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【完結】こちら異世界転生管理局  作者: ただみかえで
第8章 弥勒と螢子
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第63話 7人目

 弥勒さまと天界王の魂、ってなにを言ってるんだこの人(鬼?)。

「あの、私ただの普通の地球人ですよ? 元、だけど」

「普通★?

 あっはっは★」

 聞く耳もたず……。

 さっきまで目の前にいた顔が笑いながら離れていく。


「そんなこと言ったって、その天界王さんは知らないですけど、そもそも弥勒さまには直接会ってますし。

 私の中に魂があったら、どうしてそんなことが――」

「あなたの中にあるのが全部じゃないから★

 魂の分割なんて、誰だってできることよ★」

「できませんよ、そんなの……」


 これだから『神様』の常識ってのは困る。

 ん? もしかして天界人なら普通なの?

 ちら、とフーちゃんを見ると目があう。

 言わんとすることが伝わったのか、ふるふると首を振る。


「まぁでも、見た限り7つあるし、全部そろっているみたいだけどねぇ★」

 分割……全部で7つ……って、もしかしてミニろくさま?

 あれ、でも7? 6じゃなくて?

「……ということは、この子を痛めつければ弥勒ちゃんが出てくるのかしら★?

 うふふ、楽しくなってきたわ~★」

 耳まで裂けた口を嫌らしく開いたかと思うと、突然姿が消える!


ガイイイン!!!!


 ものすごい音がしてそっちを見ると、Yさんが手にした大きな剣(のようなもの)と、赤い鬼の爪が激突していた。

 一瞬動きが止まったのを見てYさんの脇からミルティ先輩が低い姿勢で飛び出す(私はといえば、もふもふ局長のもふもふの中へ匿われる……ああ、幸せ)。

 合わせて死角と思われる側に回り込んだクレィさんが手にした弓を放つ。

 おお……やっぱり、エルフって言ったら弓だよね!

 Yさんも剣と盾の戦士スタイルだし、かっこいなぁ。

 フーちゃんはなんだろうなー?

 見た目的には魔女っ子だと可愛いのに。


 って非現実的な光景に見とれてる場合じゃない。

 確かに転生局に来てからいわゆる『ファンタジー』な話もよく出てきたけれど、実際にこの目で見ることはなかったからなぁ。


 で、だ。

 私の中にいるっていう弥勒さまやら天界王さんやらは、どうしたらいいんだろうか。

 赤い人としては出てきて欲しいみたいだけど、どうやったら出てくるかなんてのは全くわからない。

 それこそ痛めつけられでもしないと出てこない、なんてのは勘弁してほしい。


(もしもーし、弥勒さまー?

 ほんとに私の中にいるんですかー??)


 …………


 うーん、やっぱり反応な――


ぽんっ


「ふぅ、バレてしまったみたいだね」

「しょうがないか、あいつが相手だし」

「もう少し潜んでいたかったんだけどなー」

「さすがに螢子ちゃんを狙わせるわけにはいかないでしょ」

「だねぇ。やれやれ」

「しかし天界王の魂、か」

「ほんと、厄介だな、あいつ」


 『7』人のミニろくさま(見た目が全く同じなため、全然区別がつかない)が飛び出てくるなりわちゃわちゃと話している。

「や、螢子ちゃん。

 黙っててごめんね。

 初めて会った時からずっと一人君の中に潜んでたんだよ」

「は、はぁ」

 状況の変化についていけてない。

 一人、潜んでた、のはまぁいいとして(あんまりよくないけど)、

「えっと、残りの6人は?」

「スキルと一緒に君の中に入ったのさ」

「え、でも、そんな素振りは……」

 次の世界に行く時なんかも、ばいばーい、って手を振って見送ってくれたし、用があって会いに行くとその場にいたんだけど……。

「ボクたちが実体化するためには、ある程度の『力場』が必要なんだ。

 だから、特定の場所から離れると消えてしまうんだ」


「なるほど。

 とりあえず理屈はわかったんですが、私の中にいる必要ってあったんですか?」

「それはね――」

「弥勒ちゃん、み~っけ★」

 話し声を聞きつけたか、ミルティ先輩たちと戦っていた赤い鬼がぐっと迫ってくる。

「弥勒さま!?」

「ふふ、大丈夫」

 ものすごい勢いで鋭い爪が迫るなか、妙に余裕そうにしている弥勒さま。

「避けたら、後ろの子に当たるわよ~★」

「ははは、そんなことしないよ?」


ッッッッッッゴッ!!!


 7人のミニろくさまが光ったかと思うと、そこには平然と立つ弥勒さま通常バージョン(Tシャツ短パンにキャップを被った“いつもの”姿)が。

 あれ? 赤い鬼はどこへ?

 と思って見渡すと、だいぶ遠くの地面に頭からささっていた。


「ボクの魂が螢子ちゃんの魂と繋がることで、紫翡翠の眼(ラベンダーアイ)の力を少しずつボクの中に取り戻していったんだよ。

 他のスキルも、螢子ちゃんの中で紫翡翠の眼(ラベンダーアイ)と融合していけたしね。

 でさ、悪いんだけど、


 この力、返してもらうよ?」


 そう言って立つ弥勒さまの目は紫色に輝いていた。

 と、同時に私の中にあった“力の気配”とでもいうものが、なくなったのを感じた。


 そうか。

 ようやく私は弥勒さまに力をお返しできたってことか。


「これで、厄介事から解放されそうだなぁ。

 よかったよかった」

「ほんっと、螢子ちゃんはブレないよね~」

 思わず漏れた言葉に、弥勒さまがツッコむ。

「なにか変ですか?」

「ううん、そう言う所いいよね、って」

「はぁ、そうですか?

 よくわかんないですけど、ありがとうございます」


いつも応援ありがとうございます♪

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