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メアリーのお願い

「クロお願いがあるの」


ジオ様が不在の中、私は執事室へ入りクロに声をかけた。執事室など来たこともない私だったのでクロは珍しそうな顔をしていた。


「メアリー様が私にお願いがあるとは珍しいですね」


爽やかな笑顔で迎えてくれたクロは執事室にあるお菓子と紅茶を用意してくれた。

やはりクロが入れた紅茶は美味しい。一時期ジオ様が留学中限定で私専門の執事の時があったけれど彼ほど優秀な人材はいないわ。もし早くジオ様より出会っていたら確実に雇っていたわ。


「?メアリー様?いかがなさいましたか?」


「え?あ、ごめんなさい。じっと見てて。クロが優秀な人材だからもし早くジオ様より出会っていたら絶対私の執事にしていたわ。」


「ふふ、もし出会いがジオ様より、ですか。そうだったら貴女は私に好意でも寄せてましたか?」


「え?」


妖艶な笑みを見せてきたクロに少しビックリしてしまったわ。クロは「冗談ですよ」と私をからかいながら紅茶をまた入れてくれた。



「さてメアリー様のお願いとはなんでしょうか?」


「あ、えと、実は紅茶の入れ方を教えてほしいの」


キョトンとしたクロは理由など聞かず

「かしこまりした。今日の午後は3時までは私も時間はあります。教えましょう」


よかった、紅茶を美味しく入れてジオ様に飲んでもらいましょう。


ホッとしていたら黒い笑顔で

「私スパルタですので、ご了承くださいね」


「え」


クロ、、、こわいわよ。その笑顔。







かなりスパルタなクロだったけれど、少しは紅茶を美味しく入れれるようになった私は用事を済ませ帰ってきたジオ様のもとへいこうと身支度の準備をした。

「クロありがとう、助かったわ。まだまだのようだからまた教えてくださいね」


ニコッとレディらしく笑顔をクロにむけてお礼をした私はジオ様の元へむかった。



「・・・え、えぇ、それでは」


なんだかクロ耳が赤いようだったけど大丈夫かしら?




「不覚にもあんな笑顔をされると、照れてしまうものですね」


そうメアリーの後姿を見て呟くクロだった。



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