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【完結】こちら異世界転生管理局  作者: ただみかえで
第1章 異世界転生管理局
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第3話 弥勒

「こんなこと初めてだわ」

 カウンターの向こうで、ミルティさんが唸っている。


 詳しく聞いた所によると、本来転生者リストに載っていない人(人以外も)がここに来ることはないらしい。

 んで、転生者リストにはその人の基礎情報と転生先候補が数箇所載っていて、ここでの会話やプレートで直接見極めた情報をもとに、最終的な転生先が決まるんだとか。

 つまり、私は転生者リストに載っていなかったため、転生先が決まらない、ということになる。

 まさか、死んだだけでなく露頭に迷うことになるとは……。


「今、天界に問い合わせているからもう少し待ってね」

「『天界』ですか?」

 いわゆる天国、というやつだろうか。

「ここの上位組織、と言えばわかりやすいかしら」

「市役所の上の県庁、みたいな?」

「うーん、それで合ってるのか微妙な所だけど、ざっくりとはそんなところかしら。

 ここ、転生管理局の他にもいくつか局があってね、それを全部束ねているのよ」

「ふむ。

 死後の世界の統括、みたいな?」

「そうね、そっちの方がより近いかしら」

「ということは、天界の書類不備・・・・・・・の可能性があるってことですか?」

「可能性は、ね。

 ただ、今まで一度もそんなことがなかったからなんとも言えないけど」

「そうですかー」

 他に聞くとこがないからとりあえず、ってことか。

 うーん、期待薄だなー。


 それから。

 天界からの結果を待つ間、雑談がてら『ここ』の仕組みを色々と教えてもらった。


・取りまとめ機関としての『天界』。

・死んだ人間を異世界へ転生させる『転生管理局』(今私がいる所)。

・生きたまま異世界へ送り込む『転移管理局』。

・ヒト、及び、世界、の状況を調査し、リストアップする『調査・調整課』。

・『裏技チートスキル』と言われる転生・転移者へ付与する能力を管理・開発する『能力課』。


など。

 他にも細かい組織はあるらしいけど、主だった所はこのくらいらしい。



 『転生・転移』の流れとしては、


 『調査・調整課』からリストアップされたものを元に、『能力課』の管理するスキルから付与するのものを選び(または開発依頼し)、転生させるか転移させるかを最終的に『天界』が決定し、それぞれの管理局へ指示を流す


と。


『転生』には『不慮の事故による死』が必要で。

『転移』には『本人の同意』が必要で。


 なかなか簡単にはいかないのだそうだ。

 基本的に『予定通り』とならないのは、うん、めんどくさそう。

 ……まぁ、私はそのリストにすら漏れていたので、イレギュラーの中のイレギュラーなんだけど……。

 やれやれ。

 どうしたもんかなぁ……っても、待つ以外できないんだけど。


PRRRRR……PRRRRR……


 そんな事を考えていると、ミルティさんの横の電話が鳴る。

 お、やっと返事が来たかな?

「はい、転生管理局ミルティです。

 ええ……はい……はい、そうです、リストに載って……ええ、そうで……えええ!?

 またですか!?」

 ん?

 なんだなんだ?

 ものすごく嫌な予感……。

「……はぁ……はい、そうですか……。

 では、分かり次第早急に、ということで。

 はい、お願いします……」


ガチャン……


「…………」

「…………」

 電話を切ったままミルティさんは黙り込んでしまった。

 つられて私も黙り込む。

 うーん、何があったんだろう。

 気になるけど、聞きたくない気もする……。


「あの……」

「桜坂さん」

「あ、はい」

「弥勒菩薩、って知ってる?」

「へ??」

 いきなりなんだろう??

 私のリスト漏れの話はどこへ?


「えっと、それって……?」

「あら、知らない?

 弥勒菩薩というのはね――」

「あ、いや、一応知ってます。

 58億年後??だか、ずっとずっと未来に復活して世界を救ってくれる、っていう仏教のヒト、ですよね?

 ずーっと修行してるとかなんとか」

「そう、それそれ」

 うーん、やっぱり関連性がわからない。

「実はね。

 その弥勒菩薩、地球以外も救済する、ってことになってるのよ。

 全異世界共通」

「は、はぁ……なんか、すごいんですね……」

 とりあえず聞いておくしかなさそうだなぁ。

 いつ本題に入るんだろう……。


「……ああ、ごめんなさい。

 これだと、なんのことかわからないわね」

「……急にどうしたのかと思ってました」

「結論から言うと……って、最初から言えよって感じよね」

といって、ペロッと舌を出す。

可愛らしい仕草だけど、「そうですね」とも言いづらいのでリアクション取りづらいです……。

「えっと、ね。

 非常に言いづらいんだけど……。

 天界が今大混乱中で全くわからないんだって……」

「ええええ!!!!!」

「ほんっと、ごめんなさい。

 その……先程話した弥勒菩薩が、修行している場所から脱走したとかで、それどころじゃないんだとか…」

「ええええええええ!!!!!!!!!!

 なんですかそれ!?!?」


 なんかもう、どこから突っ込んだらいいのやら。

 そういえばさっき『また』って言ってたし、今回が初めてではないのかな。

 世界を救うのもいいけど、その前に私の邪魔をしないでほしい……。


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