ⅩⅩⅠ VSヒューム(サイバートレント)
木の実一つ一つが目。
見るだけで吐き気を催すようなそんなフォルム。
相手は人型ですらなく、まるで木のような見た目をしている。
……いや、今はそんなことを考えている暇はなかったか……今はまず、襲われてる子を助けないと。
ふと
先程案内してくれた妖精の姿を確認しようとしたが、その時には消えていた。一体何だったんだ?
とりあえず、助けるにもなんの力もない俺にはたかが知れている。
普通に攻撃しても……いや、そうでなくても一撃でも食らったらやばいだろう。
理由は分からないが、小さいのに、森で襲ってきた魔物よりもやばい様に思える。
まぁ何が言いたいかと言うと、近接は駄目だ。
近づくのは自殺行為。どの道、俺の素の力じゃもし当たっても大した、もしくは一切のダメージとはならないはず。
ならば、気を引く、そして逃げることを優先する。そして気を引けるのなら何だっていい。
俺は辺り一面にある瓦礫、少し大きめの石くらいのものを掴み、当たらなくてもいいから投げつける。
何とかこちらに気を引かせることに成功した。
少女の身動きは未だに取れず。
下手に逃がしたらまた魔物はそちらに気が向いてしまうかもしれない。なら、ある程度別の場所へ誘導しなくてはならない。
……こんな魔物だらけの空間で?
いや、考えてる暇なんてないか……どの道、もっと前に死んでたかもしれないんだ。ならば、その残った命の使い道は誰かを助けるために使ってもいいだろう。……まぁ勿論死なないことが最優先だが。
てか死ぬ!さっきから後ろの方でグサグサ音が聞こえる!足が絡まるのにそれでも全力疾走しないといけないこの状況よ、理不尽すぎやしないか!?
怖いって!ほんとにどうしたら……
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スキル:恐怖耐性Lv7を手に入れました。
ーー代償としてトラウマLv4を取得します。
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……は?
待て?どういう事だ?
恐怖耐性?
もしかして前よりは普通に動けるようになったのってスキルのお陰なのか!?いや、確かに人は怖いけどそれでもある程度は動けるけどさぁ?
だけどトラウマてのはなんだ?何か上がったらやばい気がする……今Lv4なのか……MAXは10か?
と、この表示をみてかなり気が逸れていた。今は命をかけた逃走の最中というのに……
「カハッ?」
少しの衝撃、そして少し俺の体が揺れる。
胸元を見る。
木の枝が俺の胸を貫いている。
「……ッハハ、こんな呆気ねぇのかよ……」
その時、キィンという音が聞こえた。
だが状況は変わらない。
俺は……やっぱ弱ぇな…………
瞬間、ペンダントが光った。
「あ?これ、ヒナミさんがつけてくれた……」
その瞬間、俺の体が燃えた。
「熱ッ……くない?」
見ると確かに俺の体は燃えているのだが、熱さは、そして痛みも感じない。
胸を見てみると、先程貫かれた傷は癒え、振り返ると魔物が燃えていた。
ペンダントの色が少し黒ずんだ。
「……助かった……のか?」
「森平!!」
「ッ!?ヒナミさん!!」
突然、どこにいたのかも分からなかったヒナミさんが駆け付けてくれた。
「森平……どうしてここに?」
「ヒナミさんこそ、何でここが?」
そう聞き返すと、ヒナミさんは少し困ったような顔をして
「……分からない、でも突然森平がどこにいるのか感じて……危ないと思ったら何となくここにいると分かって……」
つまりは何も分からないということか。
「この炎はヒナミさんが?」
「ううん、違う、これはそのペンダントだと思う、2回、自動で死を防ぐ効果を持ってるから」
死を防ぐ?身代わりとかそんな感じか?でもなんで燃えたんだ?
「多分、そのまま傷を治しても体を貫いたままだと意味が無いからだと思う。だからどうにか治すためにまずは邪魔なものを排除したとか……」
「何それ便利」
凄いなこのペンダント……
「とりあえずあいつを倒す、森平は逃げて」
「1人で大丈夫なのか?」
「最悪、この街にはもう1人強いのがいるからなんとかなると思う……あんま手は組みたくないけど」
「……わかった、必ず戻ってきてくれ……1人じゃ怖いから」
我ながら情けないセリフだと思う、でも戻ってきて欲しいのは本当だ。
それを聞いたヒナミさんは少し驚いたような表情をしたあと、微笑み言う。
「分かった、必ず戻る」
後は少女を助けて逃げるだけだ。




