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39話〜魔法都市ラスレンダールへ

昨日は自動投稿の日付を間違えて2話投稿しています。


まだの方はそちらからお読み下さいませ。

「・・・・・・」


 現在、勇者のケツを蹴れ(ブレイバーキックアス)一行はダイナスバザールの東門を出て人気のない草原にいる。


 カルバンがそこで龍の姿のロゼを見上げて固まっている。


 紅い鱗が朝日に反射して神々しい存在感を放っている。


 太く力強い後ろ足に鎌のように湾曲した鋭い爪を備えた前足。


 眼光は紅い瞳の中に猫のように縦に瞳孔がある、現在はその眼でカルバンを見つめている。


 《早く乗んなカルバン、今回は道案内がアンタなんだから先頭はアンタだよ》


 いつまでも動かないカルバンをロゼが急かす。


「れ、レッドドラゴン・・・ か? ロゼ、さん、さまは」


 《ロゼでいい、早く乗んないと咥えて運ぶよ》


 言われてカルバンは顔を青くしてロゼに歩み寄る、セルカがそれを面白そうに見ている。


 セルカが初めて見た時よりもロゼはさらに大きい、それは3人から乗る人間が4人に増えたことでロゼが体の大きさを調節しているためだ。


 今のロゼの大きさは有に5mを超えている、本来の大きさは20mを超えるが、それはセルカもカルバンも知る由もない。


「それでは、失礼する」


 カルバンがおずおずとロゼの後ろ足に足をかけて背中に上がる。


 その後ろからバーンダーバ、フェイ、セルカの順に乗り込んだ。


「最初は怖いかもしれませんが、なれると上空の景色も素敵ですよ」


 背後から見ていてもこわばっているカルバンに向かってフェイが声をかけた。


 《行くよっ!》


 カルバンがフェイに返事をする前にロゼが地面を力強く蹴って大きな翼を広げて上空に飛び立った。


 カルバンが「うおぉ」と消え入るような悲鳴をあげる。


 《こっちでいいのかい?》


 適当に飛びながらロゼが聞く、一応の方角は聞いていたので下に見える街道沿いに飛んではいる。


「あ、あぁ、問題ない。 遠目に見えるあの森を抜けて南に4日の距離にラスレンダールはある」


 カルバンが指をさして説明する、既に下には森が見えている。


 普通なら森に着くにも半日は掛かるし、森を抜けるのも3日は掛かる。


 だが、眼下の森もほんの1時間で通り過ぎてしまった。


「いや、空を飛んで行くなら川が見えたら南に向かった方が早いのか? いやいや、道に迷っても困るな」


 カルバンはブツブツと喋る。


 森を抜けると巨大な川が姿を現した。


「凄いな、なんという川なんだ?」


「南大陸最大の川、ブラストリバーだ」


 聞かれてカルバンが答える。


爆発(ブラスト)か、何故そんな名前なんだ?」


「この川は荒野とダイナスバザールの間の山脈から流れる川と西の大陸最高峰の天翔山から流れる川が合流してこんな巨大な川になってるんだ」


 カルバンが西と東を指さして説明する。


「川幅も水深も水量もとてつもない、数年に1度は大雨で氾濫するんだ。 その時、まるで爆発したように地形が変わるほどの水害になるから爆発する川(ブラストリバー)と呼ばれている」


「地形が変わる程か・・・ 恐ろしいな」


 バーンダーバがそう呟いた。


 ロゼは川を越えて下に見える街道沿いに進路を南にとった。


「カルバン、魔法都市ラスレンダールというのはどんな所なんだ?」


 周りの景色を楽しんでいたバーンダーバが思い出したようにカルバンに聞いた。


「どんな所、か。 そうだな、一言でいえば感じの悪い都市だ」


 カルバンは面白く無さそうに答える。


 セルカも同じような表情をしている。


「ほう、なぜ?」


「魔法使いってのは、気ぐらいの高い奴が多いんだ。 自分が魔法使いって事を鼻にかけてる、俺はグルマだからな。 奴等はあからさまに下に見てくる、商売もやりづらいし、出来れば行きたくない都市だ」


「なるほど、では、良い所は?」


「表裏一体だな、いい所と悪い所がごっちゃだ」


 バーンダーバが首を傾げる。


「あー、創りは素晴らしい。塔が立ち並んでいて、その1つ1つが名のある魔法使いの居城なんだ。 奴等は妙に塔に住みたがる、ははは、高い所が好きらしい。 出来たのは300年程前の事だそうだ」


 ======



【魔法都市ラスレンダール】


 そこは色とりどり、様々な形の塔が建ち並ぶ奇妙な光景の街である。


 最初に住み着いた魔法使いラスレンダールの創り出した様々な魔道具に感銘を受けて弟子入りした者達が1人前になった時に自分達も塔を建てた。


 いつしかそれが風習のようになり、ここで1人前になった魔法使いは皆、塔を建てるようになった。


 塔が増えるにつれて商人や農夫なども住むようになる。


 街の中心は塔しかなく、住む場所も店を開く場所も街の中心からどんどんと外に押しやられていく。


 魔法使いが1人、1人前になる度に商人や農夫の家・店を取り壊して塔を建てる。


 街の中心からは生活に必要な物がどんどん離れていき住みにくくなる。


 商人や農夫も嫌になって街から次第にいなくなっていった。


 ラスレンダールには人が増えるにつれ、まとめ役として魔法使い達の中から優秀な者を選出し評議会を作った。


 評議員は全部で10名。


 魔法使いは増えるが、それを支える人間が街から減っていく。


 それを問題だと考えたラスレンダールの10人の評議員達は考えた。


 考えついた解決策は、塔の1階部分を解放する。


 というものだった。


 魔法使いは塔の1階部分は人に貸し与えなければならない、そうすることによってそこに店を構えさせたり、街人が住むことによって街の中心でも生活がしやすいようにと考えた。


 最初こそ反発はあったものの計画は上手くいった。


 1階部分を借りた人間から家賃を取る事によって不平の声も減った。


 そうして出来上がったのが塔が乱立し、その下に人々が暮らし、行き交う街。


 魔法使い達は塔の上から人を見下ろして自分こそが人の上に立つ存在だと勘違いをして横柄な態度になる。


 という弊害は生まれたが・・・


 ======



 「世にも珍しい街並みだが、それは魔法使いの見栄と虚栄心が作ったものとも言える。 だから良い所と悪い所がごっちゃなんだ」


 話し終えたカルバンは皮肉げに笑った。


「興味深い話だな、カルバン。 商業都市ダイナスバザールにもそんな逸話があったりするのか?」


「ダイナスバザールか、あそこは元々は廃墟だった所をっと! 危ねぇな!」


 急にバーンダーバがカルバンの肩を押して前方を見下ろす。


「ロゼ! 人が魔物に襲われている! おりてくれ!」


 バーンダーバの言葉と同時のロゼが落下を上回る速度で急降下を始めた!


「「「うわあぁぁぁっ!!!」」」


 セルカとフェイとカルバンが叫んだ。

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