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10話〜グレイソードと四天王

ブクマが23になりました、ありがとうございます!

「バンさんって不思議な方ですね、あんなに強いのに全然気取った感じがしないし。 見るものなんでも新鮮に驚いてて。 どこかの家出した貴族の箱入り息子かなにかですか?」


「あはは、詳しくは言えないんですけど。 そんな様な物ですね」


今、フェイはまだ本調子でないアニーとそれに付き添うメリナの3人で話し込んでいる。


バーンダーバは他の男性2人と狼人間(ライカンスロープ)の解体をしている。


ライカンスロープの毛皮は高い魔法耐性と防刃性を持っているので装備の素材としては高級な部類である。


その解体作業を眺めながら女性3人で話していた。


「やっと終わった、さぁ、ベルランの採集に戻ろう」


解体作業を終わったバーンダーバがフェイの元に来た。


「今日はここで野宿にしましょう、アニーさんもかなり血を流してしんどそうですし。 もうすぐ日もくれそうですから」


「む、そうか、仕方ないな。 よし、ならば食事にしよう。 ポール! クライン! このライカンスロープの肉は食えるのか?」


まだライカンスロープの皮をクルクルと丸める作業をしていた2人が「えっ!?」 という顔になる。


「バンさん、ライカンスロープの肉なんて食べたらライカンスロープになっちゃいますよ! ダメですダメです!」


ポールが必死に止めている、それを見て女性の3人が笑っていた。


「そうか、ならばなにか獲物を取りに行こう!」


そう言ってバーンダーバはポールとクラインを連れて行ってしまった。


「面白い人ですね、バンさん」


アニーがくすくすと笑う。


「全く、女性3人置いてくなんて。 何考えてんだか」


メリナが少し呆れたような顔をしている。


『それなら我がいるから心配ない、我より強い存在なぞ、この世にそうはおらんだろう』


フェムノが不意に喋ってメリナとアニーがビクッと体を震わせた。


「あの、聖剣って、勇者だけが使えるっていう。 あの伝説の聖剣の事なの? 喋るなんて初めて聞いたわ」


メリナが喋るフェムノに視線を向ける。


『そうだな、こっちの世界に召喚されてからは気に入らん持ち主ばかりだったから喋るのは初めてだ。 この世界で我が認めた担い手はフェイが初めてだからな』


2人がフェイを見つめる。


「その、なんだか私にもよく分からないんですけど。 気に入って貰えたみたいなんです」


「へー、なんだか羨ましい。 素敵な彼氏に聖剣まであるなんて」


メリナが口を尖らせる。


「いやっ、彼氏じゃないですよ!」


フェイが顔を赤くして答える。


「え、そーなの? 凄くお似合いだからてっきりエルフの冒険者カップルかと思っちゃった」


ニヤニヤしながらメリナがフェイを見る。


「メリナ、あんまりからかっちゃダメよ」


「あはは、ごめんごめん」


赤い顔をフェイが手で扇いでいる。



======



「おーい、沢山取れたぞ!」


遠くから声をあげながらポールが近ずいてきた。


「フェイ、見ろ! 大きな鳥が取れたぞ!」


バーンダーバが掲げたのは羽根を広げれば2メートルはありそうな怪鳥だった。


「ソレって大空の騎士(ナイトイーグル)じゃないの?」


メリナがバーンダーバの獲物を指さして引きつった顔になる。


「スゲーんだよバンさんの弓! どんな獲物も一発だった!」


「魔力弓なんて初めて見た、あれほど見事な具現化魔法もなっ!」


一緒に行った2人も興奮気味に喋る。


2人は一緒に豚を担いでいる。


「火の準備は出来てますよ、捌いて食べましょう」


火の準備を終わらせていたフェイとメリナも手伝って全員で調理して食事をとった。



======


「いやー、豚もナイトイーグルも美味かったな!」


両足を投げ出した格好で満足そうな顔のポール。


6人は焚き火を囲んで座り込んでいた。


「うむ、それよりも大勢で食べる食事は美味いな。 私はこんなに美味い晩餐は初めてだ。 礼を言うぞ」


灰色剣(グレイソード)の4人は顔を見合わせて笑った。


「礼を言うのは俺たちですよ、命を救われた上に飯までご馳走になりましたからね」


「そうか、ならば持ちつ持たれつだな」


「ははは、明日は朝からベルランの採集をしますか? 結構荷物もいっぱいになっちゃいましたけど」


「うむ、せっかく受けた初依頼だからな。 しっかりとやり遂げたい」


「初依頼!? バンさん、ルーキーなんですか?」


またポールが素っ頓狂な声を上げた。


「うむ、今日、冒険者登録をしたばかりだ」


バーンダーバが首に下げた冒険者ライセンスを嬉しそうにヒラヒラと見せる。


「私達ついてるわね、なんだか、伝説の幕開けにでも立ち会った気分」


メリナが呟いた。


「大袈裟だな、お前達はどうする? 明日はまたオークの討伐を再開するのか?」


「いえ、明日はお二人のベルラン採集をお手伝いしますよ。 それに、この大量のライカンスロープの毛皮もお二人じゃ運べないでしょう。 街まで運ぶくらいの手伝いはしますよ」


2メートル近い大きさのライカンスロープ毛皮が6巻。


かなりの量がある、それにナイトイーグルの羽根も大量にある、コレもマジックアイテムの素材として高値で取引されている。


「本当か、それは助かる」


「ところで、なんでそんなに強いのにベルランの採集を? 討伐依頼の方が稼げると思いますが」


「私はずっと戦いの中に身を置いていたからな、もう闘争は嫌なんだ。 まぁ、襲われれば身を護るし。 誰かが襲われていれば助けるが、自分から襲いかかるようなマネはしない」


「へー、王国の騎士かなにかですか?」


「私は、魔王軍で四天王をしていた。 もう昔の話だが」


「「「「えっ!?」」」」


グレイソードの4人が固まった。


「またまた、冗談ですよね」


ポールが可笑しそうに笑う。


「ホントに、一瞬信じちゃった」


メリナも笑っている。


『嘘ではない、そやつは迷宮の奥で我を勇者の手に渡らぬように護っていた。 そして、迷宮に籠っている間に魔王を殺されたマヌケだ! かははははっ』


グレイソードの4人はフェムノとバーンダーバを交互に見比べて完全に引いている。


聖剣があるという事実とバーンダーバの強さで話を信じたらしい。


・・・


・・・・・・


『おい、笑うところだ、黙るな』


聖剣のツッコミが夜の森にこだました。

お読み頂いてありがとうございます!


今日も更新は1話だけの予定です、すみません。


明日も朝の8時頃に投稿予定です。

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