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27話〜迷宮散策

本日、自己最高ブクマを更新しました!

嬉しかったので2話目の投稿です、ブクマして下さった皆様、本当にありがとうございます!


今日も皆様のお陰で執筆が進んでおります♪

迷宮の入口は荒野の真ん中に突き立てた様な大岩にぽっかりと口を開くように存在した。


「これが入口か」


「あぁ、凄いな。 本当に午前中に着いちまった」


セルカは迷宮の入口よりもロゼの移動速度に驚いていた。


「はぁ、せっかく洞穴から出られたと思ったのに。 こんなにすぐにまた洞穴に潜る羽目になるなんてね」


ロゼが迷宮の入口を見てため息をついた。


「ははは、確かに。 そう思うと私もそんなに気は進まんな」


バーンダーバもロゼに同意する。


「食料は移動が一瞬だったお陰でかなり余裕はあるけど、それでも最初の予定通り探索は3日にしておこう。 俺以外は迷宮初心者だしな、今回は雰囲気を掴めたらいいだろう」


セルカが全員を見て確認する。


「承知した、では行こうか」


バーンダーバが迷宮の入口に向かう。


「待った待った、バンは弓手なんだろう? それなら最後尾だ、先頭は俺が行く。 魔物が現れたら先頭はロゼが変わってくれ、前衛なんだよな?」


ロゼの装備を見てセルカが聞く、ロゼの武器は腰にロングソードを下げている。


「それとも、フェイが前衛なのか? でもフェイは回復術師だから中衛にいた方が良いと思うんだが」


「ふむ、ではセルカの言う通りにしよう。 皆もそれで構わないか?」


「アタイは構わないよ、洞穴の中じゃ息吹(ブレス)は使えないしね。 前は任せな」


『我も前がいいな、中衛では何もすることがない』


「駄目ですよフェムノ、ちゃんと言うことを聞かないと」


「決まりだ、それではセルカ。 よろしく頼む」


会話が終わるとセルカが嬉しそうに笑った。


「どうした?」


「いや、今までこんな風に荷物持ち(ポーター)の言うことを聞いた冒険者なんていなかったからな。 ちょっと嬉しかった」


「そうか? 初心者が経験者の意見を聞くのは当然であろう」


「それが珍しいって話だよ、ま、いーや。 よし、じゃあ行くぞ」


セルカが背中のリュックを下ろして中から松明を2本取り出して1本をフェイに渡す。


「俺とフェイで光源を確保しよう、ロゼは魔物が出てきたらしすぐに前に出て貰わないといけないし、バンは弓手だからな」


『そんな物を持っていたら邪魔だろう、我が光を出してやる』


「迷宮は深い、いくら聖剣と言っても魔力は温存しておいた方が良い」


『光を出すくらいなら1年出し続けても問題はない、気にするな。 片手が塞がっている方が問題だ』


フェムノの言葉にセルカが顔をしかめる。


「光源を出しながら他の魔法を扱うのに支障は無いのか?」


『無論だ』


セルカが「はぁ」とため息をついた。


「分かった、でも、なにか少しでも支障が有れば隠さずに言ってくれ。 迷宮では些細な事でも命取りになりかねない、いいな」


『分かった』


返事と共にフェムノの刀身が眩い光を放つ。


それを見たセルカは迷宮の中の明るさを確かめて「うん」と頷いて奥へと進んでいく。


「出来るだけ俺の歩いた場所以外は踏まないように気をつけてくれ、ここは一階層だからトラップは滅多にないが。 念の為だ」


セルカは後ろを見ずに声だけをかける、全員は今1メートル間隔程を開けてセルカの先導でゆっくりと迷宮を進んでいる。


迷宮の道幅は約2メートル、岩肌にぐるりと囲まれていて時おり奥から『かたんっ』と音が響いてくる。


ロゼは「ふわぁ」とあくびを噛み殺すこともなく出している。


「おい、本当に」


気の抜けているロゼに注意しようと言いかけたセルカの前をバーンダーバの矢が(ヒュン)と横切った。


セルカがバーンダーバの方を向くと矢を射った後のポーズから手を下ろす途中だった。


「な、なんで急に射ったんだ?」


セルカの表情は固まっている。


「驚かせたか? すまない、魔物が見えたので先に対処しておいた」


当たり前の様な表情でバーンダーバが答える。


「マジかよ、何も見えなかったぞ」


セルカが前を向いて進んでいくと200メートル程先の分岐点の曲り角に魔物のドロップアイテムと思われる狼の爪が落ちていた。


「なんで分かったんだ? コイツは影縫い狼(シャドウウルフ)の爪だ、気配を絶つ事が得意な狼だぞ」


シャドウウルフ、冒険者の影に潜むとまで言われる程に気配を断つことが得意な狼である。


爪を見ていたセルカが視線をバーンダーバに向ける。


「角の向こうから鼻を出してこちらを伺っているのが見えたから射ったのだ、迷宮の魔物は不思議だな。 なぜ、死体が残らんのだ?」


セルカの持っている爪を見つめてバーンダーバが興味深そうな顔をする。


「あぁ、迷宮の魔物は死体の一分を依代に魔血水晶デモンブラッドクリスタルが具現化しているんだ。 このシャドウウルフならこの爪が依代なんだ、これを元に具現化するからこの爪には魔血水晶の魔力が含まれるから良い素材になるんだ、普通に外で生きてるシャドウウルフの爪よりも遥かに高い値段で取引される」


説明しながらもセルカは爪の落ちていた位置を見てバーンダーバがほんの鼻先を出していたシャドウウルフに気付いて一瞬で射抜いた事に驚いていた。


「セルカは本当に物知りだな」


興味深く聞いていたバーンダーバが「うんうん」と頷く。


「冒険者なら誰でも知ってる、さぁ、先へ進もう」


膝をついていたセルカが立ちあがり通路をマッピングしてから声をかける。


「セルカ、アンタもこの迷宮は初めてなのかい?」


マッピングをしていたセルカにロゼが話しかける。


「いや、この迷宮は何度も潜ってる」


前方を注視しながらセルカが答える。


「じゃあ、なんで地図を書いてんだい?前に来たときは書かなかったのかい?」


「このパーティは教えて君が多いな」


セルカが笑う。


「迷宮は毎回、その形を変えるんだ。 人間が入ってるときは変化しないけど、人間が入ってないときは常に姿を変えているらしい。 冒険者が中で戦ったときに崩れたりした場所の自己修復機能のせいとか、人間を迷わせる為とか言われてるけど。 ま、迷宮は分かんない事だらけさ」


「ふーん、出たあと使いものにならないんじゃ書いても意味無いんじゃないのかい?」


「帰り道には使えるだろ?」


「なるほ」


ロゼの言葉が途中で止まる、また後ろからバーンダーバの矢が飛んできたせいだ。


ロゼがジロリとバーンダーバを見る。


ロゼの眼前のかなりスレスレを矢が飛んだ。


「すまない、魔物が見えたのでな」


「いや、いいんだけどさ」


ロゼが答える。


「凄いな、今度は6体か」


進んだ先に落ちていたシャドウウルフの牙を拾いながらセルカが呟いた。


拾っているセルカの頭の上を更に矢が通過していく。


「また魔物か?」


セルカがバーンダーバの方を見る。


「うむ、リザード系の魔物が天井を這い回っていた」


進んでいくと床の上に岩蜥蜴(アースリザード)の堅い鱗が落ちていた。


「マジかよ、アースリザードの硬い表皮を矢で貫いたのか・・・」


落ちている鱗を見下ろしてセルカが呟いた。


その間にもバーンダーバの矢があちこちに飛んでいく。

お読みいただきありがとうございました!


感謝感謝でございます。


次回の更新は明日の朝の8時頃の予定です。

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