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第五話 村長へのあいさつ

 ナナと別れたブレンとレティは村役場へと案内された。村役場はかなり立派なつくりで、応接室も質素だが品のある内装になっており、二人は村長が来るまでそこで待たされることになった。


 「ごすじんさま。ハーキさんは元気でしょうか」

 「まあ、元気だろ。あの家だって、別に俺だけが住んでいるわけじゃないし」


 アシィナ神殿での襲撃事件からビーク村へと出発するまでには、二週間ほどの間隔があった。幸いにもその間サーヴァーたちのような邪神の信徒による襲撃は起きず、その間レティはブレンから王国の事や一般常識、またブレン個人のことについていろいろなことを聞いていた。

 そしてその中には、ブレンには実は兄弟姉妹がいたという情報も含まれていたのだ。


 「そもそもあの家は、先祖代々受け継がれてきた家でな。ハーキも俺個人に仕えているっていうよりは、あの家に住む人間に仕えている屋敷妖精なんだ。だから、たまに俺以外のガンダフ家の人間が来ればそいつの世話をする」

 「えっと、確かごすじんさまのお姉さんがよく帰ってくるんでしたっけ? レティはあったことないですけど……」

 「ああ。俺もレイリ姉さんには一度レティの事をきちんと話したかったんだけどな」


 ブレンの姉、レイリ・ガンダフは近衛騎士団に勤めている。近衛騎士団は王宮と王族を守護するエリート集団であり、そこに入団を認められたレイリをブレンは尊敬していた。

 レティの事を一度レイリに相談したかったブレンは家に帰ってきてほしいと手紙を出している。しかしレイリからの返事はなく、王都を出るまでの二週間で彼女が家に帰ってくることはなかった。


 「近衛騎士団のお仕事って、忙しいのですか?」

 「まあ、国の中枢である王宮と王族を守る仕事だからな。欠員は出せない。でも、二週間ぶっ続けっていうのもちょっと変だ」


 考えられるとすれば王宮で何か異常事態が発生したという事だが、既に一般市民になり、ビーク村へ移住した今のブレンに知るすべはない。


 「まあ、もう一回手紙を出して事情を説明している。会う事があれば、その時に挨拶すればいいさ」


 ブレンがそう締めくくったところで、タイミングを見計らったようにドアがノックされる。そして、応接室に入ってきた50代くらいの恰幅の良い男性を見て、ブレンとレティは席を立った。


 「初めまして、ヤンマー村長。私がブレン・ガンダフです。こっちは妹のレティ・ガンダフ」

 「レティです。初めまして」


 丁寧にお辞儀をしたブレンを真似してレティもお辞儀をする。そんな二人に対してヤンマー村長はにっこりと笑顔を向けた。


 「初めまして。私がビーク村で村長を務めております、ヤンマー・マヒンドラと申します。どうぞ、おかけになってください」


 ヤンマー村長に促されて二人は腰を下ろす。全員が座ったところで切り出したのは村長だった。


 「アシィナ神殿より連絡は頂いております。いやはや、王都において名高いブレン殿に来ていただけるとは心強い限りです。」


 村長が知らされているのは、ブレンがアシィナ神殿からの依頼でレティを安全な場所に避難させるためにビーク村への移住したという筋書きだ。レティが邪神の信徒に狙われていると馬鹿正直に言えば受け入れてもらえない可能性が高いが故の、フィアレの計らいだった。

 また、受け入れられやすいようにブレンはこの村で魔物退治の仕事を引き受けることになっている。これはブレンの発案で、半ばだますように村へ潜伏することになってしまっている事へのせめてもの罪滅ぼしのつもりだった。


 「こちらこそ、受け入れてくださってありがとうございます。それと、事前に連絡が来ていると思いますが、俺達の事は……」

 「ええ。もちろん、事情を知る者たちには、あなた方が王都から来たことは口止めをしております。もとよりこの村は王都からは離れておりますので、あなたの事を知る人も少ないでしょう」


 ちなみにブレンたちは偽名を使っていない。有名といっても王都の中だけだからだ。


 「ごすじんさま。この村で私たちの本当の事情を知っているのって?」

 「居候先のポリアさんだけだな。オグムのことまで知っているのはあの人だけだ。確か、フィアレが知らせていたはず」

 「ポリアさん……あのハルゼンおじさんの……」

 「ハルゼン? ハルゼンさんが、どうかされたのですか?」


 レティの表情が少し曇る。慌てたのは村長だ。せっかくブレンが危険な魔物退治を引き受けてくれたというのに、何か不興を買ってしまっては元も子もないと問いただす。


 「実は、ハルゼンさんは俺たちが居候することにあまりいい顔をしていなくて……あの人のところで何かあったんですか?」

 「ああ……そうですね。心当たりはあるのですが、私の口からは……」


 言いよどむ村長にブレンはこれ以上聞くべきでない話を打ち切り、簡単な打ち合わせを済ませて村役場を後にした。

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