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ⅩⅢ 援護

森平が後ろに見える。

だがこれ以上近づくことが出来ない。


ヒューム。

先程までゴブリンの形をしていたそれは、だが今はもう別の姿に変わっている。


赤黒い色の人型をした四足歩行。顔の部分には口しかない。

いや、よく見ると口の中に目があるのが見える。


コアァァァァァァ……


と息(?)を吐いているその姿は嫌悪感すら感じる。


実はヒナミがこの様な姿を見るのは初めてではない。


多少の違いはあれど、ヒュームは身の危険を感じるとあの姿になる。

だがそれと同時に体の肉(?)が落ちているのを見ると、相当体に負担がかかっているのが予想できる。

そしてこの姿から元に戻ることは出来ない。


つまりは道連れ状態に入ったということだ。

ヒュームも自分は確実に死ぬということが分かっている。そのため、確実に相手を葬ろうとする。

そしてこの状態では先程の状態より……


強い


「痛ッッ!!~~ッッ!!クイック!!スロウ!!」


やばい!!足に攻撃をくらった!!すぐに回復しないと……!!


だが相手がそれを許さない。


「なっ!?」


相手がこちらを顔面から食い潰そうとしてくる。

それを魔法剣2本で何とか受け止めるが噛む力が強いのか剣が悲鳴あげている。


口の中から覗く目。


不気味としか思えない。

……というかこの目を潰せば終わりじゃない?

……あっ……剣が壊れた。


魔法剣は維持よりも作成した時に1番魔力を使う。そのためあまり破壊されたくは無いのだが……


「出し惜しみもしていられない、か」


さて、森平がそろそろ離れすぎるかな……移動しながら戦わないと。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「フッ……フッ……!!ハァ!」


動きが速い!!私もこの紙のおかげで速度が上がってはいるが、それでもまだヒュームの方が速い。

何か一つ決定打が欲しい。


今、敵の攻撃を何とか受け流し、反撃を決めている感じだが、先程よりも硬くなっているのか攻撃が通らない。下手に魔法を使えば制御出来ずに森平にも被害が及ぶかもしれない。攻撃魔法を使わずに戦っているのだが、火力が圧倒的に足りていない。


相手も時間をかければ自分が死んでしまうとわかっているため、どんどんと攻撃が凶暴になっていく。


「……このままじゃ……!!」



ーーーあれれ~?意外とキツいかな?ーーー


ーーータロットの強化だけじゃダメか~……ーーー


ーーー……まぁ死なれちゃ困るし……仕方ないーーー





ーーー今回は、特別だぜ☆ーーー




ドパン


という音が聞こえた。


そしてヒュームが思いっきり吹っ飛ぶ。


「!?何が?」


ーーーはいは~い、慌てない慌てな~いーーー


「ッ!?声が!?どこから!!」


ーーーまぁまぁ、それよりもまずは目の前の敵でしょ?やっちゃえ○産~ーーー


何を言っているのか分からないがとりあえずは協力してくれるらしい。だがどうやって?


ーーーこっちは遠距離から攻撃しとくから、相手が怯んだら攻撃しなよ~一応こいつ簡単に倒せるしーーー


「こいつが簡単って……まぁやるしかないか」


この声の正体も気になるがまずはヒュームだ。

遠くに飛ばされたヒュームは再び高速でこちらへ飛びかかってくる。


そしてまたパンという音とともにヒュームが怯む。


「……?」


ーーーそろそろ気づいてよ~こいつにもキチンと弱点はあるんだからさ?やれるよね?ーーー


とりあえず移動する。


その途端こちらにまた向き直り、襲いかかってくる。


「ボム……」


初級爆発系魔法を使用する。

それと同時に足を止め、その場で魔法剣をヒュームへ飛ばす。


「!!」


ーーーやっと気づいた?ーーー


……こいつ、口の中にある目は関係なかったのか……

いや、口の中にあるからこそまともに目が見えていなかったのか?


ーーーそいつのダメージ……攻撃的弱点は分かりやすく目何だけどね?戦略的弱点も目何だよね~ーーー


このヒューム、恐らく殆ど周りが見えていない。

周りをどうやって把握しているのかといえば、”音”だ。


私が動く度に相手も動く……でも、それだと………


ーーーあー、こっちだと知られてないかもだけど、音って言うのは、振動、揺れの動きでなっているんだよねーーー


振動?


ーーーそしてあいつは主に聴覚と触覚。この2つが異常に敏感ーーー


ーーー相手の放つ音。それだけじゃなくて、自分の出した音の振動がぶつかって跳ね返ってきた場所、そこから情報を得ているんだよね~ーーー


音の振動……跳ね返ってきた場所から情報……


「ボム……ということはこれを使えばそれを乱すことが出来る?」


ーーー完全じゃないけどね、空気の揺れる音にすら反応するからーーー


「……絶界」


ブォンという音がした。ヒュームがこちらの声に反応して突っ込んで来たようだ。


だがもう遅い。

どんな音にも反応し、どんな感覚も感じ取れるのなら……



そんなもの、消してしまえばすぐにすむ。



ーーーへぇ?こっちの上級魔法……いや、創成クラスの魔法剣かな?意外といいじゃんーーー


とはいえ全ては消せない。消せるものは4つまで、そして消せないものもある。

今回は”自分”の”音”と”振動”を消した。あと1つ枠があるが、そこは大丈夫だろう。


「……森平風に言うなら、ジ・エンド」


ーーー合わせなよ?ーーー


「光上級魔法、閃光の瞬き」


ーーースナイプ·バズーカーーー



私の魔法と謎の声による攻撃。


謎の声の攻撃がヒュームにあたり、仰け反る。

その際口を開いたのを見逃さず、細い棒のような、だが貫通力が高い魔法を中の目に当てる。


「……終わった……?」


流石に疲れた……まだやることがあるのに、足が石のように重た……


ーーーえ?ちょっと?何やってんの?ーーー


「……は?」


ーーー……あちゃ~……何か戦いに手馴れてたから”マガツ”の扱いに慣れてんのかなと思ったけど……そこは誰かに任せてたのかな?ーーー


一体何の話を……?


ーーーアイツはさっさと倒さないとーーー


急いでヒュームを見る。




ーーー周りの魔物取り込んで復活するよ?それも強化されてーーー




喰っている。魔物を。


ヒュームが目に入った魔物を……



そしてヒュームは叫ぶ。


森が震えた。


勝てるわけが無い。


今までさえやっとだったのに。


ごめん、森平。


ごめん、皆。


ごめ……



ーーーしゃーなしかなぁ……貸しひとつね?ーーー


そう声が聞こえた瞬間。




一瞬黄色い何かが横切り、



ヒュームの首が飛んだ。

次回!!少しだけ森平side!

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