Ⅲ 日頃の行い
今回は短めです。
「どういうことだって聞いてんだよ!」
その一言により、ギルドがしんと静まりかえる。
どうやら自分とは離れた場所の受付で揉め事が起こっているらしい。迷惑だなぁ……
一体何があったのか聞いてみ……
「何であんなガキが持ってきた薬草が銀貨8枚もすんのに俺らの薬草は小銅貨2枚何だよ!」
……どうやらこの俺にも原因がありそうだ。
てか小銅貨2枚……俺的換算で2円て……
「俺たちゃあ薬草を500本持ってきたんだぞ!?なのに何でこれっぽっちなんだ!ふざけてんだろ!」
500本て今日の俺より多いな……てかよくそんなに取れたな?俺なんか鑑定と探知使ってようやく見つか
「貴方たち、最近シンペーさんに着いて回ってる冒険者ですよね?」
あっ……数が少ない薬草、俺よりも多く持ってくる冒険者、俺に付きまとってる……そーゆーことね……
「アァ?んなもん証拠あんのかよ!それに今はそんなことじゃねぇだろ!キチンと勘定しやがれ!」
「そうですか、それではゴミの処理費用で銅貨6枚貰いますが?貴方たちの持ってくる薬草、あれはなんなんですか?あんなもの、使う人なんていないですよ?茎もダメ、葉もダメ、それにどういう運び方をしているのか擦り切れているし、これでもいくつかの所へ貰ってくれないか交渉しているんですよ?それでも引き取ってもらえるところなんてなく。
さらに貴方たちは人の採取場をストーカー行為で特定した挙句、ダメにしてきたんです。一体何人もの人を敵に回すつもりなんですかね?そういうわけでこのゴミは処分以外に使い道がないんです。一応そのまま食べても回復効果は得られますがごく微力ですし、味もとても食べられたものではありません。そんな物を廃棄するための金銭を要求せずにキチンと報酬を払っているんですよ?本来マイナスの支払いをキチンと貴方たちに利益が出る形で渡しているんですが……それでもキチンと勘定しろと言うならば仕方がないですね、それでは先程言った通り銅貨6枚……いえ、今までの分も含めると銀貨4枚は必要ですね。支払ってください」
余程腹に来ていたのか突然饒舌になりつらつらと文句を垂れる受付嬢。その迫力には流石に文句を言ってきた男たちも恐怖を感じたのか若干引いている。
というよりよく見ると、このギルドにいる人全員から白い目で見られているな……
あぁ、そういえば、手に入れた薬草はポーションを作る人達だけでなく、その完成したポーションを使う人達にも関係あるんだっけ。ポーションを使うのは基本的に危険な仕事の冒険者達だ。
自分の命を救うポーションの材料を無駄にし、供給を減らしているならば、確かに多くの人達を敵に回していると言えるだろう。
というよりあの人たち最初のガイドブック読まなかったのかな……薬草のとり方とか書いてあったのに……それとも読んだ上でめんどくさいと適当にとっているのかな?そりゃぁ報酬なんてまともに貰えるわけないか。
「~~ッッッッ!覚えてろ!」
そんな捨て台詞と共にギルドから出ていった。その際目が合ったのだが……何も無いよな?
と、少し脅えているとリナさんが話しかけてくる。
「あの様に、数だけでは報酬は貰えません。その点貴方は品質もよく、状態もいい。なので多くの金額が貰えるんです。一応今回の報酬、銀貨8枚は先払いで、はっきりいって今回だけでも金貨6枚分の価値があります。なのでギルド貨幣預かり口へ毎日少しづつ送られてくるはずですよ?もちろん今までの分も含めて」
え?
「つまりいくら?」
「白金貨19枚分ですね」
暫くはひきこもれそうな金額だなぁ……
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ここはとある調合室。
そこにはとある少女がいた。
「ほんとにコレ、凄い……簡単な調合でも中級の物が作れる……」
少女の後ろには今まで完成した分のポーションがある。
箱の中に無造作に置かれている物は濃い青をしているが、綺麗に置かれている物は透明感の高い水色をしている。
「……一応、目はかけておくかな」