるらしく、それは契約するもの、契約を受けるものの2方にわかれる。
契約をする方は利益を得る代わりに報酬を渡す方。この場合はヒナミさんだ。
契約を受ける方は依頼などを受ける代わりに報酬を得るものとなり、そこまでは大体はギルドの依頼と同じだが、違うのは、他者の干渉を受け付けないということとなる。
勿論これは受ける方が実力がないとする方の利益が無くなるため、ある程度何かしらの実力がないと行けないのだが、リナさん曰く、俺は薬剤師からしたら喉から手が出るほど貴重な存在らしく、ヒナミさんも気にかけていたため、契約を持ち込めば受けてくれる可能性が高いとのことらしい。
更に、今回の場合、契約をすれば、ヒナミさんは俺をある程度外敵から(この場合はほかの薬剤師、もしくは冒険者)守る義務が出てくるため、今、人間不信状態の俺にとってもいい状態になるらしい。
とりあえずそのような理由から話を持ち出したのだが、自分の実力が分からない俺からしたら半信半疑の情報だったのだが……
「ッ!?……いいの?」
意外にも、向こうの方は食い気味に聞いてきた。