37話〜活動報告
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「まじか、本当に迷宮を踏破しちまったのか!?」
セルカが一応回収しておいた大霊薬の空瓶をギルドマスターがしげしげと眺めている。
「あぁ、このパーティはとんでもない強さだったよ。 特にバンは桁違いだった。 迷宮に大穴を開けて脱出するんだから」
セルカの話に開いた口が塞がらないらしいギルドマスターがバーンダーバをみつめる。
バーンダーバは少し居心地が悪そうだ。
「すまない、迷宮を崩壊させてしまった」
バーンダーバは平謝りに謝る。
「まったく、卵を取りに行ってドラゴンを連れてきたと思ったら。 今度は迷宮に行って迷宮を崩壊させるとはな、無茶苦茶しやがるぜ! がはははははっ!」
ギルドマスターはもう笑うしかないと思い笑うことにした。
バーンダーバはそれをなんとも微妙な顔で見ている、そのバーンダーバの顔を見て、フェイはまるで家具を壊して怒られると怯える子供みたいだなと思ってクスッと笑った。
「にしても、白金貨で100枚以上の値打ちのある大霊薬を躊躇わずに使うたぁなぁ・・・ 愛されてんなぁ、フェイちゃんよー」
ニヤニヤしながらギルドマスターがフェイを見る。
フェイは顔を真っ赤にしてモゴモゴと口を動かしたが言葉にならない。
「にしても、この街から1番近い迷宮が崩れちまったか・・・ 冒険者ギルドとしちゃあ中々の打撃だな」
迷宮から採取される魔力を帯びた素材の恩恵ははかりしれない。
「すまない」
「ま、お前さんの気に病むような事じゃない。 迷宮を踏破すれば結局はただの洞穴だからな」
迷宮の支配者を倒せば魔血水晶は迷宮の遺物へと姿を変える。
魔血水晶を失った迷宮はただの洞穴となる。
「お前さん達はこれからどうするんだ? また迷宮に潜るのか?」
「そうだな、迷宮は想像以上に危険だった。 他になにかないだろうか?」
バンはできればもう迷宮には潜りたくなさそうだ。
「バン、今度は私も気をつけますし、もう一度迷宮に行きましょう。 このままじゃ私が足を引っ張ったままです」
フェイが迷宮を避けようとするバーンダーバに言う。
彼女はエリクサーを自分に使ってしまったことを気にしている。
「今度は俺も細心の注意を払うよ、このパーティなら間違いなく今度はラビリンスレリックを持ち出せるハズだ。 バン、やろうぜ」
セルカがフェイに同調する。
『バンよ、仲間を信じろ。 今度は間違いなく上手くいく』
フェムノの言葉を聞いてバーンダーバは笑った。
「フェムノ、お主は戦いたくて言っているんじゃないか?」
『む、そんな事はないぞ! 我は』
「冗談だ、分かった。 皆がそう言ってくれるならまた迷宮に挑戦しよう」
バーンダーバがフェムノを手でひらひらと制する。
「という事で、ギルドマスター殿。 また迷宮に潜ってみることにしようと思う」
「がはははははっ、そうか、今度こそラビリンスレリックを持ち出せるかもな。 ここから近い迷宮だと・・・」
ギルドマスターが腕を組んで考える。
「ギルマス、近いなら、魔法都市ラスレンダールの迷宮じゃないのか?」
セルカがギルドマスターを見る。
「あそこか、確かに、1番近いのはあそこだが・・・ 魔法都市には冒険者ギルドは無い、魔導師ギルドが幅をきかしてるからな。 俺としちゃ、勧めにくい場所だ」
「どうしてだい?」
ロゼが首を傾げる。
「迷宮から出た素材を売るのに冒険者ギルドのある町までかなり距離があるからな、それに、あそこは都市の中に迷宮があってな、迷宮も魔法都市が管理してるから素材もほとんど自由にはできないんだ。 素材の引き取りはかなり足元を見られる・・・ 腕のたつ商人のコネでもありゃあいいが、そうだな」
またギルドマスターが考えポーズになる。
「よし、こうしよう。 かなりクセの強い奴だが、ギルドお抱えの腕の立つ商人を紹介する、ま、お前さん達なら上手くやるだろう。 共通点があるしな。 それでだ、その商人を紹介したらこの冒険者ギルドには何も旨みはないだろう? だから、今回お前達が迷宮で手に入れた素材の半分をくれないか?」
「半分っ! ギルマス、それはいくらなんでもふっかけすぎじゃないか!?」
セルカが叫ぶ。
「そう思うだろうが、残りの半分をその商人と一緒に魔法都市ラスレンダールへ持っていけばこの冒険者ギルドで買い取る10倍の値は間違いなく付くハズだ。 迷宮の素材はあっちの方が需要がある上に、商人を連れて行って直接取引するんだからな」
それを聞いたセルカが渋面を作る。
魔法都市ラスレンダールで迷宮の魔力を備えた素材が高値で取引されるのはセルカも知っている、そして、素材を捌くのに商人ギルドの力がないと上手く捌けない事も知っている。
誰彼構わずに商売が出来ないようにこの国では全ての職業にギルドが設けられ、そのギルドの管轄で動いている。
その為に、職業のほとんどが世襲制である。
例外は冒険者や傭兵などで、特に冒険者は誰でもなれて身分は低いが自由を愛するという意味を込めて【渡り鳥】と呼ぶ者もいる。
そんな冒険者が迷宮から回収した素材をそこらの商店に持ち込めば商店自体の数が少なく、競争もない為にかなり安く買い叩かれる。
そうならないために冒険者ギルドが一括で素材を買い上げる、そして冒険者ギルドがお抱えの商人に売り払う。
本来の迷宮の素材は市場では相当な高額で取引されている、それを思えば冒険者ギルドで売るのでもかなり安い金額だが、それは仕方がない。
「どうだ? 悪い話じゃないだろうか?」
「そのお抱えの商人がぼったくる可能性もあるだろ? 俺達と上手くやれるって根拠は?」
それを聞いたギルドマスターにニヤリと悪い笑みを浮かべる。
「ソイツもな、勇者のケツを蹴っ飛ばしたいはずなんだ」
ギルドマスターの言葉に勇者のケツを蹴れの面々が顔を見合わせる。
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次回の更新は明日の朝8時頃の予定ですー。




