15話〜怒炎のオンオール
昨日もブクマが少し増えて38になりました!
ありがとうございます。
魔王軍四天王、怒炎のオンオール。
四天王の中ではバーンダーバに次ぐ実力の持ち主だった。
彼は魔王の命令でイスラン火山に住む闘争の龍の第一子にしてレッドドラゴンの王・赤い鱗の王から勇者が祝福を与えられぬように山の入口を護っていた。
オンオールがいる間は山にも麓の森にも魔物と魔族が跋扈して温泉地である【ドリフの村】にも本来なら温泉を目当てによく訪れていた観光客やイスラン火山の鉱石の採掘やイスラン火山の麓の森に採集や討伐依頼でやって来ていた冒険者もめっきり来なくなっていた。
村は一気に衰退し、もはやおしまいかと思われた時、その者は現れた。
勇者アルセンがやって来たのは魔王と勇者との争いも終盤に差し掛かった頃だった。
ロッソケーニヒから加護を受ける為にやってきた勇者はそこに布陣していた怒炎のオンオールとその配下をいとも簡単に打ち破り、この地をオンオールの支配から救った。
その凄まじい強さは魔族が恐怖する程であったそうだ。
だが、勇者は何故かイスラン火山に登らなかった。
ロッソケーニヒの加護を受ける事が目的でオンオールと戦ったはずなのに・・・
今際の際に言ったオンオールの言葉を聞いてなにかを諦めたように首を振ったらしい。
そしてオンオールにとどめをさして去っていったそうだ。
勇者は見事にその後、魔王を打ち倒した。
だが、なぜイスラン火山に登らなかったのかは分からずじまいだそうだ。
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バーンダーバは道具屋の爺さんの話を思い出していた。
今、フェイとバーンダーバがいる場所はイスラン火山の麓、イスランの樹海。
フェイとバーンダーバは本来なら【ドリフの村】からまる1日は掛かる旅程を2時間で走破していた。
今は老人の忠告を律儀に守り、レッドドラゴンの住処である火山の中腹が見える場所で休憩している。
「バン、何を考えてるんですか?」
難しい顔をして山を見つめるバーンダーバにフェイが話しかける。
「あぁ、オンオールの事を思い出していた。 あの男とは何度か喧嘩をしている、戦の好きな、これぞ魔族といった男だった」
山を見つめながら昔を懐かしむように話す。
「いなくなると寂しい男だな、だが、戦という物を最も楽しんでいた男だ。 現界最強の勇者と戦って死んだのだから本望だったであろうな」
『我とウマの合いそうな男だな』
「そうだな、フェムノは間違いなく気に入るだろう」
フェイの背中に背負われたフェムノを見て笑う。
「あっ! 見てください!」
フェイが指さした先には山の中腹から優雅に飛び立とうとしているレッドドラゴンがいた。
遠目に見てもその姿は10メートルを超えるのが分かる。
「美しいな・・・」
その姿を見てバーンダーバが呟いた。
「バン、どうしますか?」
答えが分かってはいるものの、フェイがバーンダーバに聞いた。
「行こう」
バーンダーバは言いながらもうイスラン火山に向かって歩き始めていた。
樹海を抜けると突然に木々が無くなり火山特有の岩肌が姿を現した。
見上げるときつい傾斜がどこまでも続いていて山頂は雲に隠れている。
「凄い山ですね」
「そうだな、疲れていないか?」
「はい、フェムノのお陰で全く疲れないです」
『常に魔力による身体強化を施しているからな』
フェムノが得意気になる。
「フェイの魔力は大丈夫なのか? 相当な魔力を使うのだろう?」
『我を誰だと思っている、異界から呼ばれた聖剣だぞ? 魔力の省エネ使用などお手の物だ』
「フェムノは芸達者だな、魔力強化に回復、その上それを省エネか。 魔弓しか脳のない私は少しお前が羨ましい」
『おだててもお前には我は持たせてやらんぞ、我の担い手はフェイだ』
バーンダーバはフェムノの言葉を聞いて「ははは」っと笑った。
「よっぽど気に入られているな、フェイ」
この聖剣は何故フェイの事を気に入っているのだろうか?
確かにフェイは素晴らしい人格を持っているが、聖剣を担うには戦いに関する才能は無いように思える。
「なんでフェムノは私を選んだんですか?」
フェイがバーンダーバと同じ疑問を持った。
『我の最初の持ち主に似ているのだ』
「へー、どんな人だったんです?」
『美しい女だった、フェイのような赤毛でフェイのようにボンキュッボンだった』
・・・
・・・・・・
快調に進んでいた足が止まり、フェイとバーンダーバが少し冷たい目でフェムノを見る。
『おい、黙るな』
フェムノのツッコミがイスラン火山の岩肌に虚しく響いた。
お読みいただきありがとうございました。
明日も朝の8時頃に投稿予定です。




