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プロローグ
「では、次の方どうぞ」
窓口に座り、一人対応してまた一人、と。
ただ淡々とこなしていく。
ここにきてから、もう2ヶ月。
結局、前と同じような仕事をしているのはそういう運命なんだろうか。
「えっと、番号札10番の方ですね。
そちらへおかけ下さい」
「あの……すいません、私よくわかってないんですが」
「はい、どうされましたか?」
「ここって、どこなんですか???」
こういう『お客様』は珍しくない。
というか……まぁ100人いれば、99人はほぼ同じ反応をする。
そりゃそうだ。
今までいた所から突然こんな『いかにもお役所』な所へ来てしまえば、困惑もするだろう。
直前の記憶が曖昧な人も多いわけだし。
「そうですね。
まず、最初にあなたが認識しないといけないことがあります。
それは――
あなたは、すでに死んでいる、ということです」