第十六話 意外な遭遇
ブレンの腕前がビーク村に広がるまで一週間とかからなかった。連日のように封鎖地区に向かっては魔物を退治し、その骨を持ち帰っていたからだ。
「ブレンさん! 今日も魔物の骨を?」
「ああ。でも、だいぶ数が少なくなってきたからもうすぐ封鎖区域の魔物は退治しつくせると思う」
言いながらブレンは魔物の骨が入っている袋を役場の受付嬢に渡した。その隣にはレティが居て、小さ目な袋を受付嬢に渡した。
「あら、今日はレティちゃんも一緒なのね」
「はい。ごすじんさまのお手伝いです」
レティも村の大多数から受け入れられていた。毎朝のように牛舎を手伝っていることがポリアやナナの口から広まったことと、魔物退治の報告を毎日ブレンと一緒に行っていたからである。
「そういえば、ブレンさんのおかげで封鎖地区の復旧と開墾が早く始まりそうだと村長がおっしゃっていました。本当にありがとうございます」
「村長はもう開墾を始めるつもりなのか?」
明るい受付嬢とは対照的に、ブレンは乗り気ではない。その様子にレティが気付く。
「ごすじんさま? 何か、心配なことがあるんですか?」
「ああ。初日に出くわしたタワープラントのことがな」
「タワープラント……というと、畑に巣くっていたと報告された魔物ですか?」
「そう、そいつだ。封鎖地区の生き残りがみんな昏睡しているから確認のしようがないんだが、駐屯騎士団を壊滅させたのはあいつで間違いないはずだ」
初日にブレンはタワープラントと遭遇し、八割まで再現した女神の聖剣で倒した。しかし、その証明となる残留物がまだ見つからないのだ。
「でもごすじんさま、タワープラントっていう魔物は植物なんですよね、それなら骨はないんじゃないですか?」
「いや、魔物は必ず残留物を残すし、例外はない。俺も植物の魔物を倒した時、そいつの種や花が残ったのを見たことがある」
何より、ブレンは初日以外にタワープラントを見かけていない。そのことが、懸念に拍車をかけていた。
「だから、タワープラントはまだ生きているってことですか?」
「そうなるな。なあ受付嬢さん、村長は本気で開墾と復旧を始めるつもりなのか?」
「はい。もうそのために王都から人を誘致しているみたいで……」
「王都から人を? 本当に?」
邪神の信徒に露見することを防ぐために、ブレンとレティが王都から来たことは秘密ということになっている。知っているのは居候先のポリアとハルゼン、それに村長だけだ。
「すぐに話さないと。今日村長はどこに?」
「それが、今日は王都から来客がいらっしゃってるんです。もうすぐなのでお話なら日を改めて―――」
「失礼しますよ」
嫌味ったらしい声がドアを開ける音とともに入ってくる。その声は、ブレンにとって聞き覚えのある腹立たしい声だ。
「おやぁ? 誰かと思えば命令もロクに守れないブレン君じゃありませんか!」
「コワード.!?」
ブレンのかつての上司。王都にいるはずのコワードが、ニヤついた笑みでそこに居た。
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