第十話 ご利益
「レティ、ハルゼンさんの手前だからああいう風に言ったが、お前まで早起きしなくてもいいんだぞ。テシンだってあの時間は寝ていたみたいだし」
朝の作業が終わった後、自室でベッドの整理をしながらブレンはレティに声をかけた。しかし彼女はブレンの言葉を否定して言った。
「一人で寝てるより、ごすじんさまと一緒がいいです。それに、牛さんたちはレティが思ったよりかわいいですし」
にこやかな彼女から本当に楽しいのだろうと感じたブレンはそれ以上言うのをやめた。朝の支度と部屋の片づけを終えて二人が下に降りると、居間ではテシンとポリアが朝食の支度をしていた。
「おはようございます」
「二人ともおはよう。今朝は牛舎の仕事を手伝ってくれてありがとうね。おなかがすいたでしょ? ブレンさんはこれから魔物退治に行かなくちゃならないんだから、たくさん食べてくださいね」
「お皿を並べるくらいは手伝いますよ。レティ、これを持って行ってくれ」
二人が料理を居間へもっていくと、ハルゼンが手紙を読んでいた。しかしその表情は険しく、手紙を読み終わると乱雑にポケットへと突っ込んでしまう。
「何かあったんですか?」
「お前には関係ない」
そっけない答えにそっとしておくべきだとブレンは感じ取る。やがては以前が終わると、全員そろっての朝食が始まった。
「ナナお姉さん。女神アシィナにはお祈りしないんですか?」
「ビーク村は農作物と家畜を育ててますからね。アシィナ様にもお祈りはしますけど、やっぱりディーメイ様のご利益の方が私たちにとっては嬉しいんですよ」
産業によって信仰される神が変わるのは別に珍しいことではない。政治の中心である王都では邪神退治に大きく貢献した女神アシィナが信仰されていたが、農村であるビーク村では豊穣の神ディーメイが信仰されている。
「豊穣神ディーメイを信仰すると、農業に有利な加護を得られたはずだ。農作物が病気になりにくくなったり、家畜が元気になったりしたはず。後は……」
「……おっぱいが大きくなるとかですか?」
レティの言葉にナナとポリア、そしてブレンが驚いて注目した。
「れ、レティちゃん?」
「ごすじんさま。この村って、王都に比べておっぱい大きい女の人が多いですよね? もしかして、ディーメイを信仰しているからですか?」
「さ、さあ? どうだろうな……」
ブレンの返事はぎこちない。というのも、ブレンは一度フィアレから聞いていたのだ。
曰く、ディーメイを信仰するとバストアップ効果があると……。
(正直、眉唾モノだと思っていたんだけどな……)
ディーメイの女性人気はそこにも起因しているのだろうか。ぼんやりとそう考えながらブレンは黙って朝食を食べていた。
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