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ⅩⅤ 火種

今回は日常を小分けにして書きました。最初はセリフはありません。あくまでヒナミの心の声だけです。最後にはセリフ有ります。

私の日課は他より特殊だということはわかっている。


ギルドから卸された薬草を使い調合、ポーションを作成。

そして3箇所に売る。


孤児院、ギルド、昔の仲間の店。


そして得た収入をいくつか貯金、後は生活用品、食材の購入、あとは新しい調合道具の購入だ。


意外とポーションは売れるので実はそこまで金に困っていることは無い。


……まぁ目標にはまだまだ届かないんだけど。


そして最近、新しい日課が増えた。


調合室のある小屋から少し離れた所にある私の家。

最近新しく購入したベット。そこで彼は今日も眠っていた。


いや、眠っていたという表現は違うのかもしれない。

彼は起きて”は”いる。

だが何をしても反応を返さない。まるで心を失ってしまったかのように。


あの日、最終的に自殺を図ったあと、謎の声により、森平と契約をしたのだが、その後、2時間くらいで目を覚ました。


だがその後、辺りを見回したあと、驚いた顔をして、しばらくなにかに恐れているかのように震えていた。


だがそれも暫くしたら落ち着いてきたのだが、その時にはもうこのような状態だった。


語りかけても反応は無し。食事を持ってきても目の前に私がいる時は食べず、放っておいても少ししか食べられていない。

1度、部屋の外で覗き見していたのだが、1口食べる度に吐きそうになっていたことから、精神的な面で食べられないことが分かる。

……何か食べやすい料理があったらいいんだけど……

ワタシソンナスキルナイ……


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10日後


今日も全然食べていない。食べられないんだろうとは思うけど、食べてもらわないと生きていくことは出来ない。


だけど最近ほんの少しだが、様子が変わった。

以前はただずっと何も無いところを光の無い目で見ているだけだったけど、今では時折、窓から外を見ている。このまま興味を持っていつか外に出てくれると嬉しい。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

5日後


ほんの少しづつだが、やはり痩せてきている。何か……森平の故郷の料理で食べやすいのは無いのか……


それとこの頃外がきな臭い。

ギルドへ納品に行くと、怪我をしている冒険者をよく見かける。

それ自体は日常茶飯事なのだが、数が多い。

何か理由があるのかな?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

16日後


車椅子を手に入れた。

なんでかは知らないけどラルトスが持っていた。

たまには森平を外に連れ出してみようかなと思う。

勿論最大まで警戒して。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2日後


森平を車椅子で散歩させていたら、ギルドの方で怪我人が運び込まれた。

どうやらヒュームが現れたらしい。


その怪我人は外から来た冒険者パーティのリーダーだったらしく、味方を庇って怪我をしたらしい。

よく逃げきれたなと思う。


森平がそのリーダーの言葉になにか反応していた気がしたけど、気のせいかな?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4日後


ギルドにポーションを卸していたら国王から使者が送られてきた。

元々高ランクのパーティに所属してたから今でもたまにこういう事がある。

どうやらヒュームが出たから調査して欲しいとの事らしい。

今はもう冒険者ではないからと追い返した。

大丈夫、なにかされそうだったら全力で抵抗するつもり。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2日後


ギルドで本格的に冒険者を募り始めたらしい。

森に起きた異常事態を調べるらしい。

もし私が倒したヒュームのような奴がいたら危険だと思う……気にはかけて置くかな。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

次の日


リナに呼ばれて行ってみたらとんでもないことを聞いた。


スタンピードが起こるらしい。

モンスターの大量発生、それも今回は大規模な。


そして、確実にヒュームがいる事も。


____________________________________


場所:???

side:シェリー


ここはどこかの城。黒一色のみで構成された物である。

その一室にシェリー”達”は集まっていた。


「んで、その……ヒューム?ってやつを倒せばいいんだな?」

「そうそう、向こうではそう呼ばれているらしいから気をつけてね?……まぁ楽勝でしょ?」

「……はァ、ただ戦うだけならな?制限が多すぎんだよ、めんどくさいなぁ」


今、シェリーと話しているのは青年。青と金を主にした鎧をつけている。腰には質素だが、どこか引かれる剣を身につけている。


「まぁまぁ、昔、魔王を倒したこともある勇者なら行けるって、頑張っ!!」

「あれはお前が殆どやったんだろうが!!……あー!もう、んでその後お前は魔王になるしさぁ?俺どうすればいいんだよ」

「楽しめばいいと思うよ?」

「ふざけろ」

「ハッ!!でも文句言いつつもしっかりと役割は果たしてくれたみたいじゃん?あんな、本当の緊張感出すために本当に死にかけるとか……ブフッ……フフ……アッハハハハ!!!!」

「腹抱えて笑ってんじゃねぇよ!」

「はぁ~、やば、涙出てきた……ヒー!!アハハ!!」

「お前な……」


この短時間で一体何度青年はため息を吐いただろうか、吐かせるシェリーもすごいと思うが。


「ま、あと少しだよ?少なくとも今回は」

「てことはまだなんかやんのか……」

「全部やらせる気はさすがにないよ、あくまで必要最低限だ」

「……なんかあったら俺たちを呼べよ?お前、ホントに大丈夫か?」

「ん~?何が~?」

「……道化」

「………」


途端、シェリーの表情が固まる。


「あ~……やっぱ無意識か……お前、休める時は休んどけよ?」

「……………休む暇なんてあったらな」


そういい、シェリーは頬杖をつき、面倒くさそうに目を細めた。


「理不尽なんていつ来るかは分からない、なら気はつけないんじゃない?」

「だからってずっと気を張ってると気づくことにも気づけないぞ?」

「ご最もなこった、でも、こうしている間も”時計の針”が動いているところがある。全て救うにはキツイんだよ」

「……なら頼れよ」

「今頼ってんじゃん」

「もっとだよ」

「これでも頼ってる方だよ?私はあんたらがホントの勇者だと思ってる、ほかの勇者はクズや意気地無しばっかりだ。だがあんたらは勇気もある、自分たちにも厳しい、だけどできないことはきちんとわかってて、そして同じく相手にも厳しく、そして助ける。そんなのあんたらだけだよ」

「そんな話、今は関係ないだろ?」

「じゃあ終わりだ」

「まだだろ」

「死なせたくないんだよ」

「俺らにも命はかけさせろよ」

「知ってるだろ?私の命は全く重くない」

「それでもだ」

「あんたらは死んだら終わりなんだ、そういうのは私ひとりで十分……」

「……頼むから……」

「ん?」


















「頼むから、もう心を壊すようなことは止めてくれ」















「抜かせ、小僧、無理に決まってんだろ」
















ヒナミのターンはまだまだ続く!

一章終盤入ります!今は日常(?)パート

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