ⅩⅩⅡ 果実
うるっさいなぁ……
さっきからミシミシ、ミシミシいってるよ。
森平を逃がすことは出来たけど、どうしよう……ヒュームは強いからなぁ、そう簡単には倒せないと思うけど……
「クイック、コンボ、バースト&グラビティ」
さっきからトレントヒュームの飛ばしてくる目?のような果実がウザイ、1発1発がとんでもない威力を持ってるんだから。
だから飛ばせなくする。
風属性と火属性融合魔法、バースト。
闇魔法グラビティ。
対象をヒュームに合わせて使うだけで奴は常時押しつぶされた状態になる。
それでも本体は普通に動けるらしいが、飛ばしてくる果実は無効化できる。
……飛ばしてくる果実は……復活しない、1度使ったら新たに生えてくる事は無い?それとも時間がかかるのか?
だけどそれなら、時間をかければ何とかなるかも……
そう思っていた時があった。
だがそんな希望は一瞬で壊される。
ガーゴイル。
この辺りに突然現れ、冒険者たちを襲った魔物。
だがいつ近づいてきたのか、真上に来るまでなぜ誰も気が付かなかったのか。
ヒュームが叫んでついに原因が分かることとなる。
ヒュームの近くが歪み、そこから現れるガーゴイル。
いや、正式にはガーゴイルではなかった。
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栄養食
ランクA
総合ステータス評価B+
スキル
無し
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「は?」
思わず声が出てしまったが仕方ないだろう。
栄養食?
栄養のある……食べ物?
ヒュームは魔物を食らう。つい最近聞いたはずだ。
そしてこのガーゴイルは食べられるためだけの……
ヒュームがガーゴイルを食らう。
すると ポン という音とともに目の果実が実る。
だが黒い。まだ早熟なのだろうか?
そう思っていた時、頬を何かが掠めた。
果実が減っている。
頬から血が流れている。
「まさか……」
熟し具合で性能が変わるのか?
となると熟れた物が火力、早熟が速度……更に余り他の影響を受けないように見える。
ならば熟しすぎて腐るなどもあるのだろうか……その場合実が無くなるのか、それとも……
あれ?何で地面が目の前に?
何で……私が倒れてる?
立たないと……足が上手く動かない……何で……
ここで1つ、果物は熟れ過ぎるとやがて木から落ち、腐る。その際、長く放置されたものはアルコールが生まれ、酒となる事がある。
人の手で作られない、自然の酒。
勿論地面に落ち、長く経っているため、人には飲めたものでは無いと思うがそれでも酒には変わりない。
強烈なアルコールは近くにあるだけで相手を酔わせる事が出来る。
ここまで言えばあとは分かるだろう。
いつの間にか落ちている目の果実。
時間などかける事もせずアルコールが生まれたもの。
それはヒナミの体を蝕み、酔わせ、まともな平衡感覚を無くさせた。
「や……ばい……かんがえが……まとまらな……い……」




