13話〜龍に惹かれて
ブクマが32になりました、増える日はフワッと増えるのに増えない日は1つも増えない。
毎日ドキドキしながら更新しています。
今日もお楽しみ下さいませ〜。
「見違えましたね、バンさん」
今、服を買い揃えたバーンダーバがジュリーの前に立っている。
バーンダーバはボロボロだった服を全て新調した、以前と同じ物は腰に下げた剣とそれを止めるベルトくらいだ。
シンプルな胸だけの鋼の胸当てに薄手の皮の外套、ポケットが沢山欲しいと言ったので店主に裏地に沢山のポケットを後付けして貰った。
フェイが「それ良いですね」と言ったらバーンダーバが「ではお揃いにしよう」と言い出したので2人はお揃いの外套を羽織っている。
リュックサックもジュリーの物が随分と傷んでいたのでお揃いの物を買った。
皮のブーツにズボンは木綿素材、とにかく丈夫な物を選んだ。
中の服はグレーで茶色っぽい外套がよく似合っている。
「本当か? ありがとう」
バーンダーバはジュリーの褒め言葉に素直に喜んでいる。
「そんな顔だったんですねー」
1番変わったのが髪の毛、真っ黒な黒髪が背中の中ほどまで伸びていたのをバッサリと切った。
今は周りをぐるりと刈り上げて上の毛はツンツンと立っている。
フェイが冒険者なら短い方がなにかと楽だからと勧めたのだ。
「良かったですね、バン」
フェイもボサボサだった髪を綺麗に整えてますます綺麗になった。
「ホントに、ますますお似合いのカップルですねー」
「もう、ジュリーさん、からかわないでください」
ジュリーはニコニコ笑っている。
「よし、せっかく装備も新調したし、依頼に行こう!」
バンは1人で依頼ボードの方へと歩いていこうとする。
「ちょちょ、バン! もう日が暮れてますし、今日は宿に泊まりましょう。 依頼なら明日の朝1番でいいじゃないですかっ」
フェイが慌てて止める。
「だが、せっかくカバンも大きな物を手に入れたからな」
「じゃあ、今日は明日の依頼を決める事にしましょう。 それで食事を取って寝て、明日の朝1番に出発しましょう! ねっ!」
「ふむ、そうだな。 フェイ、早速ボードを見よう」
バーンダーバが酒場のエリアにある壁一面の依頼の貼られたボードの前に行く。
「フェイ、花の採集は楽しかったな。 なにか面白い採集は他にないだろうか?」
選んでいると隣に男が2人やって来た。
「兄さん良い剣持ってんな、腕も立つのかい?」
「俺達まだ2人組だからさ、パーティ組めてないんだよ。 良かったら俺達と組まないか?」
声をかけてきたのはいつかの難癖を付けてきた2人組だった。
余りにもバーンダーバの見た目が変わっているので気付いていない。
「おぉ、お前達か。 あの時は依頼に失敗して落ち込んでいたそうだな? あの後は依頼は上手くいったのか?」
一切根に持っている様子も無く、バーンダーバがいい笑顔で対応する。
「あん? あの時っていつ?」
フェイがバーンダーバの隣にそっと立った。
2人組はフェイとバーンダーバを交互に見比べる。
「あっー! あの時のきったねぇ2人組か!」
「見違えたじゃねぇか、なんでそんなに羽振りが良くなったんだよ!?」
「あの後、ベルランの採集に行ってな」
「いやいや、ベルランどんだけ取ったんだよ!」
言いかけたバーンダーバの言葉を遮るように大声をだす。
「森が裸んなっちまうぜ! ぎゃははははっ!」
2人組は顔を見合わせて笑う。
「そんなに羽振り良いならなんか奢ってくれよ」
男の1人がバーンダーバの肩に腕を回す、フェイは嫌そうな顔でそれを見ていた。
「あの、依頼を選んでる途中なのでやめて貰えませんか?」
フェイが迷惑そうに言う。
「まーまー、いーじゃねーか姉ちゃん」
「そんで、どんだけベルラン取ってきたんだよ」
「うむ、そこでライカンスロープを6体仕留められたんだ。 その毛皮が高く売れてな、それで装備を新調出来たんだ」
「ラ、ライカンスロープぅ!」
「6体って、フカシすぎだろ! そんだけいたらAランクじゃねーか、ぎゃははははっ」
「フカシてませんよー」
ジュリーが受付から移動してきた。
「なんだよ、受付は引っ込んでな。 今コッチの兄ちゃんと取り込み中だ」
男がジュリーを手のひらで押そうとした瞬間に電光石火でバーンダーバの手が男の手を捻りあげた。
「自分よりも弱い者に手を出すのは感心せんな」
少し低い声でバーンダーバが男に言う。
「痛たたた」
「ちゃんとライカンスロープの毛皮6枚納品されてますよー、なんならライナーさんに確認しますかー?」
ジュリーがニコニコと話す。
手を捻り上げられている男はジュリーとバーンダーバを交互に見ている、その顔には先程までの余裕は一切なく、脂汗が浮かんでいる。
「わ、悪かったよ。 離してやってくれ」
もう1人の男がバーンダーバに向かってヘコヘコと頭を下げる。
「うむ」
バーンダーバが手を離すと2人組はそそくさとギルドから出ていった。
「なんだ、奢って欲しいんじゃなかったのか?」
バーンダーバがボソリと言う。
「あははははっ、爽快でしたねー。 フェイさん」
「そうですね」
フェイも口元を押さえて笑っている。
「バンさん、助けて頂いてありがとうございます」
ジュリーがにっこりと笑っている。
「無論だ、こちらも助かった」
バーンダーバもにっこりと笑って言う、すぐに何事も無かったかのように受付ボードの前に戻っていた。
「フェイ、依頼を選ぼう!」
その顔は子供のようにワクワクした顔だ。
「はい、ちょっと待ってください! それじゃあジュリーさん、また後で」
「はい、どんな依頼を持ってくるのか楽しみに待っていますねー」
ジュリーは笑って受付に戻って行った。
フェイがバーンダーバの隣に立つ。
石や花、植物の他に虫、中には魔物の角の採集。
どこそこの洞窟の奥にある苔、高い山のなんとかという木の朝露。
他にも魚など、採集依頼は数限りない。
「コレは・・・」
バーンダーバが見つめている先にあった依頼は・・・
「え、コレですか・・・」
フェイの顔が引きつった。
「うむ、少し興味がある」
バーンダーバの示す指先の依頼書に書いてある物は・・・
イスラン火山、八の龍族、破壊神・闘争の龍の子供。
赤い龍の卵の採集。
「でも、レッドドラゴンって、神様がこの世に遣わした破壊神様であるアグレスドラゴンの子供ですよ。 やめませんか?」
フェイの顔が引きつっている。
「大丈夫、アグレスドラゴンとは知り合いなんだ。 魔界にいた頃に喧嘩した事がある」
フェイは頭が取れるんじゃないかというほどに首を傾げた。
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神が世界を創造した時、世界の調停を司る9体の龍を遣わした。
世の理を担う2体。
調和の龍
混沌の龍
世の自然を担う3体。
大海の龍
大炎の龍
大地の龍
世の隆盛を担う4体。
祝福の龍
大帝の龍
愛情の龍
闘争の龍
その9体の龍の中で人間の前に姿を現した事があるのは世の隆盛を担う4体。
その中でもアグレスドラゴンは次元の大神が魔界を創った時に魔界に魔族をたった一人で追い詰めたといわれる恐るべき龍だ。
現在は本能である闘争を欲して魔界を根城にしているが、魔界から攻めくる魔族と戦う人間に力を貸す為に現界に来た事がある。
なんでも、アグレスドラゴンから加護を受けた者はその身に凄まじい力を得ると言われている。
つまり、勇者に加護を授ける為に現界へ来た。
現界へ来てから仮の寝床としたのがイスラン火山。
そのイスラン火山で愛情の龍とアグレスドラゴンは子をなした。
子の名前は闘争の龍の第一子にしてレッドドラゴンの王・赤い鱗の王。
ロッソケーニヒはアグレスドラゴンに代わり、勇者に加護を与える為に産み出された。
アグレスドラゴンが魔界へと帰った後もロッソケーニヒは子孫を増やし、イスラン火山で繁栄を遂げた。
それが火山地帯に生息するレッドドラゴンである。
レッドドラゴンは闘争の龍の子に恥じぬ凄まじい戦闘能力を有しており、その討伐難易度はSクラス。
その卵には凄まじい魔力があり、様々な霊薬や強力なマジックアイテムの材料になる。
食せば寿命が5年は伸びると言われている。
その卵の採集依頼はAクラス、相当な腕を持つシーフなら戦闘回避も可能かもしれないが、レッドドラゴンの魔力感知を掻い潜り卵を盗むのは不可能に近い。
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「これぐらいですね、私が知っているアグレスドラゴンのお話」
今現在、バーンダーバとフェイはイスラン火山までの道をひた走っている。
道中でフェムノによる魔力強化で走りながら隣を走るバーンダーバに自分の知っている知識を話していた。
Aランクの依頼だからどっちにしても受けられないだろうとフェイは思っていたが、依頼書を受付嬢のジュリーに持っていくと
「えー、レッドドラゴンの卵持ってきてくれるんですかー。 楽しみですー」
っと言ってあっさりと送り出されてしまった。
だから今、フェイはバーンダーバと共に走っている。
昨日の朝1番に宿を出発して、夜を越え、今は出発してから2日目のお昼頃。
目の前にイスラン火山がぼんやりとその雄大な姿を見せ始めていた。
その標高は2500メートル、麓はイスラン火山の恩恵を受けた恵豊かな森が広がっている。
「おぉ、見ろフェイ。 ドラゴンが飛んでいるのが見えるぞ!」
遠目にも鳥では無いと分かる巨大な翼をはためかせたレッドドラゴンが見える。
距離がかなりあるので豆粒程の大きさにしか見えないが。
「今日はこの近くの村に泊まりますよ、山登りですからね。 ちゃんと装備を整えないと」
そのまま山に向かおうとするバーンダーバを牽制するフェイ。
「勿論だ」
フェイに言われなければそのまま向かおうとしていた事をおくびにも出さずにバーンダーバは返した。
彼らはイスラン火山からほど近い温泉地、【ドリフの村】へと向かった。
お読みいただきありがとうございます!
出来れば2話3話と投稿したいのですが中々出来ません。
書けていても『書き直したくなるかも』と思うとびびってしまうのです。
と、いうことで。
次の更新も明日の朝8時頃の予定です。
ではではー。




