ⅩⅨ 通常未来
第一章あと少しくらいで終わらせたい
「ヒナミさん!」
すごい勢いで扉が開く。思わず驚き体が震える。
だがこの声は知っている。この人なら怖くはない。
ギルドの受付嬢、リナさんだ。
久々にあった気がする。
「ヒナミさん!ヒナミさんはいますか!……もうどこかに……?見つけないと!街の方に?1番大変なのはそこじゃないのに!」
どうしたんだ?
生憎リナさんにはたまたまベットの中にいた俺には気が付かなかったらしい。とはいえ、なにか気になることを言っていたな……
1番大変なのはそこじゃない?
何かまだあるッ……!?
何だこれ!?知らない記憶……がァ!!??
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『なんで間に合わなかったんだ……!!』『もっと早く動いていれば』『あなたは何も悪くない、助かった命だってあるんだから』『あ!救助に協力して頂きありがとうございます!……え?何人も助けられない人がいた?………仕方ないですよ、全てを救えるなんてこと、最初から出来なかったんです』『お父さんを返してよ!なんで助けてくれなかったの!』『皆大嫌いだ!』『あぁ、この国は腐ってるよ、だってこんなことになるなんて最初から知ってたんだからさ?国民を見殺しにしたんだ』『……さっすがにこのシェリーさんでもキチィかなぁ?』『なんであの子が!』『やっぱり人間なんざ信用出来ねぇよな』『貴方がいたから私たちは頑張れた。だから今は休んで』『いやぁ……いやだよぉ……死なないで……よぉ……』『ねぇ?お父さん、私、やったよ?褒めて?』『ふざけんな!こんなこと……こんなこと!』『うひゃー、君、弱すぎー!!こんなんじゃ一瞬で死なせちゃうよ?』『これは……短剣?』『あーあ……消えちゃった。ごめんね?失敗しちゃったみたい……次こそは上手くやるから……次こそは……次こそ……ごめんね……ごめんね………』『ねぇ。知ってる?魔物って本当は』
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頭が!割れる!痛てぇ!!クッソ……がァ……
何だよ……これ……今……俺は何を見た?
……思い出せない……
なんだ?大切なことなのにぜんっぜん思い出せないぞ?
……いや、今はそんなことはどうでもいい……
「行かないと」
足が震える。外に出るのが怖い。
だけどでないと何か、もっと怖い事がおきそうで……
行かないと!!■■■■■■!
ーー移動中・・・
ギルドの中はやはり混乱していた。怖い。
「おい!どうすんだ!」「けが人はこちらへ!」「クッソ!かなりきてやがんぞ!」「死にたくねぇ……死にたくねぇよォ………」「まだだ!この街が好きだから!まだやれる!」「なんでSランクが出払ってんだよ!」「仕方ないじゃん!山の方でも異変が起きてるんだからさ!」「勇者はどうしたんだ!」「遠征中だよ!」「ニアス様……早く帰ってきて……」「やっばいな……魔法師は遠距離からの攻撃を頼む!」「砲兵!南へ行ってくれ!そこがいちばん多い!」
辺りから様々な罵声が響かうが今はそれどころじゃない。怖い。
ヒナミさんは……いないか……
仕方なしに俺は西門へと向かうことにする。
ーー移動中・・・
「おい!手が空いたやつは南へ行ってくれ!そこが1番やべぇらしい!」「分かった!何とか抑えててくれ!」「こっちはほかより数が少ないな?行けるぞ!さっさと他のとこの救援へ向かうんだ!」「デケェの1発かまそうぜ!」
西門では魔物が今少なく余裕で対処出来るせいか他に比べたら空気が少しばかり軽い。
だがダメなんだ……すぐにやばいのが……来る!
「上に気をつけろォォォォォ!!!!」
ありったけの声を張り上げる。
「?……!?お前ら!逃げろ!なんか飛んでくんぞ!」
そうして先程まで人がいたところに何かがたどり着く。
「……ウッソだろ?」
誰かが呟く。
「Aランク指定空中型魔物……ガーゴイル……しかも……何十体も……だと!?」
問題は魔物の種類じゃない……街に入られたことが原因なんだよ!気づけ!!
そう言いたかったが最近まともに動いていなかったせいで足がもつれて転ぶ。
誰一人死なせちゃ行けない……少なくとも今から先は絶対に……!!
まずは……この先にいるシェリーに会いに行く!
通常未来




