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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

猫の僕と幼なじみの話

作者: 呉羽

僕の前世は人間だった。

日本の東京で産まれ、すくすく育ち高校、大学を卒業して正社員にもなったが交通事故で亡くなった。

人生これからってときだったと思う。


「にゃ~」


今世は猫に産まれた。

猫と言っても獣人と人間がいる世界。

地球とは全然違う…

僕は前世の記憶を持ったまま産まれた。誰かに相談する気にはなれなかったがその知識を活かして字が書けるようになってから勉強をしていたが、周りからは不思議な子と思われてるだろう。子供は遊んでなんぼって感じだ。


「リア、今日は何してるんだ?」

「洗濯機」

「せんたっき?」


ロムは僕の書いてる紙を見る。

ロムとは同い歳で家が隣だ。小さい時からよく居たけど傍にいただけで僕は紙とペンが友達だ。

僕の考えていることは家族が楽に暮らせること。

その為に知識をためる。ロムは勉強は嫌いだけど体を動かすことは好きらしい。

前に村の運動会で活躍していたのを見ていた。


「リア、遊びに行こう!」


毎日のように来ては僕を外に誘う。

僕は前世でも今世でも外は好きじゃない。

室内の日のあたりところでのびのびしたい

ロムはイヌの耳がついてるから外で走り回りたいんだろう。


「リア時々はロムくんと遊びに行ったら?

外もきもちいわよ?」


母親に言われて仕方なくロムと外に出た。


日は暖かく雲ひとつない。

家でひなたごっこしていたい…


「ロムどこ行くの?」

「リアと行きたい所!!」


そう言って数分歩いた。


「どこまで行くの?村が小さく見えるよ?」


ロムと僕は村のはずれにある丘の上までやって来た。


「うわぁー…きもちい!」


丘の上は日が良く当たり、花のいい香りがした。


「リアと来たかったんだ」

「ありがとう、ロム!僕ここ好き」


それから花で首飾りを作ったりロムの膝で居眠りをして過ごした。気がつくと日が暮れた。僕はロムの背中に乗って村へ帰った。



あの日から変わったのかもしれない。

僕はロムと外で遊ぶようになった。遊ぶ場所は丘の上。

もちろん勉強もしている。

学校へ行ける歳になった。

僕は新しい教科書に目を輝かせ、1週間で全て読み解き終えた。


これはついこの間の話だ。

僕が図書室に向かう途中、ロムを見つけた。

ロムは1人ではなく女の子といた。

ロムは僕と遊ぶけど他の子と遊ぶのは見ないし、ましては女の子と二人っきりというのが僕にはショックだった。僕だけのロムではないけど、僕にとってはロムしか友達と呼べる友達はいない。紙とペンは別の話だが…

僕はその場から離れ、まっすぐ家に戻った。


家に帰り冷静になって考えた。

その結果が、ロムは僕といつも一緒に居るから他の子とは遊べないんじゃないか。

つまり僕がロムから離れればロムの自由な時間が確保される。


僕は次の日からロムを避けるようになった。



避けること数日。


「暇だああああああああぁぁぁ」


教科書は読み終え、図書室の本も読み終えた。

村に学校なので本の数が少ない…図書室も教室と同じくらいの広さなので仕方ない。

僕は家でゴロゴロするだけ。


「リア、遊びに行こう!」

「僕のことは気にしないで他の子と遊びに行きなよ」

「どうして?リア最近変だよ?」

「うるさい!」


僕は部屋にこもった。

ロムは僕だけのじゃない…

僕はロムが好きなんだ

だからロムが女の子と一緒に居たことに嫉妬した。

一緒に遊びたい。独り占めしたい。すき。好きなんだ。



学校へ行く時、家が隣同士なのでロムと一緒に行く。

避け始めてもコレだけは譲れない。

けれどロムはよく学校を遅刻するようになった。

僕も一緒に。

朝はいつも通りの時間に家を出る。その後ロムは僕を連れて丘まで行き、そこで僕を撫でたり抱きしめたりする。花で首飾りを作り、ロムが満足してから学校へ行く。


もちろん、そんなに長く続かない。

学校にも親にも遊んでから学校へ行くことがバレ、僕達は一緒に学校へ行くことがなくなった。

僕の唯一の楽しみがなくなった。

ロムの毎日の遊びの誘いもなくなった。




学校行事に運動会がある。

任意で参加なので僕は参加しない予定だった…


「リア、俺と一緒に二人三脚出るぞ!」


ロムの声が教室中に響く。

ロムはクラスの人気者だから僕とじゃなくても誘えば他の子が頷くだろう。


「他の子誘えば…?」


ロムが歯を食いしばって何かに耐えてる顔をしていた。


「ロム…?」

「リアちょっとこい!」


ロムに腕を乱暴に捕まれ、早足で教室を出た。

今日の授業は終わっているので帰るだけだが…

ロムと来た場所は丘の上。


「リア…俺のこと嫌い…?」


腕を離し、ロムが今にも泣きそうな声で言った。


「好きだよ」


僕は素直に気持ちを言った。


「じゃあ何で一緒に出てくれないの?どうして避けるの?」


ロムが詰め寄る。

僕はロムに笑っていて欲しかった。

僕が邪魔で他の子と遊べないのはロムに悪いと思った。

でも、ロムにこんな顔させているのが僕だと思うと自分が許せなくなる…

僕はロムと女の子が一緒に居たこと、嫉妬したこと、避け始めたこと、何から何まで全て話した。

僕は一生懸命話している傍でロムが時々、驚いたり、はにかんだりする姿を見てロムが可愛いと思った。


「リア、俺達両思いだったんだな」


話し終えロムが言った。

ロムからの話ではあの日、女の子に告白されたが断ったこと、僕が避け始め遊ばなくなり寂しかったこと、色々話した。


「リア、好きだよ」

「僕もすきだよ」





あれから僕達は大人になった。

今は一緒に暮らしてる。村を出て都市に来た。

僕の研究(前世にあって今世でもあったら便利なもの)を作っている。それが商品化され一家に一台リアの商品が置いてあるほどに。


僕は発明家として、ロムは僕が研究に夢中になりすぎてご飯とか食べなくなる為、僕のストッパーとして助手をすてくれている。


「リア、今日はこれ着て研究しよっか」


ロムは笑顔でメイド服を出てきた。


「着る必要性を感じない」

「着る必要性はあるよ!夢中になりすぎるとご飯食べないし風呂も入らないだろ?だから少しでも気をそらせないと…それに俺この服手作りだから来て欲しい…」


犬耳がシュンっとたれ、目を潤ませながらロムは言った。

おねだりが可愛い!


「今日だけだよ…」


可愛くて言うこと聞いちゃう僕も絆されてるんだろう。

そして毎日の様に違う衣装で研究をすることになった。



end

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